特集 2020年11月22日

年賀状を全力で送る

全力で年賀状をつくり、送り届けた3年間の軌跡です

2011年1月に掲載された記事を編集して再掲載しました。

父は数学教師。母は国語教師。姉2人小学校教師という職員室みたいな環境で育つ。普段はTVCMを作ったり、金縛りにあったりしている。(動画インタビュー)

前の記事:とどまらない止まれ(デジタルリマスター版)


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年賀状に特別な思い入れがあります

2009年から全力で年賀状を作り送り届けています。過去にはこんな年賀状を作りました。

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2009年の年賀状

 

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裏面(丑年でした)

 

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2010年は立体に


 

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裏面(ワシと茄子はマグネットで固定されており中から自由に動かせる)


なぜこんなことを続けているのかといいますと、僕は年賀状が全然もらえないからです。
もらえないのならば、一人に対して全力で送ろうと決めて数年続けているのです。
 

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送り届ける相手は毎年同じ。幼馴染みの小山くん


 

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閑静な住宅街に住んでいます

 

この行事は毎年、友人の下谷くんと山口くんに協力をお願いしています。2009年と2010年の年賀状制作は本当に楽しくて、当人達はキャッキャッいいながら運んでいました。

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元旦の町並みを背景に佇む年賀状
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自ら郵便局に赴く年賀状

今回は2ヶ月前から準備を行ってきました。僕も来年から社会人。全力で年賀状を届けるのは今回がおそらく最後になるでしょう。最後にふさわしい年賀状を作るべく頑張ります。事前の打ち合わせはmixiの日記内でやり取りしていたのですが、ターゲットの小山くんと僕はマイミクなのでバレないように、小山くんをマイミクから除外して計画を練りました。
 

年賀状を全力で作る

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大学の設備を使いまくる

 

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果てしなく広い作業場

心残りのないようにと、作業場所を実家から学校へと移しました。これにより使える道具が格段に増えて作業場所も広くなりました
 

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枠を作って壁をはりつけます。ほぼ小屋作りです
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年賀状カラーの白にします

今年の年賀状は過去最大のサイズ、作業時間、予算を費やして作られることとなりました。こちらがサイズの変遷です。

2009年度 H80cm×W50cm×D0.5cm
2010年度 H140cm×W90cm×D30cm
2011年度 H180cm×W120cm×D180cm

去年までは単純に大きくすればいいだろうと考えていたのですが、今年は少し違います。
 

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年賀状の中身も作ります


今年のテーマは「忙しい元旦にやさしい年賀状」です。まわりの同級生が卒業制作に励むなか、僕は一生懸命年賀状を作っています。これでいいのでしょうか。自問自答しながら作業は進みます。

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外側が完成しました

学校にある廃材を極力利用しましたが、それでもONE PIEACE全巻分ぐらいかかりました。穴のあいた靴を買い替えるお金がなくなりました。何にそんなにかかったのかと言いますと、レンタカー代です。
 

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運ぶのが大変

作業場所のある学校は南大阪にあり、運ぶ先の小山くんの家は京都にあリます。

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1.5トントラックで運びます


今回の年賀状は「H180cm×W120cm×D180cm」というサイズなので、人力はもちろん、普通の車にも乗りません。結果1.5トントラックを借りました。年末年始は大学には入れなくなるので、まずは大学の作業場から下宿先に運びます。

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年賀状、強風で倒れる

下宿先の大家さんに無理を言って駐車場に年賀状をしばらく置かしてもらいます。しかし、早朝、大家さんから突然の電話が。なんと強風で年賀状が横倒しになったようです。多大な迷惑をかけました。あまりの状況に写真を撮る余裕もありませんでした。
 

年賀状を全力で届ける
 

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ブルーシートをかけて隠す

風で倒れてしまうなどの想定外の事故もありましたが、下宿先から今度は京都の実家へと年賀状を運びます。運んでいる最中、年賀状を覆っていたブルーシートが外れてしまい、年賀状が丸出しの状態になってしまいました。地元に近づくにつれて心の底から恥ずかしいと思いつつもなんとか運び終えました。朝起きてみると
 

