パリ:
僕もナオさんも共通の飲み友達に、漫画家の清野とおるさんがいるじゃないですか。
ナオ:
はい! 清野さん!
パリ:
『東京都北区赤羽』シリーズなどで、超売れっ子の。
ナオ:
私はもう、だいぶご無沙汰していて飲み仲間というのはおこがましいですが、でも最初に会ったのはけっこう昔です!
パリ:
前に一緒に赤羽で飲んだりもしましたよね。僕も、考えてみたらもう20年近くの付き合いで。
ナオ:
飲みましたねー! 楽しかったな。
パリ:
僕は昔から清野さんとふたりでよく飲んでいたんです。それこそ赤羽でも何度も。それが数年前から、新鮮味を求めて「赤」以外の色の着く駅名の街に行って飲むっていう遊びをやりはじめたんですよね。
ナオ:
清野さんといえば赤羽だからこそ、「赤」以外でね。
パリ:
そうそう。他の街ではなにかおもしろいことが起こるのか? なにも起こらないのか? たとえば文京区の「白山」とか、足立区「青井」とか、目黒区「目黒」とか。
ナオ:
けっこうあるもんですね。
パリ:
ところが清野さんの強烈なパワーのせいなのか、行くとなにかしらおもしろいことが起こったりして、とにかく愉快なんですよね。その記録をこれまで、いくつかの媒体をまたいで、記事として発表したりもしてきてて。
ナオ:
連載時に読んでいましたがすごかったです! 清野さんの漫画のなかの赤羽みたいなことが他の町でも起きるんだなーって。
パリ:
そうそう。
ナオ:
赤羽の魅力はもちろんだけど、やっぱり清野さんがそもそもすごいのかな。
パリ:
そうなんですよ。たとえば、その「赤」以外でのできごとではないんですが、清野さんが、僕の地元の石神井界隈まで飲みに来てくれたことがあるんですね。本当に、ふだんはおかしなことなどなにも起こらないのんびりとした街なんですけど、小さな飲み屋にあとから入って来た酔っぱらいのおじさんがラーメン頼んで、うまそう〜にすすってるんですけど、よくみると失禁していて。「清野さん、石神井になに連れて来てくれてるんですか!」と。生まれながらにそういうところがある。
ナオ:
「そういうところ」がもう、わけわかんない。
パリ:
はは。異常事態巻き起こしがち。だって壇蜜さんと結婚するんだもん、突然。
ナオ:
ははは。たしかに異常事態に見えました! もちろん必然性あってなんでしょうけど、外から見ていると「え??」っていう。
パリ:
で、今回は、その「赤以外」徘徊が何度やっても楽しいので、僕とナオさんが、それぞれが住む大阪と東京で、赤以外の色のつく街を散策してみて、その様子を報告しあうのはどうでしょう? という、まぁ、ゆるい企画ですね。
ナオ:
最初にこれだけは言わせてもらえば、清野さんとパリッコさんのようにはいきませんよ!
パリ:
はは。こちらもです。特になにも起きてない。
ナオ:
でも楽しかったんですけどね!
パリ:
うん! 楽しかった。
パリッコの「桜上水」ぶらり旅
ナオ:
パリッコさんはどちらへ行ったんでしたっけ?
パリ:
春らしく「桜」色の街ということで、「桜上水」駅を選んでみました。
ナオ:
いいですね。桜色ね。
パリ:
ね。そして、一度も降りたことない駅かもしれない。
ナオ:
何線ですっけ。
パリ:
京王線ですね。世田谷区にあって、下高井戸と上北沢の間。
ナオ:
そうか、あのへんだ。なにがあるんだろう。
パリ:
なんかいろいろありそうではある。まぁそんな、ふわふわとしたイメージのまま行ってみました。で、もちろん裏テーマというか、せっかくだから「桜色」にちなんだ風景や、酒、つまみなんかを探してみようと、事前に話してたんですよね。それで、駅に着いたら
パリ:
割ともう桜色で、いい予感がしました。
ナオ:
はは。本当だ!
