特集 2018年12月25日

社会人が忘年会で締めるなら、おれは絶対に食べたい鍋で締める

俺たちの締めははいつだって鍋だった。

忘年会の毎日である。これだけ忘年会をやったら10年ぐらい忘れてしまうんじゃないか、というぐらいやっている。あれは、最後の忘年会が終わった翌日のことだ。ふと「鍋食べてない!!シメは鍋だろ!!」と思った。そのおさえきれない情熱を胸にひめて、食べたい鍋を食べに京都に行った。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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忘年会が終わった翌日、京都へ

会社の飲み会でベロベロになり、ほとんど覚えていないのだが隣に座った人に「ロックマンをやりたい」と熱弁していたことは覚えている。ごめんな。

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ベロベロのときに撮った。全員ベロベロなのでぶれている。

おいしかったのだが、鍋が出なかった。読み会というのは鍋を食べなければ飲み会は終わったことにならないので、鍋を食べる必要がある。そういう風習が自分の中であります。

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なので京都に来た。鍋を食べるために京都に来るタイプの人間です。

早く起きて午前中には京都に着いて観光やら御朱印集めなどをしようと思っていたが、到着したのは14時半。敗因は12時に家を出たことだ。冬の二度寝って気持ちいいですよね。

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赤いこってりラーメン

ただ、お店が開店するのが17時なのでその前にちょっとだけ変わった天下一品を見に行こうと思う。

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五条桂店。

大通り沿いにある五条桂店。店内に入ると町の中華料理のような雰囲気で当たりを予感させる。

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赤のタイルが中華料理屋っぽい。

何度か天下一品の記事を書いているがそのたびに「五条桂店がおいしい」と天下一品通たちからコメントをもらうほど評判である。そして、これがちょっと変わったメニューだ。

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赤くて、なにか乗っている。これが五条桂店限定のメニューだ。

一般的な天下一品の店舗では見たことないラーメンである。ひとつずつ説明していこう。まず、中央に大きく乗っているものが角煮である。

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この店限定である。

「チェーン店で出てくる角煮なんて、薄くておいしくないんでしょ?」と言う人がいたら、一度話し合いたい。ぶ厚くてジューシーな角煮がおいしくないわけないだろう。そのあと喫茶店で「角煮、おいしかったね」と語り合いたい。

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薄めの文庫本ぐらいある。2時間ぐらい読める。

そして、赤いのは唐辛子である。一般的な店舗には唐辛子が置いてないが、こちらの店舗ではオリジナルの唐辛子を注文することができる。それがどんぶり一面にふりかけられているのだ。

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オリジナルブレンドの唐辛子。うま味のある辛さなので韓国産唐辛子をメインにしていると思う。

こってりとしたスープの中にある辛さがおいしさを引き立てる。ここにしかないようなのでぜひ。

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料亭でこってり鍋を食べる

そして、時間になったので行きたかった鍋を食べに行こう。

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鴨川にやってきました。

京都でも有数の観光地である鴨川。そして、その隣にある町、先斗町。先斗町と書いて「ぽんとちょう」である。大通りにはマクドナルドなどのチェーン店も見かけるが、路地にはいると、そこには古きよき日本を感じさせるお店が立ち並んでいる。

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「テレビで見たことがある風景だ!」とテンションが上がった。

「味のわからないやつが来るな!」と初めてのお客は断わるお店が多いと思っていたが、バルのような気軽に入れるお店が結構ある。そして、その路地を進むとあった。

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そこにあるのが「天下一品先斗町味がさね」。知っているタイプの天下一品じゃない。
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お目当ての鍋はこちらです。

天下一品こってりちゃんこ鍋。そんな素敵な鍋の名前をつけてもいいのか。これを食べに京都に来たのだ。雰囲気のあるところで食べる天下一品も素敵じゃないの、どれどれ中に入ってみようかな、内装はいつもどおりの中華料理屋っぽい幹事なんでしょと余裕ぶりながら、中に入ると全然違った。

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玄関で足がすくむ。大丈夫?「いちげんさんお断り」とか言われない?

「1名なんですけど大丈夫ですか?」とおそるおそる聞く。「大丈夫ですよ」と言われ、中へと案内されるがそこには驚きの光景がひろがっていた。

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こんなところ、法事でしか来た事ない。
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天下一品なのかと怖くなるほど落ち着いた雰囲気。

川を見ながら食べることもできる風流な天下一品である。夏の時期は川が見える外に席を作ったりするそうだ。全部がおしゃれすぎる雰囲気に気持ちが飲まれている。食べているときに芸能人とか国の偉い人とか来たら持っている小皿を落とすと思う。

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落ち着かない。

見るもの全てに高級感がある。ここは元々、お茶屋らしく築170年以上の建物らしい。廊下やお部屋には値打ちがありそうなお椀や掛け軸が飾られている。一般的なお店だと天下一品とコラボしているアイドルや芸人のポスターが貼られているのを見るが、そんなものはどこにもない。有線から流れるインストのUSAなんて絶対に聞こえてこないタイプの天一。

