言っていたことがわかった
撮影終了後、家族のLINEグループにシャトルランをやったことを報告した。
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「もうやらない」に「でしょ、、」と娘からリプライがつく。娘からは「おじさんにしてはいい点数なのでは!」と褒められ、息子からは「62」とピースサインの絵文字付きでマウントを取られる。
子どもたちが言っていたことがすべてわかった。あれを毎年やっていたなんて偉すぎる。もっと称えよう。そして、あれをやらなくていい時代に生まれたことに、カミさんと胸をなでおろしたのだった。
この体育館は午後の予約枠を押さえたので、4時間借りている。まだまだシャトルラン対策を話し込んでも余裕だが、緊張が高まるばかりなので、いいかげん覚悟を決めて走りだそう。
せっかく4時間借りているので1回で終わったらもったいない。2チームに分けることにした。経験者を1人ずつ分け、あとは「メガネをかけているかいないか」で雑に分けた。
西村さんが片道だけ走って「これは……きついぞ……」と、つぶやきながら通り過ぎていく。約1分後、カウント7で速度が少し上がる。りばすとさんが「10まで行きましょう!」と声援を送る。
カウント21で橋田さんも脱落。残るは高瀬さん1人になった。高瀬さんはラインを踏むタイミングに余裕があり、まだまだスコアが伸びそう。がんばれ~!
1分ごとに無機質な「ドレミファソラシド」がどんどん速くなっていく。そんな中、高瀬さんは1人で往復し続ける。みんなで応援しているから和気あいあいな雰囲気とはいえ、見方を変えると確かにこれはデスゲームっぽいな……。
スタートから約5分、20メートル×44回=880メートルを走り切った高瀬さん。息も絶え絶えに「確かに……これ……知っちゃうともう……怖くなりますね……!」と絞り出す。
あんなに「やりたいです!」という感じだったのに、もう価値観が変わっている。怖いぞシャトルラン。
残る3人は「いやぁ~いいもの見ましたね」「懐かしかったなぁ~」「ではこれで~」と帰ろうとして橋田さんに止められた。
シャトルランをやりましょう!と呼びかけておいて帰っちゃうのはさすがに人としてどうかしている。やるしかない。しぶしぶスタート地点に立つ。気持ちが後ろ向きだからか、さっきより向こうのラインが遠くに見えるような気がする。
無機質な電子音と「トータル、7」と淡々と読み上げる女性の声。音が終わる前にラインにたどり着かなければ、という小さなプレッシャーが常にかかり続ける。
こっちはフィジカルにツラいのに、流れてくる音声に体温がないから、「人の気持ちがわからない存在に走らされている」というSF設定っぽさがある。AIが反乱を起こしたらこういう感じなんじゃないだろうか。
息が切れる。約1分ごとに「デデデ」という電子音がして速度が上がるのだが、そのタイミングがカウント7、15、23、32、41と法則が掴めないのも地味に気になる。
徐々にカウントの速度が上がり、1分間にカウントされる数が増えていからそうなるのだけど、走っているときは理解できなくて「なんで素数で上がるんだよ!」とキレながら走っていた。シャトルランは思考力さえも奪う。
あとで動画を見返すと、ギャラリーたちが「見ごたえある!」「昔からのライバル同士みたい」「どっちが勝つの!?」とざわついていた。走っているときは全然聞こえない。とにかく間に合うことしか考えられない。
りばすとさんは安定してラインに到達しているが、こちらはちょっと遅れそうになって慌てて飛ばしたりするなど不安定。足がついてこなくなってきた。ギリギリで食らいつく。
まさかのりばすとさん脱落……! 競争相手がいたから頑張れたところがあったのに。完全に自分との闘いになった。誰かが「100行きましょう!」と無責任なことを言ったのだけ聞こえる。
スタート時は約9秒で折り返していたが、カウント51を超えると約6.5秒で折り返さないといけない。時速8.0kmから時速11.0km。1.375倍と書くと大したことなさそうだけど、ここまで6分間走り続けているので体感ではすごくきつい。うぉぉぉぉ。
立てない。酸素が足りない。口から胃が出そう。これはもうしばらくやらなくていいな……。
念願のシャトルランをやり遂げた。あんなに「やってみたい」と言っていた未経験者たちは、軒並み「もうやりたくない」に主張が傾いていた。
りばすと:あんなにやりたいと言っていたのに、真綿で締め付けられるような感じで……。全速力で走って疲れたならまだわかるんですけど、いつのまにか追い込まれているのが嫌ですね。もうスピードとか出せないんですよ。
高瀬:もうやりたくないですね。次やるなら10年後20年後、記憶がなくなったころに……。
経験者の2人はどうだっただろうか。
文園:小学校のときに比べて自分の体がでかくなってるなって。学年で一番背が低かったので、本当に走ってるときフラッシュバックして。「視点が高いぞ」ってバグりそうになりました。
與座:当時120できた気がするんですけど、100減ってた(笑)。こんなに落ちるんだと思って。めっちゃきつかったですね。喉がもう、ヒューヒューして。
本当はクラス全員で走るので最初のほうは脱落するのも難しいんですよ、と文園さんが言う。そうか大群で走るんだ。それはガンガンぶつかりそう。人数が多いぶん、最後は観客が増えるから盛り上がるらしい。ハッピーな感じで終わるんだ。
「これはDPZのライターを集めてオールスター感謝祭みたいにやるしかないですね」「でもみんな嫌か」「安藤さんなら100以上行く気がする」と勝手なことを言い続ける我々。
高瀬:安藤さんの学校でこの映像を教材として使ってほしいですね。
與座:「運動を続けよう」みたいな(笑)
文園:「こんなんなっちゃうぞ」って(笑)
こうして大人たちのシャトルランは幕を下ろした。しかし、帰り道で階段を上り下りするだけでもう太ももが痛い。大人は終了後のダメージを味わうまでがシャトルランかもしれない。改めて参加者の皆さんに感想を聞いてこの記事を締めくくりたい。
【文園】
体育館の硬い床でドタドタ走ったせいか、膝がやや痛くなりました!
確かにシャトルランは大変だったけど、「ツラい!」という気持ちでみんながひとつになった。そういう意味では楽しい1日だった。でも次は別の手段でひとつになったっていいな、と思うのだった。
撮影終了後、家族のLINEグループにシャトルランをやったことを報告した。
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「もうやらない」に「でしょ、、」と娘からリプライがつく。娘からは「おじさんにしてはいい点数なのでは!」と褒められ、息子からは「62」とピースサインの絵文字付きでマウントを取られる。
子どもたちが言っていたことがすべてわかった。あれを毎年やっていたなんて偉すぎる。もっと称えよう。そして、あれをやらなくていい時代に生まれたことに、カミさんと胸をなでおろしたのだった。
このあとはげます会員の皆さん向けに、CDデッキに苦戦する井上の写真を置いておきます。
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