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年賀状に雪が積もっていました

 

いったん広告です


 

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ブルーシートを外して出陣です

実家から小山くんの家までは人力で運びます。協力してくれるのは今回も下谷くんと山口くん。元旦の朝から協力してくれるなんて。なんていい人たちなのでしょうか。
 

2011年・年賀状の全貌

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今年の年賀状はただ大きいだけではありません
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今年の年賀状は、開きます
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なかには神社が入っています
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年初めといえば初詣です

わざわざ出かけるのも面倒くさいだろうと年賀状の中に神社を作りました。デリバリー初詣です。

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狛犬です

 

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芯はビクター犬です

 

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絵馬です

 

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おみくじを結ぶところです

 

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スティックシュガーです
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床には砂利も敷き詰めています

 

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お賽銭箱です
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90年分のおみくじです


おみくじも毎年ひくのも面倒くさいだろうと考え、小山くんのために2099年までを記したおみくじを用意しました。これで小山くんは一生おみくじをひかなくてもいいのです。
 

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神社といえば、巫女さんです


巫女さんの服は3000円ぐらいで売っていました。意外と安い。日本のコスプレ文化の恩恵です。下谷くんに着てもらって小山くんの家を目指して出発です。
 

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小山くんの家は400メートルほど離れています
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去年はとても楽しかったその道程

去年は運んでいる当人達だけはゲラゲラ笑いながら楽しく運んでいました。
 

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去年よりも手間をかけたのですから、当然今年も楽しいはずです
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しかし、何かがおかしいのです

去年ほど楽しくありません。どうやらまわりの皆も同様に感じているようです。ガラガラと地面を転がるキャスターの音だけがあたりに響きわたります。そして、車通りの多い道にさしかかった時に、下谷くんがポツリといいました。

「恥ずかしい•••」

 

全力で年賀状を送り届けるのは恥ずかしい

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去年まであれだけ楽しそうに年賀状を運んでいた下谷くん

通り過ぎる車すべてに「あけましておめでとうございます!」と話しかけていた、あの下谷くん。そんな下谷くんが恥ずかしい、恥ずかしい、と顔を隠すのです。2010年なんてはしゃぎすぎて年賀状が足元に落下し、骨にヒビが入った下谷くんが、2011年は恥ずかしい、恥ずかしい、と今にも逃げ出そうな顔をしているのです。
 

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あんなに楽しかったのに


下谷くんと同じように、山口くんと僕も恥ずかしくて恥ずかしくて、とても楽しいとは思えませんでした。去年まではあんなに楽しかったのに。裸でいることを恥じるようになった幼少時代のような気持ちを3人ともが感じていたのです。
 

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まわりの目を避け年賀状を運びます

なんとか小山くんの家へと到着しました。
 

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小山くんに出てきてもらおうと電話をかけるのですが、繋がりません


どうやら寝ているようです。仕方なくドアホンを押します。しかし、玄関から出てきたのは、小山くんのお父さんでした。

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その瞬間、僕はサイドステップして逃げようとしていました

サイドステップした勢いをなんとかその場で圧し殺し、お父さんに「こ、小山くんいますか?」とたずねます。お父さんは年初めに現れたこんな不審な奴に対してもやさしく対応してくださいました。しばらく待っていると小山くんが出てきました。
 

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眠たそうです
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年賀状を体験してもらいます

年賀状の扉を開けてもらい、賽銭箱にお賽銭(300円)をもらい、おみくじを90年分ひいてもらいました。
 

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小山くんからもらったお賽銭の300円は、3人で100円ずつわけました
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小山くんの初詣が終わると早々と撤収することにしました

去年まであんなに楽しかったこの行事が、こんなに恥ずかしくなるなんて。驚きです。

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来年は25歳だし、僕らも大人になったのかなと3人でボソボソ話しました

年賀状を全力で送り続けて

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まさか年賀状を全力で送るという行事が、スタンドバイミーのような結末になるとは思いませんでした。僕たちの青春グラフィティです。
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年賀状の解体は父が手伝ってくれました。

 

 

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