鍋だけ食べて帰るのは申し訳ないので、お刺身を頂くことにした。鍋とお刺身を注文して待つ。

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注文後、先だしが出てきた!
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もうなんか怖いなと思った。

挙動不審である。鍋を食べに来ただけなのだが、こんなにも緊張感が張り詰めるものなのか。斜めに座ったおじさんはゆったりとしていたので、たぶんこんなに緊張しているの自分だけだな。おじさん、新聞を読み始めた。

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五種盛りのお刺身。まさか、天下一品でお刺身を頂くことになるとは思わなかった。
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ちなみに普通のこってりラーメンもある。

ドキドキしながら刺身を頂いていると、とうとう楽しみにしていた鍋がやってきた。これが自分なりの締めだ。

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こってりのスープを使ったちゃんこ鍋。
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具材は豚バラ、牛もつ、鶏つくね、豆腐、もやし、ニラなど盛りだくさん。
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煮立った。
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適当に盛り付けたが料亭っぽさがすごい。

早速、頂こうと思う。味は濃そうにみえるが、意外とさっぱりとしていておいしい。こってりの濃厚な味は残しつつ、お店オリジナルの合わせ味噌を加えることでコクやうま味、風味が豊かになっている。

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それはかっこむほどおいしさである。
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五臓六腑に染み渡るおいしさ。

鍋を食べて満足している場合じゃない、雑炊を食べなければならない。世の中のトラブルも雑炊を食べたら8割は解決する。平和のシンボルである。

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こってりのスープで食べる雑炊。たまごでとじました。ありがとうございます。
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風邪の時にも食べたいですね。
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本当の締めは広島で

これで終わってもいいのだが、2018年も終わろうとしているのにこれで終わってもいいのだろうか。いや、よくない!

飲み会のあとってラーメンを食べたくなるだろう。なので、ラーメンを食べるために広島に行こうと思う。

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時刻は午後10時をまわりましたが、ようこそ、広島へ。

終電で帰ることはできなくなったが、食べたいものをあるのだから仕方ない。まだ深夜バスもある。予約していないが食べ終わったら調べておこう。急いでお店へ向かう。

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ここが本当の締めをする場所、広島にある天下一品の新天地店。

中に入ってメニューをながめていると面白いメニューがたくさん見かけることができる。

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おいしそうなのが色々とある。京都の白みそ、京都になかったな。

西日本の天下一品には、オリジナルメニューが多く存在する。それだけでも気持ちがおどって、町の人たちと歓喜の歌を合唱したくなるだろうが、目当てのメニューがある。

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絶品ラーメンである。

絶品。辞書で調べると「非常にすぐれた品物や作品」のことである。もう、絶対においしいやつだと思ってメニューを見たところ、それを超えるメニューが出てきた。

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絶品MAXである。食べ物にMAXがついてくる。

「更なる高みへ!」というキャッチコピーが心を高ぶらせる。これを食べに来たのだ。昔、こってりよりもこってりとした「超こってり」というメニューがあったが、そのおもかげをほうふつさせる。

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そして、ここの店舗ではゆで卵がサービスでもらえる。食べ放題の店舗もあるそうだ。
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そして、天下一品ならではの食べ方。これがとてもおいしい。家でもやりたい。

ゆで卵を食べながら待っていると絶品MAXがやってきた。

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普通のこってりラーメンに見える。

通常のこってりが来てしまったと思ったが、よく見るとレンゲ近くのスープの沈み具合が違う気がする。すくってみると、全然違った。

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ドロッドロである。

健康志向のOLが飲む朝のスムージーぐらいドロドロしている。麺を持ち上げるとスープがものすごく絡みついてくるのだ。

そして、味である。一瞬、カルボナーラを食べているのかと思ってしまうほどのクリーミーさ、そして今まで食べたことのないこってりを凝縮したような鶏や野菜の風味が口の中をかけめぐる。この世の全てのこってりを集めたような匂い。こってり好きにはたまらない上級者向けのメニューだ。

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めちゃくちゃおいしい…。

ラーメンで今年の飲み会も締めることができた。これで心置きなく、新年を迎えることができる。帰るべく、スマホでバスの予約サイトを確認しようとしたときだった。

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バスないな。

本当に思いつきで京都から広島に行くことにしたのだが、三連休の初日である。事前に予約しないでも乗れるだろうと思っていたが、そうかないのか。広島に1泊が決まった瞬間だった。もちろん、ホテルなんて予約していない。

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野宿が頭をよぎりました。

サウナの仮眠室で寝れたのでよかった

無事、今年を締めることができてよかった。この後、駅前で広島駅の前で写真を撮ろうとしていたら上機嫌な集団に声をかけられ、写真を撮ってあげた。「ホテルないんですけど泊まれそうはホテルあります?」と聞いたところ、「あ、あそこ泊まれるよ!」とおじさんに教えてもらって急いで向かうと「今日はいっぱいなんですよ」と言われて寝られそうな公園を探した。サウナ施設を見つけてなんとか屋根のある場所で寝られることになったのでよかったです。
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ホテル探しをしているとき、人かと思って声をかけそうになった電柱の横にあるメーター。
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