ナオ:
もう2ポイントだ。
パリ:
風景ポイントはまぁ、ひとつ10ポイントとはいかない。でも、地道に稼ぎました。
ナオ:
ちなみにこのポイント、貯まったからといってなにもない。
パリ:
自己満足。
ナオ:
「僕、156ポイントいったことあるんですよ!」「へー」
パリ:
はは。「すごいね! ところでさ〜」って。
ナオ:
「きみ、最近たるんでるよ」って、減給の話に。
パリ:
相手、上司だったんだ。仕事できなさそうなやつだなー。
ナオ:
はは。憎めないやつ。とにかく2ポイントをとりましたね。
パリ:
で、駅を降りてみると、北口と南口それぞれに、そこまで規模は大きくないまでも雰囲気のいい商店街があって、あぁ、いいなと思いました。ただ、とりあえずなにもわかんないので、北口から徘徊してみるかと。
パリ:
こんな。
ナオ:
いい道幅!
パリ:
ね! もう住みたいでしょう。
ナオ:
うん。毎日ここを歩いて帰りたい。
パリ:
ただ今回、まことに面目ないのが、これはもう言い訳にもなってないんですが、スケジュール的にその日のその時間しかタイミングがなくて、駅に着いたのが午後2時とかで、いちばん飲食店がやってない時間帯だったんですよね。もちろん、飲み屋もほとんど空いてないし。この、
パリ:
も、まだやってなくて。
ナオ:
うわー! 50逃したのはでかい。でもそのくらいって、空白の時間帯ですよねー。
パリ:
ね。もしやってたら、この花びらの枚数×ポイントもらえましたよね?
ナオ:
もちろんですよ。
パリ:
はは。ルールが曖昧!
ナオ:
割とどんどんあげるルール。
パリ:
それでもまぁ、とにかく歩き始めました。
パリ:
ここはやってた。この「明太子クリーム」で10ポイントはいけるだろうと。ただ、まだ徘徊始めたばかりなのでいったん候補にして、もうちょっと先へ行ってみることにしました
ナオ:
できるだけ桜色のものを摂取したいわけですもんね。上を狙いたい。
パリ:
そうです。
パリ:
こういう横道の奥まったところにもけっこうお店があったりして、本当、楽しい街でした。
ナオ:
散策しがいがあるなー!
パリ:
あと、超気になったのがここ!
パリ:
残念ながら営業時間外だった。
ナオ:
なんだか雰囲気がある。
パリ:
店名なんか「あぶら〜亭」で、麺の要素なくなっちゃってる。油そば、みたいなことなのかな?
ナオ:
油そばがメインのお店っぽいですね。美味しそうだわ。
パリ:
今検索してみたら、飾りっけのない「ザ・油そば」という感じですね。いいな。かなり年季入ってそうなので、きっと人気なんだろうな。
ナオ:
これはきっと名店です。
パリ:
ね。いつか行く。ここで首都高の高架下にぶつかって、北口商店街の終わりあたりなのかな。一応少しうろうろしてみると、「亀井堂」という、歴史のありそうなおせんべいやさんがありました。で、こりゃ自分には縁のない店かなと思いきや
ナオ:
桜色のお菓子とかでポイント取りにいけそうでもあるな。
パリ:
そうなんです!
ナオ:
「やわらか焼き」? なんだろう。
パリ:
聞いたことのないお菓子。もちろんおみやげに買って帰ってきました。
パリ:
本体こそ茶色いものの、目に鮮やかな桜色のパッケージのお菓子で、かわいいでしょう?
ナオ:
はは。なんの絵柄なのかなーと思ってたんですが、こんなシーンを描いたものとは。ぶん投げてますねー! 「やわらか」の言葉とは裏腹に。
パリ:
いい絵だな〜。ハードなシーンを、やわらかく描写してあるっていうことなのかな。
ナオ:
むしろあれか。「柔よく剛を制す」みたいな、やわらかいゆえに強いっていうことか。これは、ぬれせんみたいなものではない?
パリ:
帰って食べてみたんですが、不思議で、さっきの外から見た時の写真に、横に「瓦煎餅」が写ってたじゃないですか? あの味、知ってます? 甘い。味はそれに近くて。
ナオ:
あーこういうやつ、わかる。素直な甘さの和製クッキーというか。
パリ:
そうそう。おばあちゃんが好きそうなやつ。あれをこう、ぶわっと空気を含ませて広げたような。カステラとも違うんだよな。そこまで柔らかくはない。ちょっとサクサクで。
ナオ:
どら焼きの皮のかたいやつみたいな。
パリ:
あとですね、そう、この金太郎の絵柄がオーソドックスっぽいんですが、
パリ:
これが特価の半額で売られてて、
ナオ:
あ! 桜きたー。
パリ:
「なんでこっちは半額なんですか?」って聞いたら「春の限定絵柄で、ちょっと賞味期限が近いから」と。これはファインプレーでしょう?
ナオ:
これはすごい!
パリ:
40ポイント?
ナオ:
桜だからこそ半額だったわけですもんね。40ポイントでいいんですか?
パリ:
はは。まだいけたか。
ナオ:
言い値でいいぐらいですよ。
パリ:
自分で言ってしまったので、40で。
ナオ:
じゃあ、謙虚なので50で!
パリ:
やった! 謙虚ポイントプラス! で、そのすぐ近くに、
パリ:
貴重な営業中の店があり、ここも若干、桜要素強めだったんですよね。
パリ:
ここに入って、なにかしら桜色のつまみを探し、最悪見つからなければ、
パリ:
この鍋の紅湯と白湯を、店の人には悪いけど、均一に混ぜてしまえば、桜色になるかなとも思ったんですが。
ナオ:
はは。仕切りを抜くっていう。
パリ:
はは。抜けるのかなこれ。ばしゃー! って。たださ、この店、桜上水感は薄いですよね
ナオ:
まあそうですね。いい街にはこういうお店が必ずあるもんね。
パリ:
どこにあっても成立するというか。なのでまたちょっとキープで、もう少し歩いていたら。
ナオ:
はは。まただ!
ナオ:
これはまた老舗そうだな。
パリ:
上品なおばあさんがひとりで接客されてる小さなお店で。
パリ:
くまなく見させてもらったんですけど、桜要素が見つからないんすよね〜。でももう、あれこれ説明もしてもらっちゃってるから、どうにかこじつけでもいいから見つけたい。
ナオ:
うんうん。桜がどうこうなど、先方には関係ないし、ここはもうなんか探そう。
パリ:
ね。そしたらですね!なんと!
パリ:
を買ってみたんですが、この右の豆菓子が「桜海老」入りとのことで! ねばりました。あ、左の豆せんべいは、単純に欲しかったやつです。
ナオ:
わお! インナー桜色。これは逆にポイント高いです。
パリ:
でも、ほんのりエビ風味で。
ナオ:
見た目からわからないからこそ貴重なんですよ。
パリ:
はは。優しい。シークレットポイントで60?
ナオ:
60か。まあ、もっとあげたいけど、いいか。
パリ:
ははは。いい加減すぎる審判。
ナオ:
だって、ポイントいくらあげてもこっちには損がないんですよ。
パリ:
でも、このあと自身のプレゼンがあるんですよ? 僕が厳しめの審判だったとしたら…。
ナオ:
いや、これだけあげたんだから私ももらいたい!
パリ:
はは。
ナオ:
しかしおもしろい。今のところ、まだやわらか焼きとせんべいを食べただけ?
パリ:
いや、家で食べた写真なのでまだなにも食べてない。昼も食ってないし、超空腹。
ナオ:
時間帯が難しいですもんね。
パリ:
でまぁ、いったん駅に戻ってですね、逆側も見てみようと、
パリ:
またいいでしょう?
ナオ:
Y字路! いいですねー! また、さっきからこの「ちょい雨」がいいんだよな。
パリ:
雨の桜上水ね。いいですよね。このくらいの時点では、
パリ:
なんて、ギリギリはしゃいでる元気はあった形跡が、カメラに残ってますね。
ここも良さそうだけど、時間外で。
パリ:
「POWER UP!」ってもう、アイテムですよ。
ナオ:
はは。本当ですね。ゲームの中の店で買うやつだ。
パリ:
ファミコンの「くにおくん」でね。「かつかれー」っていう表記の。
パリ:
ここは武蔵野うどん屋っぽくて、やってなかったんですが、やってたらもう、桜と櫻のダブルポイントですからね。
ナオ:
そうですよね。その時点でクリアできてた
パリ:
はは。無敵状態からのポイント無双。ただ、以上のようにですね、店がやってないんすわ。
パリ:
なんだか、この先進んでいいのかわからないエリアに突入しはじめたんですが、戻るふんぎりもつかなくなってしまって、こういう、
パリ:
でポイントを稼ごうとしだしたり。
ナオ:
あーわかります。
パリ:
もらえても1ポイント未満のやつ。
ナオ:
これは桜の花びらですか?
