特集 2021年7月20日

ファン付き作業服みたいな服からちっちゃい和菓子を出す

ファン付き作業服みたいな服からちっちゃい和菓子を出す

街でよくファン付き作業服を見るようになってきたなと思う。中に風を送り込める機構のついた服である。最初に知った時は滑稽に感じたが、最近の夏の暑さを思えばあれくらいやって当然だし、見慣れるとそんなに変にも思わなくなってきた。

しかし待てよ、あの服の膨らみが風によるものかどうかなんて本人にしか分からない。例えば、ファン付き作業服を着ている人かと思ったら、ファンのところからちっちゃい和菓子が出てきて人に配っていたらどうだろう。

それは親切な人だ。ファン付き作業服を着ている人かと思ったらただの親切な人だったのだ。その人になった。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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ファン付き作業服みたいな服からちっちゃい和菓子を出す、とは

ファン付き作業服とは、こういうものである。

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作業着が多いが、普段着のデザインのものもある。この間立て続けに見て、いよいよ浸透してきたんだなと思った。

通常、この服は中に風を送り込まれて膨らんで見える。しかし、その風は着ている本人にしか分からないものである。もしかしたらちっちゃい和菓子がパンパンに入っているかもしれないのだ。

そういう服を作った。なぜかというと『可能性は限りなくゼロだが、そういうことが無くはない』という人物を、現実のものとして見ておきたかったから、そしてあわよくばそれになりたかったからである。ツチノコやUFOと一緒だ。『ファン付き作業服みたいな服からちっちゃい和菓子を出してくれる人』

できたものがこちらである。

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伝説の生き物。

うん、あの作業服に見える。満足の出来である。

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しかしここから…!
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ちっちゃい和菓子が、
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ちっちゃい和菓子が出てくるのだ!
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「糖分摂れよ」
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好みの和菓子じゃなかったら別のものも出せる。
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「ほくほくかぼちゃもあるしー」
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「ゼリーもあるよ」
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「ゼリーにする? 糖分摂れよ」
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もう一回全身を見ておこう。この人から出てきたんだ。ちっちゃい和菓子が。

ウソみたいな生き物をこの世に誕生させることができ、さらにその生き物になれて胸がいっぱいである。これからは履歴書に書こう。ファン付き作業服みたいな服からちっちゃい和菓子を出す人になったことがある、と。

貴重なのでもう一度見ておこう。

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遠くから走ってくる。糖分が足りてない人を放っておけないのだ。
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「そこの君、そこの君さあ!」
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「糖分足りてるか?」
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「きなこ棒食えよ」

親切な人だ。ただただ親切な人。

作る過程を紹介します

ただただ親切な人を堪能したところで、作る過程を紹介しよう。

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まず夏の作業着を用意してファンがある部分に穴を開ける。
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ダイソーで買った排水口のