特集 2020年2月4日

海鮮丼を求めて早朝の市場へ行く~東急沿線さんぽ

2月なので海鮮丼を食べたい。

最近、海鮮丼のおいしさに目覚めた。いや、元々おいしいのは知っていたのだが、改めておいしいということに気づいてハッとした。それからというもの、スーパーで安くなったお刺身を食べたりしているのだが、お腹いっぱい刺身が乗った海鮮丼を食べたい。だって、立春だから。

 

※この記事はデイリーポータルZの運営元であるイッツコムのサービスエリア、東急沿線の魅力を紹介する記事です。

 

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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三軒茶屋で海鮮丼茶漬け

有名人が多く住む町、三軒茶屋。人気の町としても知られている。地方から上京する若者は三軒茶屋を選びがち、というあるあるを聞いた事があるが、どうでしょうか。

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「海街丼 三軒茶屋本店」というお店。

昔、さだまさしが「海は見えますか?」と歌っていたが、海が見えなくても海鮮丼は食べられる。

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イワシをあぶったどんぶり、白身魚をごちゃまぜにしたそれはありがたい丼もある。

ここのお店は海宝丼というのが名物である。並、上、特上とあるが、どれにしようか。仕事で何かを成し遂げていなくても、私生活でおめでたいことがなかったとしてもこれから人生、おもいきって特上を選ぶ人生でありたい、そう思った。

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特上を選ぶ人生が始まった。

券売機で券を買い、渡す。カウンターだけでの店内で手際よく調理されているのを横目に見ながら、スマホの電源を落とした。海鮮丼を食べながらのスマホの使用はご遠慮くださいと俺の心が言っているから。

お茶を飲みながら待つとやってきたのはこれぞ特上という丼だった。

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夢を見ているのか。

いくら、カニ、エビにウニ、赤身と白身魚などがたっぷりと入っている。バチが当たりそうなぐらい豪華である。エビを食べれば、プリプリとした食感、いくらとウニの濃厚な味、アクセントで入っているキュウリの食感、おいしいのはもちろんだ。そして、口の中にひろがる「豪華な食べものを食べている」という気持ちに日頃の嫌なことを忘れそうになる。

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お好みで卵黄とすし酢のジュレとかけてお召し上がりください。

海鮮丼のご飯は酢飯か、ただの白飯か問題がある。酢飯の場合、少し冷めているので具材が痛まないと聞いたことがある。あと、単純においしい。

ただの白飯は温かいご飯の場合が多く、ほかほかのご飯で食べるマグロの刺身はおいしい。なので、どっちもいいということでこの疑問は終わります。好きな方を食べればいい。

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そんなケンカはやめて、海鮮丼にしょうゆをかけるところをみんなで見よう。

バクバクと食べて、このまま完食をしそうになるが、ちょっと待ってほしい。これで終わりじゃない。お茶漬けがある。

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出汁茶漬けにして食べられる。

しかも、ご飯を追加してくれるのだ。たまに海鮮丼で「量が少ない。これでこの値段か...」と落ち込んでしまうことがあるだろう。でも、お腹いっぱいで帰ることができる。

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どうやってもお茶漬けをきれいに撮れなかったので、そのおいしさを鼻の下を伸び具合で表現しました。
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神の食べものを食べる

海の神様がくれた食べ物こと海鮮丼。いくらでも食べられそうである。いくらだけに。そんなことでいくら丼のお店に行く。「波の 渋谷東店」というお店だ。外観は撮ったつもりだったが、なんかなかったです。

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いくらだらけだ。

一般的には鮭の卵のいくらが一般的だが、このお店ではマスのいくらも食べることができる。甘みが強く濃厚な味らしい。

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マスのいくらもあるが、特上のいくらもある。
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そして、黄金いくら。いくらって黄金になるのか。

黄金のいくら。世が世のならお金の代わりになるのではないか。食べてみたいとメニューを見ていたら、インスタ映えするいくら丼を見つけた。

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レインボー丼。

レインボーのわた菓子は聞いた事はあるが、いくらでレインボーとは気になるではないか。これにしようかと思ったが、下に書いてあるメニューに目がとまった。

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神の食べもの。食べものに神って名前をつけてもいいのか。

神様の食べ物が地上に降りてきた。これはぜひ、食べたい。

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ちなみに追加でトッピングもできる。こちらには載っていないがサーモンもトッピングできるので、ぜいたくをしたくて我慢できない人は全部のせよう。

待っているときに書いたメモを見たら「明日からマラソンをはじめたい」と書いてあった。前向きになるぐらい興奮していたのだろう。マラソンは1センチも走ってない。

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そんなことを考えていたらやってきた。一度、祈りをささげてから食べます。

黄金のいくらに特上いくらだけでも豪華なのに、そこにウニが乗っている。実は食べたら木の葉でしたみたいな展開にならないか不安になるぐらい豪華。

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サーモンを乗せたい夜もある。
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もう、だめだ。(おいしくて)

こんなに噛んだ瞬間に「プチ!」とはじけるいくらは初めて食べた。プチプチ祭りが渋谷で行われています。

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また、おいしくて鼻の下がのびた。
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食べ終わっても大丈夫。お茶漬けにできる。

このお店でも食べ終わったあとにお茶漬けができる。今、海鮮丼屋ではお茶漬けブームが来ている。

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こんなこともあろうかなとサーモンを残しておいて正解だった。
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ありがとうございました。
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市場の中で食べる二色丼