パリ:
ですね。0ポイントかなー。
ナオ:
いやいや、これ、桜の木が上にあるわけですよね?
パリ:
はい。八重桜かな。
ナオ:
50ポイントです。
パリ:
はは! まさかの! これは元気が出るボーナス。で、さらに10分くらいはでたらめに歩いてたかな。そしたら、
パリ:
急になんかありそうな商店街が現れまして。
ナオ:
またいい通りに出ましたね。
パリ:
いいですよね。なんかやたらと学生が歩いてて、近くに日大の校舎があるらしく、「日大通り」っていうみたいでした。でもう、とりあえず腹も減ってるし、どこでもいいから入れる店、できれば一杯やれる店はないかと。
パリ:
「もう、桜色とかどうでもいいから」くらいに思いはじめつつ探していたところ、
パリ:
「焼いてます」の文字が頼もしい、
パリ:
という、粉もん系の店を見つけまして。しかもなんと、店内に飲食スペースがあるっぽい!
ナオ:
いい雰囲気ですねー!
パリ:
いかにも、学生がおやつに食べるようなね。
ナオ:
スコーンと抜けたいい空間。
パリ:
しかも!
パリ:
最高じゃないですか?
ナオ:
居酒屋並みの幅広さだ。サワー類にいろいろあるのが嬉しい。
パリ:
ね。プレーンもありますよ。
ナオ:
プレーンがあるの、うれしいです。
パリ:
で、このなかでいちばん桜色っぽいものはなにかと考えて頼んだのが、
ナオ:
いいチョイス。
パリ:
が、あらためてよく見ると、
ナオ:
はは。
パリ:
バイスサワーがあったら完璧だったんですけどね。それでもめげずにメニューを検討しまして。つーか、
パリ:
このなかだったらまずは、たこ焼き、明石焼き、お好み焼きあたり行きたいじゃないですか、どうしたって。でもとにかく今回はカラーメインなのでがまんして、いちばん桜色感がありそうな、
パリ:
にかけてみることにしました。
ナオ:
偉い! 食べたいものより色をとったんだ。
パリ:
初めてこの店に入って、明太チーズポテトいかないっすよね。
ナオ:
そうですね。4人で行ったときとかにやっと頼むやつ。
パリ:
これまたそこまで桜色ではなかったけど、ただ、めちゃくちゃうまかった。
ナオ:
おー! それはよかった!
パリ:
まずチーズを鉄板にのせて、その上に厚切りホクホクのポテトをのせて焼くようで、チーズがおせんべい状態なんですよね。
ナオ:
あー! あの焼けてパリパリになったチーズ、うまいよなー。
パリ:
ね。それの超豪華版みたいな。量もたっぷりで、むしろ今回の企画でなければ一生頼まなかったかもだから、いい発見でしたね。
ナオ:
お酒のつまみにもよさそうだ。
パリ:
あとこれはもう、色とかまったく関係ないんですが、えびせんにたこやきを挟んだ「たこせん」、目玉焼きを挟んだ「たません」というのがあって、どうしても食べたくてですね、
パリ:
プレーンチューハイを、梅が残ったグラスにおかわりしつつ、もらったんです。このたませんが、なんと198円!
ナオ:
安い!
パリ:
これが本当に、えびせんに目玉焼きとあげだまが挟んであって、マヨとソースが塗ってあるだけなんですが、もー! なんだろう。うますぎて死ぬかと思いました。
ナオ:
お菓子とおつまみの中間みたいな。大阪のお祭りの屋台にもよくあって、たまに食べると「これだ!」と思うんですよ。
パリ:
ね。うまかったな〜。ここはまた行ってあれこれ飲み食いしたい。つーか、たこ焼き食いて〜!
ナオ:
はは。本音。「色とかどうでもいいから食べたいもの食べてえー!」と。
パリ:
そうそう。あとですね、途中でひとつ気づいたのが、
パリ:
ここ、どうやら、すでに桜上水の隣の下高井戸エリアっぽいんですよね……。
ナオ:
はは。桜上水を離れてる。
パリ:
まぁ、清野さんとの飲み歩きでも、スタートが色のつく街で、終着点が違う街とかはよくあったのでいいんですが、せめて桜上水の飲食店にもひとつくらいは入っておかないとな〜と、駅前に戻ることにしまして。
ナオ:
律儀だ!
