何故おセンチ窓は失敗したのか
おセンチ窓でセンチメンタルになれなかった理由を私なりに考えてみました。
・窓に自分が映り込んだのが電車だったからよかった。
・自ら覗き込みにいくと落ち着かないから。
・電車だと「家から離れる自分」「今から帰る自分」と、家からの距離が肝心なのではないか。
以上3点、答えが出ました。『半年ぶりの電車』に乗って『家から離れたところ』で『自分の顔が突然映り込んだ』からよかったんでしょう。
夏、半年ぶりに電車(グリーン車)で都内へ行きました。
高崎から高崎線に乗って途中の大宮駅。窓に自分の顔が突然映りました。大宮は高架下に停車するので、窓の外が暗くなり顔が映ったのです。
窓に映った自分と目が合い、なんとも言えないセンチメンタルな気持ちになりました。雨が降ってたからというのもあります。
窓に自分の顔が映る体験がかなりよかったので、どこでも自分の顔が映せる窓を作りました。
普通車両だと窓を背に座るので『窓に顔が映る』体験はしにくいかと思います。グリーン車に乗ると体験できるやつなのです。
電車の窓に顔を映すコツですが、平屋車両がおすすめです。2階建のグリーン車だとうまく顔が映りませんでした。2階建車両は、1階2階共に窓が湾曲しているので頭が伸びておセンチに入り込めません。
アニメ、ドラゴンボールのエンディングの冒頭部分、「ロマンティックあげるよ」のイントロとともにブルマというキャラクターの顔が窓に映っている映像が流れます。あれです。
私の、窓に自分の顔が映るセンチメンタルさのイメージは「ロマンティックあげるよ」なのです。
窓に自分の顔が映る。がわかったところで、次はこれを再現できる窓の作り方です。
『どこでも自分の顔が映る窓』の材料は、A3サイズの額縁とアクリルボード(スモーク)です。
額縁にアクリル板を入れたら完成ですが、アクリル板がA3サイズより少し大きいのでアクリル専用のカッターで大きさを調整しました。
スモークのアクリル板を使うことにより、暗いところじゃなくても自分の顔が映ります。完成の写真に撮影している私がしっかり映っているのがその証拠です。
額縁は、電車の窓っぽい白を選びました。
窓ができたところで名前を決めます。『おセンチ窓』なんてどうでしょう。
おセンチ窓で自分の顔を映したら、どこでもセンチメンタル(以下、おセンチ)になれるか試していこう!
いろいろなものを背景にし、自分の顔を映していきます。
まずは普通に覗き込むだけ。
ちゃんと自分が窓に映っています。なかなか良いできだ。おセンチになれるかどうかより、自分の工作がちゃんと機能していることの方が嬉しかったです。(おセンチ度1%)
お昼にお弁当を買ってきました。食べ物を背景に自分の顔が映る気持ちはどんなものでしょうか。
お腹が空いていたし、好きなお店のお弁当なので欲丸出しの自分の顔が映りました。自分の欲望顔を見たことがなかったので新たな一面が。(おセンチ度4%)
お弁当のあとに自分の子供の頃の写真をA3サイズにプリントアウトしたものを背景にして覗き込んだのですが、おセンチにはなりませんでした。思い出の写真は、当時を少し思い出すだけで、ふーん。ていう感じ。
電車でのあの衝撃は味わえないのだろうか。ちなみに夏の電車でのおセンチ度は92%くらいです。
何が足りないのだろう。
センチメンタルに寂しさを加えたら、家よりはおセンチにひたれるのでは?と考えて外へ行きます。
平日昼過ぎ頃。公園に来ました。
この公園に人がいるところを見たことがありません。寂しさを味わえるうってつけの場所じゃないか。と、思ったのですが、公園は住宅地の中で、あまりの静けさに胸がざわざわし始めます。
こんな寂しいところで、おセンチ窓を覗き込んでしまったら、なんかやばい。
急におじけづいてしまいました。
急遽、直接窓を覗き込むのはやめ、窓に霧吹きを吹きかけて雨が降った状態にする撮影に変更します。雨でワンクッション置いて、公園を直視するのを防ぐ作戦です。
窓に霧吹きで水をかければ『雨の日の車内』が表現できるのです。
窓を撮った瞬間に手を滑らせてスマホを落とし、画面が割れました。
撮影はスマホでしていたので、その瞬間の顔は撮れなかったけど、パリン!と画面の割れる音がした瞬間の顔が窓に。「現実を受け入れないぞ!」という真っ直ぐな自分の瞳と目が合いました。
窓についた水滴がぽたぽた落ちてくるのが良い感じですが、肝心の私の精神状態が0でした。(おセンチ度0%)
気を取り直して高台にある公園に来ました。
『紅葉の終わり』という寂しさを背景に窓を覗いて自分の顔を映します。
窓の向こう側を『紅葉の終わりの寂しさ』にしたことにより、すこしだけおセンチになれました。8%くらいです。やっぱり低い。(スマホ画面を引きずっている可能性もある)
やっぱりまだ物足りません。
窓の外側が止まっているからでしょうか。電車は動いているので風景が流れていきます。動きが大切なのかもしれません。
窓を持って公園の端から端まで歩いてみました。
自分が動くことにより窓の風景が流れていくのですが、自分が動かなくてはならないため足元や周りを気にしたりと集中できません。
窓に自分の顔が映り込むセンチメンタル感。は電車じゃないと味わえないかもしれない…。
こうなりゃ窓の向こう側を動かして、電車にいる感じにするしかないぜ!
電車と同じにするべく準備をします。
高台公園に入る前の道を自転車で走りしながら動画を撮ります。
動画を撮ったら家に帰り
画面越しに窓を覗き込んでいたら普通に電車酔い状態になりました。目が回った。おセンチどころではありませんでした。(おセンチ度0%)
電車と同じ状態でもおセンチになれないとは(電車酔いはしたけれど)…。電車の窓に自分の顔が映るあの感傷体験は、電車でしかできないことがわかりました。
んー。どこでも体験できたら考え事をするときとかにちょうど良さそうだったのになぁ。
どこでもおセンチになれる窓はおセンチになれませんでした。が、皆さんに突然、窓に自分の顔が映るおセンチを体験して欲しくて動画を作りました。
ぜひ全画面にして観てください。
おセンチ窓でセンチメンタルになれなかった理由を私なりに考えてみました。
・窓に自分が映り込んだのが電車だったからよかった。
・自ら覗き込みにいくと落ち着かないから。
・電車だと「家から離れる自分」「今から帰る自分」と、家からの距離が肝心なのではないか。
以上3点、答えが出ました。『半年ぶりの電車』に乗って『家から離れたところ』で『自分の顔が突然映り込んだ』からよかったんでしょう。
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