【細かいルール】
■水以外はすべてしりとりで食べるものを決める
→調味料などもしりとりで獲得する必要あり
■ルールさえ守ればいつ何を食べてもOK
■同じものを食べるの禁止
→吉野屋で牛丼を食べたら他の店でも牛丼は食べられない
■言葉は「食べもの名」 or 「商品名」のどちらでもあり
→カレー or スパイス香るカレーのどちらでもOK
■食べるものは細かく指定する
→「寿司」はNGで「マグロの握り」はOK
■長音で終わる場合は母音を使う
→「カレー」の次は「え」
■食事は調理してもお店で食べてもOK
1日目
1日目はしりとりの「り」からスタート。
「とりあえず朝ごはん食べるか!」と会社に向かう途中でコンビニに寄ったものの、「り」から始まる食べ物がまったく見つからない。
「1日目の朝はコンビニでパンでも買えばいいか」と思っていたのだが、それはアップルパイよりも甘すぎる考えだった。
単純に考えてみればわかることなのだが、パンというもの自体に「ん」がつくことにようやく気づく。
クソ……「簡単な遊び」だと思って油断していた。
たいして複雑でもないしりとりの基本的なルールを見逃していたなんて…
いつもなら朝ごはんはすぐに決まるのに、もうかれこれ10分くらいはコンビニでウロウロしている。
ルールをもっと単純にすればよかったと、この企画始まってから数分で早くも後悔し始めた。
単純に食べ物でしりとりするだけなら簡単であるが、「リブロースステーキ」のようなものを思いついても会社に行く途中のコンビニで調達するのは難しい…!
考えても考えても「りんご」しか頭に浮かんでこない。
いつの時代も「しりとり」→「りんご」というのを当たり前のように叩き込まれているので、日本人は「り」の次は「りんご」しかでてこないように洗脳されていると言ってもいいだろう。
ウロウロしてコンビニを徘徊するものの「り」がつく朝ごはんになりそうなものが見つからず、どんどんと会社に行く時間も迫ってきた。
ただ結局、迷いに迷った末に何も思い浮かばなかったので「りんごジュース」を買って急いで会社に…
人間はしりとりの「り」の前ではパブロフの犬なのだ。
誰もりんごからは逃れられない。
否応なく朝ごはんが「りんごジュース」になってしまったので、昼はなんとしても脂っこいガッツリしたものが食べたい…!
いつもならお昼はガストとか吉野屋みたいなチェーン店に行ってサッと済ますのだけれど、今日はそうもいかない。
一生懸命に駅の近くを歩き回り20分かけてようやく「スタミナ定食」にいきついた。
食べるものを探すのに異常に時間がかかるな。
和やかで楽しい感じの一週間になると思っていたのに、想像以上に厳しい戦いになりそう…
うまく言葉を繋いで昼はスタミナ定食を食べることができたが、夜は帰る時間が遅いこともあって考える余力がなくトリッキーなご飯になってしまった。
ただし、一つ知見を得ることもできた。
食べたいものがあるときは「クランキー」のようなお菓子で細かく経由すればいいということだ。
誰もやっている人がいないからこういう攻略法を自分で見つけて手探りでやっていくしかない…!
【1日目】
りんごジュース→すたみな定食→クランキー→いなり寿司→シーチキン&サラダ
2日目
「イクラが食べたい」と朝起きてから思ったのだが、今日は「だ」から始まるものをまずは探さないといけない。
いつでも好きなものが食べられるというのは幸せなことなのだ。
「出汁」を経由して「生姜焼き」にたどりついたが、老人とヤンキーが同居しているような朝飯になってしまった。
立ち止まって冷静に考えてみれば「だし巻き卵」とか作りやすいのもあるけれど、コンビニやデパートに行って商品を見てしまうと他の食べ物名がまったく思い浮かばない…!