パリ:
で、もう選択肢あまりないので、さっきのカフェ「ティファニー」に行ってみることに。店に一歩入ってみたところ、
パリ:
カフェっていうか、もうちょっとランクの上のレストランっぽい感じで、ちょっとびびりました。
ナオ:
確かに、美味しいビーフシチューがでてきそうな雰囲気ですね。
パリ:
ですよね。しかも残念ながら、ランチタイムの15時をすぎてしまっていたようで、中途半端な時間で、食べ物のメニューが
・タコライス
・キーマカレー
・ホットサンド
・グリーンサラダ
・シーフードサラダ
この五択。あとはケーキとかそういうのだけ。
ナオ:
わー難しい!
パリ:
ね。まず、上のふたつはもう食えないんですよ。じゃがいももけっこうずっしりきたし。
ナオ:
はは。さっき食べたばかりですもんね。
パリ:
かといって、サラダだけってのも、なんだろう、せっかく桜上水の老舗っぽいカフェレストランでどうかなと思って、ここはホットサンドならいけるだろうと。燻製チキンとチーズと野菜のホットサンド。そして、お酒があるか聞いてみたら、けっこういろいろと頼めるようで、ハートランドの瓶をお願いしまして、
パリ:
もう最高。そこにホットサンドも到着
ナオ:
あーいいですね! 美味しそう!
パリ:
めっっっちゃくちゃうまかったです! パンがふわりと甘くて香ばしくて、野菜シャキシャキ、燻製風味のチキンとチーズもたっぷりで。
ナオ:
桜色だわ。
パリ:
あ、桜色ですか! これ食べながら、「あ、やべ、色のことすっかり忘れてた!」とか思ったんですが。審判が優しくてよかった。
ナオ:
しっかり桜色です!
パリ:
念のため、テーブルにあった、
パリ:
が桜色だったので、言い訳に撮っておいたんですが、別々でポイントもらえそうですね!
ナオ:
そうですね! さっき食べたばかりなのにまた食べた姿勢も評価され100ポイントで大丈夫です。
パリ:
すげー! かなりいったな。ちなみにこのお店、最初ちょっと敷居が高いかなと思って緊張したんですが、ぜんぜんそんなことなかった。フロアをひとりで仕切ってるお姉さんが感じよくて、僕の隣の席に来た、お父さんと小さな娘さんのふたり組に、にっこりと「今日はデートなんですね」なんて声かけてたり。かと思うと、カウンター席に顔馴染みっぽい女性がやってきて、「とりあえずビール!」って頼んで、完全に飲み屋みたいなノリで会話したりしてて。近所ならめちゃ通う。
ナオ:
地元ならではのいい店だったんですね。
パリ:
そうなんです。しかも、あの大ボリュームのホットサンドとハートランド、どっちも600円なんですよ。大満足でした! と、ここでフィニッシュでした。
ナオ:
おつかれさまでした!
スズキナオの「桃山台」ぶらり旅
ナオ:
パリッコさんの「桜色」に対し、私は「桃色」でいこうと、大阪の吹田市(すいたし)にある「桃山台」という駅を目指すことにしました。
パリ:
これまた春らしい。まったく想像できません。
ナオ:
あとで思えば「桃谷」っていう町に行ったら、そこは鶴橋の隣で、たくさんお店もあったんですが。
パリ:
桃の街、けっこうあるんですね
ナオ:
そうですね。あとからそれに気づき、そっちにしとけばよかったなと。というのも、桃山台はザ・ニュータウンみたいなエリアなんです。
パリ:
なるほど。
ナオ:
丘陵地帯だったのを、60年ほど前に、都市計画を大々的にたてたうえで作ったみたいな。太陽の塔のある万博記念公園とかも近いような場所で。
パリ:
うんうん。でも60年と聞くと、なにかありそうでもありますよ
ナオ:
梅田からも地下鉄直通の電車で1本で、交通の便はいい。私もパリッコさんと同じく最初は不安過ぎて、
ナオ:
ポイントをできるだけ稼ごうと。
パリ:
はは。やるやる。
ナオ:
駅を出たすぐのところに、これは八重桜かな。
パリ:
花は稼げますよね。
パリ:
あ! これは高ポイントですよ。
ナオ:
ツーショットだとポイントが2倍になると聞いてます。
パリ:
うん。50の2倍だから……100か。
ナオ:
はは。もう100ももらった。しかし安心してください。ここからポイントがないので!
