特集 2025年9月4日

三光町でサンコーチョを食べる

2024年の12月から年始にかけて、1ヶ月ほどコロンビアに滞在していた。
そこで出会ったのが、コロンビアの伝統料理「サンコーチョ」だ。
お肉とトウモロコシをじっくり煮込んだ優しい味わいのサンコーチョは、日本で言うところのお味噌汁みたいなポジションで日常的に食べられている。

サンコーチョという名前を聞いた瞬間から、「日本のどこかにある地名みたいだな」と思った。
Googleマップで調べたら、埼玉県は川越市に三光町(さんこうちょう)があることがわかった。

行くか、三光町。そして食べるか、サンコーチョ。
 

会社員。色んな仕事をして色んな街に住んで今に至る。粘土で形を作るのが得意。うどんよりもトンカツが好き。

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サンコーチョとの出会い

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おお、我が愛しのサンコーチョ

「サンコーチョ」は、中南米のカリブ海沿岸の国で多く食べられている伝統的なスープである。
どんな味がするのかというと、意外にもスパイシーさや脂っこさとは無縁の、出汁のうまみが爆発しているスープなのである。日本人が大好きなやつだ。

コロンビアでは、トウモロコシの粉でできた薄いパン「アレパ」やお米と一緒にサンコーチョを食べる。出汁のうまみと主食の組み合わせって、日本人にとっては「お味噌汁とご飯」みたいで、かなり馴染みがある味わいだ。

コロンビアと日本はお互い「地球の反対側にある国」というイメージなので、みんな日本人に興味津々だった。いろんな人から、公用語のスペイン語で「コロンビアの何が好き?」と聞かれた。
その度に「メ グスタ サンコーチョ(サンコーチョが好きです)」と答えると爆笑された。滞在中は完全に持ちネタにしていて、初対面の人にほぼ毎回言っていた。

例えるなら、日本を訪れているブラジル人が「お味噌汁大好き!」って言ってるようなもんだからそりゃウケるだろう。
すっかりサンコーチョLOVE人間として認識され、一緒にレストランに行くと「ほら!サンコーチョあるよ!」とみんなが教えてくれた。グラシアス!

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こちらはコロンビアの一大観光地「ハルディン」のレストランで食べたサンコーチョ

サンコーチョの魅力は味もさることながら、名前の語感も良い。サンコーチョ。

スープのサンコーチョが好きすぎて、埼玉県の川越市にある「三光町(さんこうちょう)」にまで想いを馳せるようになってしまった。
三光町でサンコーチョを食べたら、完璧なサンコーチョLOVE人間になれるだろう。

というわけで、三光町でサンコーチョを食べることにします。

三光町にコロンビア料理店があったら良かったのですが、ありませんでした。当たり前だ。
なので、作って持っていきます。

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日本でサンコーチョを作る

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サンコーチョに必要な材料をスーパーで購入

コロンビアまでは飛行機で片道27時間くらいかかりますが、サンコーチョは日本のスーパーに売っている具材で作れます。

【日本で作るサンコーチョのざっくり分量】
・とうもろこし… 1本 4等分くらいの輪切り
・骨付き鶏モモ肉… 1枚 出汁が出るように骨の端っこを切る
・玉ねぎ… 1個 みじん切り
・ジャガイモ… 中2個 四つ切り

・パクチー… 2〜3本
・ライム… あればあるだけ良い

・おろしニンニク… チューブのものを2センチくらい
・クミン粉末… ひとつまみ
・コリアンダー粉末… ひとつまみ
・コンソメキューブ… 1個


コロンビアでは、サンコーチョに入れるお芋は「Yuca(ジュカ)」が定番。
ジュカは日本だとタピオカの原料になるキャッサバのこと。ホクホクしつつも繊維っぽさがあり、レンコンとサツマイモの中間みたいな食感でとても美味しい。

現地ではフライにしてステーキの付け合わせにしたり、ふかして食べたりと大活躍。そしてジュカはサンコーチョに入っている時が最高に輝く具材なのだが、日本ではなかなか手に入らないので、今回はジャガイモで代用。里芋でもOKです。

あと、日本で買うのが困難な青いバナナ「Platano(プラタノ)」もサンコーチョに欠かせない具材で、バナナなのにポテトっぽい淡白さとほんのりとした甘味が……ああ!サンコーチョの具材の話だけで止まらなくなる。こんなことではまた「日本人はマジで食い物の話が大好きなんだな(スペイン語)」と言われてしまう。そうです。

気を取り直して作っていきましょう。

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鍋に油を適量入れて、みじん切りにした玉ねぎとおろしニンニクを炒める

玉ねぎが透き通って香りが立ってきたら、お水1リットルと鶏肉、トウモロコシ、ジャガイモを入れて煮ます。シンプル。

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切って炒めて煮るだけです

グツグツしてきたらコリアンダーとクミンの粉末をパッパッと入れましょう。
この状態で30分くらい煮込むと……

 

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スープがほんのり黄色くなってとろみが出てくる

こんな感じになればスープの完成です。

輪切りにしたトウモロコシの芯から出汁が出て、それが鶏ベースのうまみと絶妙にマッチするのがサンコーチョの味わい。
ですが、容赦無くコンソメキューブ1個を入れちゃいます。
塩を足したいなーと思ったら塩を足しても良いでしょう。南米の料理はそのおおらかさが最大の魅力です。

あとは器に盛り付けてライムを大量にかけてパクチーの葉っぱを散らせば、サンコーチョの完成!

しかし、私が三光町に行くのは明日なので、この日は粗熱をとって鍋ごと冷蔵庫に入れて寝かせます。早く食べたい。

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いざ、三光町へ

翌日、サンコーチョを温め直し、三光町に行く準備をします。
ここで重要なのは、ちゃんとサンコーチョになっているか。そうでなければ「三光町で食べるサンコーチョ」が成立しない。しょうもないダジャレだが私は本気だ。

ということでコロンビア出身の方に味見してもらいました。

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一口食べて「うわ!サンコーチョだ!」と言っている様子

無事サンコーチョになっていることが確認できました。
ちなみに日本でサンコーチョを食べるのはかなり違和感というか、不思議な気持ちになったそうです。
彼には三光町にも同行してもらいます。サンコーチョで買収成功。

温め直したサンコーチョはスープジャーに詰めて、いざ出発!

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具材とトッピングは別の袋に入れて、保冷バッグで持っていきます

電車を乗り継いで川越市駅まで行きます。

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着きました!

私が着ているのはコロンビアの友達からもらったTシャツ。サッカーコロンビア代表100周年を記念して、約80年前のレトロなユニフォームを復刻したものらしい。
3色ボーダーはコロンビアの国旗カラーです。かわいい!

ちなみにかぶっているのは、「Sombrero vueltiao(ソンブレロ・ボルティアオ)」というコロンビアの伝統的な帽子。
この日初めてかぶって出かけたのだが、大きなつばが日除けになってめちゃくちゃ涼しく、撮影用の衣装というより実用品としてかなり役に立った。猛暑の日本では今後必需品となるかもしれない。

⏩ 川越市駅から三光町へ

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