「大きな人間に見られたい」という利己的な思いで作った、富士山スカート。しかし最終的には「富士山が見える景色を皆に届けたい」という、利他的な境地に達していた。私は精神的にも富士山のような人間になれただろうか?
伊豆パノラマパークにある、碧テラス。富士山スカートを纏い、前屈みになってみて分かった。
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ああ、私なんてまだまだ。富士山の存在感には遠く及んでいなかった。これからもスカートに限らず、あらゆる手段で富士山になれるよう努力していこう。
年末から年始にかけて、伊豆下田でアロエ祭りという催しが毎年行われている。友人夫婦が正月に必ずこの催しに出掛けているのだが、今年は私も同行させてもらった。勿論、富士山スカートを持って。
撮影をお願いしていた友人達が、「私も良い?」と手を上げる。我慢できなかったんだね。分かるよ。誰だって富士山になってみたいもの。
撮影した写真を見てみると、磯と富士山が同時に映って「松竹と東映、夢のコラボ実現!」みたいになってた。
柴又のほのぼのした団子屋に、突然やくざが殴り込みにくる映画のオープニングロゴはこんな感じだろう。
さすがは富士山。どんな場所に現れても、絵になる。しかし、器が大きくなった私は、もう一歩先に踏み込むことにした。
東京都内には、「富士見」という名称を持つ場所が沢山ある。その名の通り、昔は東京からも富士山がよく見えたのだろう。
しかし開発が進み高層ビルが乱立する現代、今でも富士山が見える場所は殆ど残っていない。そんな場所に、私はもう一度富士山を顕現させたい。
まずは日暮里にある富士見坂に向かった。
坂の脇に設置されていた説明板を読むと、近年まで実際に富士山を望むことができる場所であったと分かる。しかしさらによく読むと、その眺望は遠くに建った高層ビルの影響で既に失われたことも分かる。ならばその景色、久しぶりに復活させてみよう。
夕暮れ時だったので赤富士を持ってくるべきだったが、それでも富士山を取り戻した坂が躍動し始めるのを感じた。カラスもカーと鳴いた。
他にも失われた富士山眺望がないか調べてみたら、かつては山手線の車窓からも一か所だけ富士山が見えたそうだ(高田馬場辺り)。しかし、その景色も今は失われてしまっている。私はすぐに、DPZ林編集長にメールをした。
「林さん、〇月△日✕時頃。山手線に乗って、車窓から外の景色を眺めてみてくれませんか?」
約束の日。林さんからメールが送られてきた。「今から山手線に乗ります」。私は線路際でグッと前屈みになる。電車の音が段々近づいてくる。林さん、乗客の皆さん。失われた景色が今、復活します。しっかり目に焼き付けて下さい!
電車が通り過ぎると、すぐに林さんから動画が送られてきた。メールにはたった一言、「泣ける」という言葉が添えられていた。
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「大きな人間に見られたい」という利己的な思いで作った、富士山スカート。しかし最終的には「富士山が見える景色を皆に届けたい」という、利他的な境地に達していた。私は精神的にも富士山のような人間になれただろうか?
伊豆パノラマパークにある、碧テラス。富士山スカートを纏い、前屈みになってみて分かった。
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ああ、私なんてまだまだ。富士山の存在感には遠く及んでいなかった。これからもスカートに限らず、あらゆる手段で富士山になれるよう努力していこう。
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