パリ:
え!?
パリ:
うわ〜。この看板写真の、なんだろう、吉本新喜劇感? 最高すぎますね。これ、だっていちばん右、間寛平でしょう。
ナオ:
はは。言われてみると全員なんかいい姿。相撲のポスターもいいぞ。
パリ:
それもいいし、余白の多いのれんもいいし。
ナオ:
ははは。バランスがおもしろいですね。
パリ:
右端のおじさんだけ座ってるんですよね。
ナオ:
立ち飲みだけど、座りたい人には椅子もあるみたいな。
パリ:
そうそう。そういう優しさを感じますよね。「写真撮るなら椅子も置かせて〜」って。
ナオ:
きっといい店に違いない。さらに、駅の近くに
ナオ:
という駅ビルがあるんだけど、そこに入っている飲食店はカプリチョーザだけで、あ、喫茶店もあったかな。でもとにかくそんな感じだった。あ、
パリ:
これはかなりかわいいですね〜。言い値でいいやつだ。
ナオ:
吹田市警察署の横断幕に描いてあったので、オフィシャルなキャラみたいでした。30ポイント、いいですか?
パリ:
そんな少なくていいんだ。謙虚ポイントプラスで、40で。
ナオ:
はは。ありがとうございます! しかしあとはもう公園があって、
ナオ:
この辺は竹林の風景が名物になっているそうで。
パリ:
なんともいいな〜。
ナオ:
そう、いいんです。ただ、桃ではないんだよな。そして公園のわきには、
パリ:
いや、このニュータウン感たまらないっすね。
ナオ:
まさにですよね。きっと環境的にはすごく住みやすいんですよ。
パリ:
すべてがあるべき場所に配置されている。
ナオ:
とにかく公園のまわりを花を撮って歩くだけのひととき。
パリ:
はは。やってることは熟年男性の散歩。
ナオ:
しかたないので、
パリ:
これは努力ポイントつきますね。少しですけど。
ナオ:
ありがとうございます!
パリ:
33ポイント
ナオ:
思ったよりくれた! 私もこの時、すごくお腹が減ってたんですけど、あたりに飲食店がないんですよ。遠くに見えたこの看板がお弁当に見えたほどでした。
パリ:
はは。末期だなこれは。
ナオ:
でしょう。もう、この写真を撮って、
ナオ:
ってツイートしそうになっていた。
パリ:
わはは。
ナオ:
危うく踏みとどまったんですが、そんな状態だったんですね。
パリ:
意識が朦朧としちゃって。
ナオ:
広大な公園をぐるっとまわるように30分ぐらい歩いて、また駅のほうに戻ろうとして、
ナオ:
これはもう、それこそ駅前に戻ってカプリチョーザでいいわーと思いはじめて。ところが、
ナオ:
「竹見台マーケット」っていうのがあるらしいのです。
パリ:
集合住宅とか団地の1階に、たまにありますね、こういうの。
パリ:
そうそうこの感じ!
ナオ:
昔はもっと店があったんでしょうけど、でもいい雰囲気なんです。
ナオ:
そこにこんな店があったので入りました。
パリ:
おお!
パリ:
完璧じゃないですか!
ナオ:
ここで私は、「ちゃんぽん」を注文したんですよ。というのもほら、ちゃんぽんってよく、桃色のカマボコ入ってません?
パリ:
うんうん。ナルトも入ってる可能性ある。
ナオ:
そいつらでポイントを荒稼ぎしようと思った。
パリ:
はは、荒稼ぎまではできるかな〜。
ナオ:
ね。欲を出したのが悪かったのか、
パリ:
はは。
ナオ:
かまぼこ入ってないタイプー!
パリ:
スーン系のちゃんぽん。でもとにかくなにか食べられてよかった。
ナオ:
そうそう。めちゃくちゃ美味しいの。ちょっとあんかけになってて。ただ、あとで思うと、色味で言えば「かに玉」を注文すべきだったなー。
パリ:
いやでも、それはわからないもんな〜。つーか、気になるメニュー多いですね。「フライメン」って、かた焼きそば的なものかな。
ナオ:
そうそう!そういう言い方をする店があるんですよー!
パリ:
あ、そうなんですか! 関西特有なのかな?
