特集 2019年7月9日

スリッパを走らせて愛を届けよう

スリッパがペットのように愛おしい存在に

一人暮らしをしている時、家に帰っても誰もいないことに時折さみしさを感じていた。今では家族と住んでいるが、仕事で帰りが遅くなり家族は既に寝てしまっている時にはじんわりとさみしい気持ちになる。

やはり出迎えてくれる存在は大きい。ペットでも飼っていれば彼らが温かく迎えてくれるのかもしれないが、そうやすやすと飼えるものではないし、飼ってみて全然なついてくれなかったら余計に悲しい。

もうちょっと身近なもの、例えばスリッパが出迎えてくれたらさみしさも紛れるのではないだろうか。

1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。(動画インタビュー)

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スリッパ、走ります!

まずはシチュエーションを思い浮かべてほしい。

仕事で疲れて帰ってくると家はシーンとしている。家族は既に寝ているようだ(一人暮らしでもよい)。遅くなってしまったのだから仕方ないのだが、一抹のさみしさを感じつつ、玄関で靴を脱ぐ。

すると家の奥からかすかなモーター音が聞こえてきた。「何の音だ…」と思って脱いだ靴から顔をあげると、部屋の奥からスリッパがこちらに向かってくる!!

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スリッパが部屋の奥からやってきた!

スリッパが自らの意思を持ってご主人様を迎えにくるかのように玄関へとやってきた。スリッパよ、君は待ってくれていたのか!ありがとう!

というわけでスリッパの雄姿をとくとご覧あれ。

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スリッパ、発信!
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曲がってくるところに意思を感じる
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颯爽と走り抜けるスリッパ
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スリッパ「おかえりなさい~」

愛だ。愛を感じる。普段動かないものが動いているだけで、そこに意思を感じてしまうし、玄関まで迎えにきてくれる動作の裏にある意思は愛しかないだろう。こちらとしてもさっき買ってきたスリッパなのに一瞬で愛着が生まれた。両思いだ。無機物が動くってすごい。

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愛着湧いてますが、操縦はこれで自分でやってます。

スリッパの走らせ方

やりたいことはやってしまったのだが、一応走るスリッパの作り方を説明しておこう。

スリッパを自由に操縦するとなると、やはりラジコンの仕組みを取り入れた方がよいだろう。僕はプラモデルとかラジコンとかそのあたりの造詣はさっぱりなのだが、とりあえず秋葉原のラジコン専門店に行ってみた。

店員さんに「ラジコンの走る部分だけで良いんですが…」と恐る恐る聞いてみたところ「そうなるとサーボとモーターが直結になっていて~」みたいなことを言われたのですぐに脳の動きを止めて、おとなしくネットで一番小型で改造しやすそうなラジコンを買った。

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一番小型で一番安いやつを買った

「ジャンク品」と書いてあったので走るか不安だったがちゃんと走ってくれた。しかも前だけでなくバック走行も可能だ。300円くらいだったのにハイテクである。

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次にねじを外して車のカバーをとる

ここでねじを必要以上に外しすぎてしまった結果、前輪部分がバラバラになってしまった。なんとか組み立て直してみたがパーツの位置関係が微妙にあっていないのか、常に左へと曲がり続けるようになってしまった。

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どうしようもないので代替品を投入

こんなこともあろうかと同じ商品をもう1つ買っておいた。さらに言えば、今回は使わなかったが3個目も買っておいたのだ。工作は好きだが別に上手くない僕から言えることは「スペアはたくさん用意しておけ」ということだけだ。

あとはラジコン部分とスリッパを結合させていくだけだが、思った以上にラジコンが荷重に耐えられないのでスリッパを軽量化する必要がある。

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ラジコン部分が目立たないようになるべく小さい機構のものを選んだら荷重制限がめちゃくちゃシビアになってしまった
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スリッパの軽量化を図るべく底面やかかと部分のスポンジを取り除いていく

またスリッパの左右をつなぐ方法を色々と試したが、底面に棒を渡してつなぐやり方が一番よかった。こうするとスリッパの中心部分まで一本の軸で支えられるため、安定感が倍増する。

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今回はちょうど折れた定規があったのでそれを使った

この軸の部分をラジコン部分に乗せてテープで止めれば走るスリッパの完成だ。

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走るけど、下にラジコンついてるし軽量化のために色々取ってしまったので履けないスリッパ。履くことを捨て走ることを覚えたのだ。悪魔との契約か。

走らせると想いが伝わる

せっかくなのでスリッパ以外のものも走らせてみたい。

その前に、スリッパは特殊な形状だったので、もう少し色々載せやすい汎用的な仕様にチューンアップしていきたい。

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お弁当などに使うプラスチック容器を使う
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裏返してマッキーで黒く塗り、ラジコン部分のライトの形に沿って切り込みを入れていく
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それをラジコン部分にかぶせて完成。頭がついて顔っぽさが増した。

これで耐荷重が許す限り乗せ放題、走らせ放題である。さて何を走らせようか。

先ほどのスリッパは動くことで「出迎え」を実現したが、さらに動くことが効いてくるのはやはり「運ぶ」という動作だろう。

例えば、豆腐を食べている人がいたとしよう。

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ただしょうゆをかけただけの味気ない豆腐

しょうゆをかけただけの豆腐も悪くはない。しかしこれだけでは足りない感じは否めない。そんな時にはさっとアレを差し出してあげたい。

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向こうから颯爽と運ばれてきたのは…
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ミョウガだ

別に手で渡せばいいじゃないかと人は言うかもしれない。しかし遠隔操作でミョウガが運ばれてくる驚きと特別感は何物にも代えがたい。これまでこんなにもミョウガにエンターテインメント性が宿ったことがあっただろうか。手渡しでミョウガを受け取る以上のものがそこにはある。

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もちろん豆腐の美味しさも倍増だ

「運ぶ」という意味ではもっと運びがいのある食べ物がある。

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近づいてくるのは…
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プリンだ!

走らせて運ぶと多少なりとも振動が生まれる。この走りの副産物ともいえる振動を演出として最も良い方向に昇華できるのがプリンではないだろうか。

走りながらプルプルと震えるプリンはいつまででも見ていられる。遠くからプリンが走ってきたら全てのストレスがリセットされるだろう。

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このプルプル感、伝わるだろうか

ミョウガ、プリンと食べ物が続いたが、別に食べ物以外を運んだってもちろん良い。シンプルに想いを伝えるなら花なんてどうだろうか。

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うっかりめちゃめちゃいい写真が撮れた

一輪の花が向こうから運ばれてくる。なかなか恥ずかしくて直接は伝えられない想いを伝えるにはぴったりだ。

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よろめきながらも進む姿が愛おしい

昔、ダンスフラワーという花がリズムに合わせて踊るというおもちゃがあった。あのおもちゃの世界観もよく分からなかったが、花が向こうから走ってくるというのはもっと意味が分からない。

でもなんかいい。スリッパに意思を感じたように花にも意思を感じる。どうしても想いを伝えたいんだという強い想いが花の先に見える気がする。

普通は止まっているものを動かすとそこには想いが強く表れるのだ。


もっと大きなものを走らせたい

普段動かないものを動かすだけで面白かった。我々は走らせるということを忘れてはいけない。

今回はスリッパの下に隠れるサイズのラジコンを選んでしまったのでちょっとでも重いものを載せると重さで動かなくなってしまった。

次はもっとしっかりとした土台を用意して大きなものを走らせたい。ジェンガとか。

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