今その場にある食べものを視覚で認識してしまうと、引っ張られて他の言葉がでてこなくなってしまうようだ。
だいぶしりとり生活の難しさに不安が募っていたのだけれど、昼ご飯と夜ご飯はあっさりと決まって安心した。
単純なしりとりと違って色々と工夫が必要なことがわかってきた。
「炭水化物にいかにうまく繋げられるようにするか」とか「朝ごはんを楽に食べられるように前日あらかじめ繋ぎやすい言葉にしておく」とか、やっていく必要があるかもしれない。
【2日目】(前日:シーチキン&サラダ)
出汁→生姜焼き→キムチ鍋→ベーコンレタスバーガーセット
※ 以降、「キムチ〇〇」と「マクドナルドのセットメニュー」は禁止
3日目
今までの朝ごはんと違って、バランスの良い朝ご飯を食べることができた。
食べるものがスムーズに決まったという安堵だけでなく、自分の中でべつの感情も生まれていた。
楽しい…そしてなんか気持ちいい…!
今、ようやくこの企画の醍醐味に気がついた。
ただただしりとりをやるのではなく「バランスの良い食事」などをうまく揃えることができると、テトリスで一気にブロックを消すときのような爽快感があって気持ちいいのだ…!
誰にも共感されない気持ちよさであるが、これが本当に異様な達成感があるのだ。
だんだんと「しりとりで一週間生活する」ことの楽しみ方もわかってワクワクしてきたのだが、そこに一つの油断が生まれていた。
食べるものを決めにスーパーに行ったとき、半額でエビが売っており、どうしても食べたかったので「肉豆腐」→「フルーチェ」とつないで購入。
異常な性的興奮にも近いエクスタシーをデパートの海鮮コーナーで感じて絶頂していたのだけれど、「び」で終わったのは悪手だった。
楽しんで企画をやることを優先してしまったため、「び」というちょっとトリッキーなひらがなになってしまう。
うーん、どうしようか……
考えても考えても「び」で始まる手軽な食事が思いつかなかったのだけれど、ここで一つの奇跡が起きた。
たまたま友達と音楽スタジオに行ったときに、そこに「ビリヤニ」という料理が置いてあったのだ。
誰がこんな偶然を予想できただろうか…!
神様がビリヤニと巡り合わせてくれたと言っても過言ではないくらいの感動が僕にはあったのだ。
だから今日はビリヤニ記念日。
ルールを決めて生活していると、こういう予想もしない偶然に出会うことがあるから楽しくてたまらない。
【3日目】(前日:ベーコンレタスバーガーセット)
トマトジュース→スープはるさめ→目玉焼き→切り干し大根煮→肉豆腐→フルーチェ→えび→ビリヤニ→肉みそキャベツ
4日目
すごく順調にしりとりが進むようになってきた。
単調にしりとりをやっているだけでなく、今日のお昼は「主婦がティータイムに食べてそうなもの」というテーマでそろえた。
楽しくなってきたので夜ご飯は作ったことのないキーマカレーを作ることもでき、遊びを入れる余裕ができはじめていたのだ。
大丈夫だ、もうしりとりで生活するのも余裕だな…!
……なにをやっているときもそうであるが、こういうときの油断というのものが世の中で一番恐ろしい。
【4日目】(前日:肉みそキャベツ)
つくね串→シーフードピラフ→フルーツポンチ→チーズケーキ→キーマカレー
5日目
一週間しりとりで生活してもこのままだと山場もなくて記事的に盛り上がりも何もないかもな…!
なんて記事の心配もしながら余裕しゃきしゃきでいたら、夜ご飯が食べられないという事態に陥った。
単純な理由なのだけれど、この日は家に帰ってくるのが0時すぎになってしまったうえに、「ば」のつく食事を探す気力が湧かず。
……ズルズルと悪いことというのは連鎖するもので、失態はこの夜ご飯抜きで終わりではなく、次の日にさらなるミスを犯すことに。
【5日目】(前日:キーマカレー)
エリンギ→ギリシャヨーグルト→トマト→トースト→とろろそば
6日目
肉がガッツリ食べたかったので、コンビニを3軒ハシゴして細かく言葉をつなぎ「すたみなジャンキーからあげライス」までたどりつく。
苦労したけどやっぱり自分が食べたいものにたどりついたときの気持ちよさは最高だ…!
