似ているところと似てないところ
途中で少し話したアカハライモリの写真を載せて記事を締めたいと思う。


対して、ファイアサラマンダーはパッと目につく背中側に模様があって、逆に腹側は地味なグレー一色である(個体差による例外はある)。日欧の文化的差異を反映しているのだ(ちがう)。
目的は同じ警告色なのに、真逆の配置になっているのはとても興味深い。

知らない土地に来ると、とりあえずそのへんをうろうろと散歩するのが癖である。
たいてい何かしらおもしろいものが見つかるし、運が良いと今回のようにファンタスティックな出会いに恵まれることもある。たとえなにも見つからなくても懐は痛まないので我ながらいい趣味だと思う。
ザルツブルクの市街地を貫通して流れるザルツァハ川をはさんで、そこだけ大地を削り忘れたような急峻な丘が二つそびえている。
一つが東の新市街地側にあるカプツィーナーベルクで、今紹介したファイアサラマンダーがいたのはこっちである。
有名なホーエンザルツブルク城などがあるのは、川の西岸にある旧市街地に接しているメンヒスベルクの方だ。
ザルツブルグといえばモーツァルトの生まれ故郷だ。
生き物や地形ばかり見ていていたが、せっかくだから観光地らしいところにも行ってみようということで、旧市街地にあるモーツァルトの生家を見学することにした。
ザルツブルクといえばモーツァルトだ。
旧市街の一等地には立派な銅像が建てられたモーツァルト広場があり、ホテルのロビーには巨大なモーツァルトの人形が飾ってあったし、郊外にあるザルツブルク空港はモーツアルト空港の異名をもつ。さながら鳥取県における水木しげる先生のような立ち位置である。
私はというと、映画『アマデウス』に出てきた「ヒハハハハ!」という甲高い声で笑いながら下ネタを連発するモーツァルトの印象が強く脳に焼きついていたため、彼の顔や名前を見るたびに笑い声がフラッシュバックして苦しめられることになった。
とはいえ、死後数百年にわたってこうして市に富をもたらし続けている彼がザルツブルクにとって大恩人であることは間違いない。
展示されていたのは、書簡、肖像画、生前のモーツァルトが使っていた細々とした日常品などなど。
「ふーん」という、わかったようなわからないような顔でそれらを見て回った。自分で自分の顔は見えないのになぜそう思うのかというと、周囲の観光客たちもみな「ふーん」という顔をしていたからである。
日々大勢の人がこのなんということのない住居へやって来て、12ユーロ払ってわかったようなわからないような気になって帰っていくのだ。やっぱりモーツァルトはすごいなあとあらためて感心したのだった。
途中で少し話したアカハライモリの写真を載せて記事を締めたいと思う。
![]() |
||
<もどる | ▽デイリーポータルZトップへ | |
![]() |
||
![]() |
▲デイリーポータルZトップへ | ![]() |