特集 2018年10月29日

商店街で味わうしみじみハロウィン

商店街のハロウィンはしみじみしてる。

10月といえばハロウィン!…という流れが日本に定着してどれぐらい経つだろうか。

気がつけばすっかり浸食されていた、ぐらいの感覚なんだけど、まぁイベント事が盛り上がるのは賑やかで楽しいし、いいことだ。

我が家の近所の商店街でも10月1日から盛り上げるべくハロウィンの飾り付けをやっているのだが、なんというかこう…実にしみじみとしているのだ。

できればスタバのハロウィン限定フラペチーノとかでなく、お白湯なんか飲みながら鑑賞してください。

1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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> 個人サイト イロブン Twitter:tech_k

気がつけばハロウィンはあなたのそばに

10月になってからというもの、ふと周囲に目をやるとハロウィンが見つかる気がする。

先日もスーパーで青果コーナーを見ていたら、和歌山の柿が「ハロウィンを楽しもう」とアピールしていた。

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言われた通りに楽しんで加工してみたが、確かに違和感はない。柿ハロウィンいけるな。

かように我々の半径1mぐらいまで浸食してきた感のあるハロウィンである。

「ちょっとでも雰囲気を盛り上げたい」と思っている小さな商店街にとっては、こういうイベントごとは大事だ。

ちまちまと店舗ごとにやるんじゃなくて、商店街を挙げてパーッとハロウィンやろうぜ!という流れも理解できる。

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近所の商店街、ハロウィン化してます。よく見て?
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ほらハロウィン。
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街灯もこの時期だけハロウィン仕様のちょうちん。

ここはどこかというと、中野区にある『薬師あいロード商店街』。

中野駅の北口から中野ブロードウェイを突き抜けてさらに北側、中野新井薬師の参道として成立してきた長さ400mほどの商店街である。

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商店街の入口。ちょうちんがやや寂しい気もするが、ハロウィンやるぜという気持ちは伝わる。

東京都内だったらわりとどこでもあるレベルの、メイン通りから逸れてるから人通りが多いわけじゃないけど、地域住人の通り道になってるからシャッター通りになってるわけでもない、ぐらいの感じ。

で、このあいロード商店街、毎年10月になった瞬間からハロウィンの飾り付けをスタートさせているんだけれども。

冒頭で述べた通り、妙な味わい深さがあるのだ。しみじみと、地味。

しみじみハロウィンな理由①…そもそもハロウィンに合う店が少ない

まず、あいロード商店街はお寺の参道通りだけあって、古くから続くお店が多い。

そこがどうもハロウィン感とマッチしてるのか判断つけづらいのだ。

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お茶屋さんとハロウィン。
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着物屋さんとハロウィン。
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豆菓子屋とハロウィン。
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草履とハロウィン。
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中華料理とハロウィン。

最後のは老夫婦だけで営まれている昔ながらのザ・町中華。“独特中華”と銘打たれているにもかかわらず、メインはベーシック過ぎるぐらいに普通なラーメンと餃子だ。

たまに「すっっごい普通のものが食べたい」と思った時に行くとハマるので重宝している。そして、特にハロウィン限定メニューとか出さない。いつも通りの安定感。

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花屋とハロウィン。ちゃんと本物の飾りカボチャもあって違和感無し。

もちろん商店街の中には美容院や花屋といった、ハロウィン似合う系のお店もあるのだけれど、基本はこんな感じ。

通りをぼんやり歩いていると、ハロウィンってなんだっけ?という軽いゲシュタルトのゆらぎが発生して、かなり楽しい。

「ケッ、日本人のくせになにがハロウィンじゃい」というアンチ派も、これなら受け入れられるのではないだろうか。

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しみじみハロウィンな理由②…全般的にローコスト

次のしみじみポイントは、先ほどの写真からもなんとなく伝わると思うが、全体的にローコストな飾り付け。

金銭的な部分だけでなく、手間の部分もかなりコストを抑えているなという雰囲気がじわっと染み出しているのだ。

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タグすら外さず、そのままフックに。そしてこのタグで飾りの正体も判明した。

ハロウィンの飾り付けを手作りで!とかそういう気概はほとんど見られず、基本的にどのお店も同じようなものを飾っている。

おそらく、商店街の組合がどこからかまとめて飾り付けを仕入れてきてお店に「はいこれ飾って」と一律に配っているのだろう。

どこからか?そりゃ100均に決まっている。あいロードの近所にはダイソーが2店もあるのだ。

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あったあった。カボチャのオーナメント的なヤツ。

さっそく最寄りのダイソーに行ってみると、思った通り、飾り付けに使われていたアイテムがどんどん同定できた。

商店街ハロウィン、間違いなくMade by DAISOである。

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紐でぶら下がってたぼんぼりみたいなのも見つけた。

言い方は悪いが、さほど賑わっているわけではない商店街だけに、飾り付けの予算も潤沢ではないのだろう。であれば、ダイソーの飾り付けは悪い選択じゃない。

その上で「お金をかけない分、一手間かけてオーナメントをリメイクしよう!」とか、そこまでのやる気もない感じが、個人的にはしみじみ味わい深いのだ。

しみじみハロウィンな理由③…生活に密着してる実家っぽさ

じゃあお店はハロウィンの飾り付けに全く興味ないのかというと、そういうワケでもないっぽい。

ただ、その興味の方向性が「飾り付けを華やかに」「見栄えアップ」ではなくて、もう少し生活感に密着したやつなのである。

例えば、飾り付けが汚れないようにしたい、とか。

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周囲のお店が屋外に飾り付けをぶら下げるのに対して、店内のハンガーラックを利用する派。雨風もしのげて良し。
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お肉屋さんは、上からビニールかけちゃう派。素晴らしい生活感。

飾り付けにビニールをかけてしまうなんて、雰囲気もなにもあったもんじゃない!と思われるかもしれないが、でも、商店街のハロウィンは10月1日から月末まで続くのだ。

つまり、その間に埃をかぶって汚れたりする方がよろしくない、という判断なのだろう。

なんか、すごい実家っぽい。このハロウィン、実家のやつだ。

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こちらは、足を結ばれちゃったハロウィン。

あと、ハロウィンぼんぼりの足を結んじゃってるお店もあった。

たぶん、店先で長い足が風でヒラヒラするのがお客さんの邪魔になると思ったのかもしれない。単にウザかっただけかもしれないけど。

そして、これもまた実家ハロウィンだ。電球オンオフの長い紐を結んじゃう、あの実家のやつ。

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一方、こちらは10月最終土曜の渋谷。カルカルで地味ハロウィンもやってるけど、どちらかというとこういう人たちの方が多い。あと警官もいっぱい。

渋谷あたりの賑やか楽しいハロウィンとは完全に対極にあるんだけど、でも、普段行き来する通りなんだから、これぐらいしみじみと実家っぽいほうが個人的にはありがたい。

あいロード商店街は、今後も程よく薄味で「無くても困らないけど、あってもいいかな」ぐらいの温度のハロウィンを続けて欲しいのである。

 

ちなみにこのあいロード商店街のハロウィン、ウワサによると今年でもう16年目らしい。東京ディズニーランドのハロウィンパレードですら21年前からなので、実は日本のハロウィンとしては結構な古株なのではなかろうか。

僕は3年前に引っ越してきたばかりなので、地元ではハロウィン先輩と呼ばねばならぬ立場だ。

まだもうちょっとこの辺りに住むつもりなので、来年もしみじみ落ち着いたハロウィンをよろしくお願いします先輩。

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ババ服とハロウィン。落ち着いたいい取り合わせだ。

 

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