ナオ:
そうなのかもしれない。
パリ:
「麻ぼ豆腐」もいいな〜。
ナオ:
はは。「ぼ」がかわいい。
ナオ:
でね、この竹見台マーケット、
ナオ:
いい雰囲気なんですよー!
パリ:
ほんとだ!
ナオ:
この豆腐屋さん。「朝一取豆腐」っていうのが名物らしくて。
ナオ:
これは家で撮った写真なのですが
パリ:
なにこれ!
ナオ:
ね。こんな風に丸いの。これはもう、まるで桃みたいでしょ!
パリ:
はは。それはさすがにこじつけ……いや、よく見たら確かにこれは桃だわ。30×5なので150ポイント!
ナオ:
やった。だいぶもらえた! しかし本当にこれが美味しくてね。あと、
ナオ:
も名物らしかったのと、
パリ:
出た! スズキナオオフィシャルドリンク。
ナオ:
買って帰ったもの全部、やたら美味しかったです。
パリ:
いや〜まいったな。
ナオ:
お店の方に聞いたら、竹見台マーケットは50年ぐらいはあると。めっちゃおばあちゃんが「私の若いころからあったのよー」って思い出を語ったりするらしい。つまりたぶんニュータウンができた当初のマーケットなんですよね。ここにたどり着けたのはすごくよかった。
パリ:
ニュータウンの店が老舗になる時代ですね。
ナオ:
そうそう。そういうことですね。あと、
ナオ:
を買って、これも「モモ」としてポイント申請しようと思っていました。
パリ:
はは。
パリ:
見たところ、150グラムくらいありそうなので、そこにとんちポイント50プラスして、200か。
ナオ:
はは。目方で! こんなにもらえるとはー! でね、桃山台で見つけられたものは、今回はこれぐらいしかなかったんです。あとはだらだら歩きまして、まさにパリッコさんと同じく、隣の「南千里」という駅の近くまで来てしまって。
そしたらそのあたりに千里南公園という大きな公園があって、園内に池があったんですが、そのほとりに、
パリ:
これはいい予感!
ナオ:
なんかこんな、テラスのあるレストランが建っているんです。で、食事じゃなく、ドリンクやデザートのみの利用でもいいらしかったので。
パリ:
最高じゃないですか!
ナオ:
ここで私は
ナオ:
を頼んだんですよ。
パリ:
これは、ソフトドリンク?
ナオ:
左はお酒で、右はソフトドリンク。
パリ:
またおしゃれなものを! しかしなぜ2杯?
ナオ:
パリッコさんも「薬膳鍋」でやろうとしていたことですよ。
パリ:
あ!
パリ:
あー!
ナオ:
どんどん桃色になっていく!
パリ:
やった〜!
パリ:
これは800ポイントですね
ナオ:
やったー! 1000を超えたので、この時点でクリア!
パリ:
はは。なにそのルール? けど、おめでとうございます!
ナオ:
ありがとうございます! 以上です。いや、本当にいい時間でした!
パリ:
なんつーかもう、前のナオさんの本にちなんだ、いつもの自分「じゃないほう」を選ぶ旅もそうですけど、なんでもいいんですよね。きっかけさえあれば。
ナオ:
そうそう! 必ずなにかあります。清野さんとパリッコさんのようなものすごい磁場まではいかずとも、自分なりに楽しい時間を過ごすことができる。
パリ:
それが今回も確認できてよかった。
ナオ:
ぜひ色のついた街を目指し! 色のついたものを飲み食いしてみてください!
パリ:
うん。でも、テーマは色以外でもなんでもいいんですけどね。サイコロふって出た目の数だけ最寄駅から移動してみるとか。
ナオ:
いいっすねー! 無理矢理な理由でいいから、いつもの自分が行かない場所に行ってみるきっかけにするっていうね。
パリ:
今回もそんなことをやってみたら、間違いなく楽しかったです。好きな場所が増えるんだよな〜。
ナオ:
私は竹見台マーケットの豆腐が本当に美味しかったので、来週また買いに行こうと思っています!
パリ:
あ、そういえば今回のポイントの集計、どうしましょう?
ナオ:
まぁ……面倒だしいいんじゃないですかね。もともと貯めてもなににもならないポイントだったし。
パリ:
ですね。
最後におしらせ
パリッコと清野とおるさんが「赤以外」の街をめぐり歩いた記録が本になりました! 数年分のカオスがたっぷりとつまった1冊。ご興味があればぜひ!