特集 2024年7月17日

江戸時代のように下から花を見てみたい

変な花ばかりでまるで花見が進まない

場所を植物園にしたのは「いろんな形の花があっていいかな」と思ったからだが、実際行ってみたらいろんな形の花しかなかった

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これは花なのか?
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これは花...いや葉??

植物園は花の多様性を見せつけてくる場所なので、「そもそも花なのか?」という花しかない。

しかも、南国をメインにした植物園だったことも災いし、奇想天外な花ばかりを見ることになった

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一見すると南国風のあざやかな花だが、角度を変えると...
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薄すぎる。
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食虫植物のウツボカズラも言われてみれば「花」ではあるが......
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下から見てもペットボトルの底をのぞいている気持ちにしかならない。
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「これ下から見て意味あるの?」「結局花ってなんなの?」友人との会話もだんだん哲学的になってくる。

トリッキーな花に囲まれ絶望が広がる中、可憐なかわいい花を見つけた。

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色も形もかわいい! 花に詳しくない人にもストレートに伝わるかわいさ。
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下から見た友人いわく......
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「普通に上から見た方がいいと思うよ」
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確かにそうですね。

かわいい花もそうでない花も平等に下から見てみたが、特にグッと来るものはなかった

別に悪くもないが、よくもない。なんの感情も湧いてこないのである

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上から見るときれいな花も...
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下から見るとこんな感じ。「まぁ、そうだよね」という気持ちになる。
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小さく可憐な花も下から見るとこんな感じ。悪くはないが「こっち向いてー!」という気持ちに。

たくさん見るうちに気づいたのが「下から見る以前に、そもそも我々は花を見ることにグッと来ていないのではないか」ということである。

花見は花より団子のマインドで楽しんでいるし、花を見て癒やされたことも特にない。

「下から花を見る」とは、普段から花を愛でている花ファンの一周まわった楽しみ方であって、初心者には向いていないのではないか

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下から見ながら「バックステージツアーって感じなんだよね」と語る友人。言い得て妙である。
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下から見ることにあからさまに疲れてきた友人。「せっかくなら上から見たい」という気持ちがあふれ出ている。
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どれだけ熱心に見ても、知らない映画のメイキングストーリーを延々と見せられているような「わからなさ」があった。たぶん花は悪くない。我々の感受性が悪いのだ。
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きれいなはずだと思って見ればすべての花はきれいに見えてくる

何十種類もの花の「下」ばかりを見て皆の士気も下がってきたころ、かなりいい感じの花を見つけた。

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これはかなり「下から見る」のに向いているのでは?
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というか、下から見る方がきれいでは?!?!

花を見る感受性を、極限までなくしてしまった現代人でも下から楽しめる花が現れた。

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花の楽しみ方がよくわからない私たちでも下からきれいに見える!! 咲いてくれてありがとう!!

一度きれいに花が見えると、だんだん「もしかしてこの花もきれいかも?」という気持ちが湧いてくる。

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この花の「下から」もかなりいい! と思ってよく見たら花びらじゃなくて葉だったけど、キレイだからなんでもいいや
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見る目が磨かれてきた結果、「花にはそれぞれ一番きれいに見える角度があるのでは」という自説を検証し始める友人。アイドルの自撮りテクニックみたいな話になってきた。
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でも確かに「どこから見るのが一番きれいか」をぐるぐる探しながら見るとかなり楽しい。

どんな花でも「360度どこかにきっときれいに見えるポジションがあるはずだ」と思って眺めてみると、見つけたときに「ここか!」となって盛り上がれる。

花はそのままで楽しめるものではない。全力で楽しもうとする気持ちを持って初めて楽しめるものなのだ。

現代人の我々も、「絶対に下から見た花をきれいだと思ってやる」と決意すれば、下からの花見を楽しめるのかもしれない。

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でも下から花を見るのはちょっと恥ずかしかったです。

「昔の◯◯をやってみた」系の作業は、だいたい最終的には昔の人の気持ちがわかるものだが、今回は最後まで何もわからなかった。完全敗北である。

「もともとニッチな見方なので情報が少なかった」「菊に詳しい人に先に話を聞くべきだった」などいろんな敗因があるが、一番は大きかったのは
私の感受性が下から花を愛でるまでに至ってなかった」ということだろう。

もっと花に接していけば、いつかは江戸人の気持ちがわかるのかもしれない。諦めずにいつかまた再チャレンジしてみたい。

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帰ってきてから菊の下からの写真を探してみたら、今回見た花よりもポテンシャルを感じた。もしかして菊が特に下から見るのに向いている花なのかもしれない。菊の開花時期になったら再チャレンジだ!
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