最後に紹介するのは13時までしかやってないお店だ。10時には完売する可能性があるので、そのお店がある横浜へいつも会社に行くよりも早く行った。会社に行くよりも足取りは軽い。なぜなら、海鮮丼が待っているから。海鮮丼と愛しい人は待たせてはいけない。

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朝焼けの横浜。

眠いので迷ったりしながら、20分ぐらい歩いた。明るくなってきたころに着いたのは、横浜市中央卸売市場である。

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横浜にも市場があるのを恥ずかしながら初めて知りました。

海鮮丼があるのは水産物部ではなく、青果市場の方である。

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市場の人たちが働いてる中を進んでいく。

本当にこんな場所にあるのか、市場の人が働いてる様子をながめて一周して帰ってくるのではないかと不安になりながらも進んでいく。多分、インディジョーンズと同じ気持ちです。

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あった。市場の食堂という感じで好きです。

竹家食堂というお店である。朝の5時から営業しているので、市場の人たちにはありがたい。一般の人も入れる。

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七夕の短冊、これでいいな。

ここにはファミレスにあるようなメニュー表はない。壁に貼ってあるメニューを見て頼むのだ。ハムエッグもおいしそう。生姜焼きもいいな。

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テーブルに味の素が置いてあるお店は信用できる。ハムエッグにかけたい。

ここには山盛りのネギトロ丼があると聞いた。名前はネギトロ番長というらしい。ただ、今はもうやってないらしい。

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番長からバトンタッチ。二色丼。

二色丼を頼む。残念だが、東急沿線ではない横浜の関内にある「バンバン番長」というお店にはあるそうだ。東急沿線じゃないので行けないな、そう思いながらテレビでニュースを見て数分。やったきたのは最高の朝食だった。

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このどんぶりを見たとき、日本の夜明けは近いと思った。

二色と聞いていたが三色ある。厚切りの中トロにマグロのすき身、ネギトロが乗ってる。

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こんなの朝から食べてもいいのでしょうか。

みそ汁に小ばち、サラダに漬物もついている。絶対おいしい。この写真を孫にもみせてあげたい。

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孫へ、おいしいです。
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あと、ご飯を食べると8割ぐらいほほにご飯がつくスキルを手に入れた。履歴書の特技に書きたい。
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行った日が市場一般開放日だった

実は横浜市中央卸売市場では月に2回(第一、第三土曜日)に市場を一般開放しており、普段入ることができないところも見学をすることができる。

たまたま行ったこの日が開放日だった。なんと幸運な日だろうか。というより記事に情報が載ってよかった。

ぶらっと見ただけでも楽しい。

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マグロの解体ショー。

マグロを解体するときの包丁は特別なもので1m50cmの長さもあるものを使う。しかも値段を聞いてびっくりなんと50万円するらしい。高価なものなのだ。ジャンプのマンガを見過ぎているからかもしれない、刀みたいでかっこいいなと思った。

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数量限定のサバマン。
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チーズとサバがたっぷり。

この他にもつみれ汁が売られていたり、普段は買えないようなお得な商品が色々と売られている。

毎年、地魚のつかみ取りがあるらしいが、今年は不漁のため3月まで行われないそうだ。

「イワシとかも高級魚になっちゃうから、安いうちに食べた方がいいよ」と話を聞いた市場の人に教えてもらった。みんな、イワシを食べよう。

また、お店だけではなく、見学ツアーもやっている。

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子どもに大人気の探検ツアー。

市場の人に紹介してもらいながら、市場をめぐることができる。これが無料なのだからうれしい。自由研究にもいいかもしれない。

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開放日にしか見ることができないおみこし。
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タコやエビがほられている。

このおみこしは市場が開設して20周年を記念に作られ、なんと500キロの重さがある。

昔はイベントごとにかついでいたそうだが、今ではかつぎでがおらず、一般開放日に公開するのみだそうだ。作ってくれた職人の方も高齢で後継者がおらず、壊れたら直すことが難しいので大事に保管されている。

このあと、マグロなどが保管されているマイナス40℃の冷凍庫の見学もあった。撮影ができない場所だったので写真は撮れなかったが、子どもたちがタオルを回してタオルを凍らせていた。寒い場所でよく見る実験ランキング一位のやつだ。

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発泡スチロールのを固めたブロックをみんなで触る時間があった。
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生けすの魚を見る。ディズニーランドのスプラッシュマウンテンぐらい濡れる。

そして、最後には競り(せり)の体験ができる。競りで売られるマグロの尾は切られているのだが、理由としてはマグロの品質を見るためだそうだ。隣の子どもがこの断面を見て「おいしそう」と言っていた。食いしん坊の素質がある。

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こういう勉強、子どもの頃は興味なかったが今聞くと面白いですよね。

このあと、競りの体験を行った。子どもたちに混じって大人たちも大声で「300円!」と叫ぶ。良い光景である。

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ちなみに競りでは指を使って「9」を表すときはこの形らしいです。
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参加者には魚のクリアファイルがもらえる。魚に花でホッケと読むのか。
 

この後、カレー屋に行きました。

一般開放は9:00~11:00までなので、ゆっくり見てたらすぐに終わったしまった。市場を出たところに良さそうな雰囲気の食堂を見つけた。

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のぼりにある毎日にかわるカレーの味に心がひかれた。
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シマアジと鯛で出汁を取り、エビ、ホタルイカ、スルメイカ、ホタテ、カキがたっぷり入ったカレー。こんなに魚介の風味を感じられるカレーは初めて食べた。あと、松屋以外でカレーにみそ汁がついてくるのも初めて見た。
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