だいぶこの生活にも慣れてきた6日目にして史上最高空前絶後のしりとりプレイングを魅せる。
ルールに載っとった上で、バラバラな食材をしりとりで獲得していき「手巻き寿司」を作った。
たまらない…ぷよぷよで20連鎖するくらいの破壊的な気持ちよさだ…!!
うまくしりとり生活をやってきてたと思っていたのだけれど、ここで一つ違反が発覚する。
ルールを破ったとかそういう問題ではなく、今日の「生茶→冷やして食べるフレンチクルーラー」がそもそもしりとりになっていなかったのだ。
ダメすぎる…まったく気づかなかった……
単純にしりとりができていないのだから弁解の余地がない。
色々と重いペナルティも考えたのだけれど、この企画を一日プラスして続行することで許してほしい…!
【6日目】(前日:とろろそば)
バナナ→生茶→冷して食べるフレンチクルーラー→厚切りポテトチップス→すたみなジャンキーからあげライス→酢飯→しょうゆ→ゆず白菜→いりごま→まぐろ→ロールケーキ→きゅうり→緑茶→焼きのり
7日目
今までの失敗の鬱憤をはらすべく、この日の夜はテーマをガッチリと決め、「原宿にいる女の子が食べてそうなもの」で揃えた。
たまらないほどうまく連鎖した…完璧だ!
【7日目】(前日:とろろそば)
りんご→五目焼きそば→バニラアイス→スフレパンケーキ→キウイミックス→スムージー→
いちご
8日目
単純にこの日は主食→主食→主食の三連打。
ダラダラとここまでやってきたが、これが初日からできればどれだけ楽だったのだろうか…
固まったテーマを決めて食材を揃えるのにも快感を感じるが、すぐに食事が決まるのも竹を刀でスパッと切るような気持ちよさがある。
【8日目】(前日:いちご)
五目釜めし→塩焼きそば→ばくだんおにぎり
9日目(最終日)
ルールを決めてここまで約一週間やってきたが、ラストは、「誕生日ケーキ」で終わり!!!!
りんごジュースから始まって最終日に「ラストは誕生日ケーキにしよう!」というオチが頭の中で決まったときは「ああ、このために一週間がんばったんだな」と思ったくらいの感動があった。
大好きな弟を祝いながら企画も締め。
めでたい!!
【9目】(前日:ばくだんおにぎり)
リブロースステーキ→キウイ→一夜干し焼きいか→カステラ→ライムサワー→アーモンド&小魚→ナポリサラミ ドルチェ→エビ生春巻き→黄身→みかんサワー→アラビアータ→誕生日ケーキ
この文章からようやくしりとり生活が終了
冒頭で書いた、「この記事の仕掛け」の答え合わせをしようと思う。文章が読みづらいから気づいた人もいたかもしれない。
答えは、
「この記事の文章がすべてしりとりになっている」
というものだ。
枠で囲まれた説明書きや、()で囲まれたところ以外の文章はすべてしりとりで書いてみた。
実は「しりとりで文章を書く」ということを思いついたのだけれど、それだけじゃおもしろくないと思ったので「一週間しりとりで食事をする」という企画をフリにして記事にすることにした。
口語の文章ってだいたいが「い」「た」「だ」「る」とかで基本的に終わるから、次の段落がどうしても不自然な文章になってしまうから難しかった。
けどやりたいことがやれてよかった。
ああ、自由に文章がかけるって素晴らしい…!!
自由に食事できるって素晴らしい!!!
しりとりしないで生活できるって素晴らしい!!
弟よ!誕生日おめでとう!!!!