シカが近くにいるとなごむ
大会は、序盤に飛び出した44.5メートルの記録が抜かれず、そのまま優勝となった。
結局わたしは優勝争いには加われなかったけど、なんとか20メートルはクリアすることができて満足だ。なんで祭りではいろんなモノを飛ばすんだろうと思っていたが、不思議と達成感があったりして、ハマってしまうのもわかる気がしてくる。
それに鹿せんべい飛ばし大会だと、大型の動物がやってきて飛ばしたディスク(せんべい)をモグモグ食べる、という光景も見られて楽しい。
ということで、いよいよその成果を発揮するときがきた。
前の人のプレーが終わり(20メートルくらい投げていた)、速やかに大会用の特製鹿せんべいを受け取って競技エリアに入る。いくぞ!
それでは、シカオさんの掛け声(よいしょ〜!)に合わせて投げます。いくぞ!
割れた! 記録以前に、鹿せんべいが割れちゃったのである。
投げた瞬間にわかったけど、鹿せんべいって、思ってたよりモロいのだ。ちぎれて飛んでいったせんべいはファールゾーンに飛んでしまい、もちろん測定圏外。
このあとも立て続けに2枚投げたが、2投目も割れてしまい、3投目は優しく投げすぎて目の前に落ちた。悔しい……。
フリスビーの練習によって、強い回転をかけるためにギュッと握ってしまうクセがついていたのかもしれない。しかしそれでは鹿せんべいは割れてしまうのだった。盲点だった。
思うような結果が出せなかった。練習もしてきたのに、不完全燃焼だ……。
悔しさを噛み締めながら大会の動向を見守っていたが、朗報がある。
もう1回並んでもいいらしい。
せんべいを上手に飛ばせなかった参加者に向けて、たしかにそのようにアナウンスがあったのだ。「こそっと並び直してもらってもいいですからね」。
よく見ると、初めに投げていたチャンピオン軍団も再登場したりしている。いいんだ。
順番を待っているあいだに、どうやったら上手に投げられるかの研究もできた。ちょくちょく投げ方についてのアナウンスがあるのだ。
たとえば「風はお寺さんから神社に向かって吹いてます。お寺さんの方に投げるといいですよ」というものとか。風を読むのがだいじなんだな。
そしていちばん重要なのは、鹿せんべいをやさしく握って、割れないように投げることだ。
それでいてスナップを効かせて回転もかける。難しい作業であるが、なんとか頑張りたい。最後の泣きの1投、いかせていただきます!
フワフワっと飛んだ鹿せんべいだったけど、山おろしの風にも乗って、なんとか20メートルのラインを越えた。やったぞ!
嬉しいような、ホッとしたような。爆発的に盛り上がるわけじゃないけど、じわじわ嬉しい気持ちになった。
フリスビーのテクニックはあまり役に立たなかったけど、若草山の風は味方にすることができたのだ。
ありがとう若草山、そしてすべてのシカたちよ。これからも奈良公園を訪れるときには、鹿せんべいを差しあげますね。
大会は、序盤に飛び出した44.5メートルの記録が抜かれず、そのまま優勝となった。
結局わたしは優勝争いには加われなかったけど、なんとか20メートルはクリアすることができて満足だ。なんで祭りではいろんなモノを飛ばすんだろうと思っていたが、不思議と達成感があったりして、ハマってしまうのもわかる気がしてくる。
それに鹿せんべい飛ばし大会だと、大型の動物がやってきて飛ばしたディスク(せんべい)をモグモグ食べる、という光景も見られて楽しい。
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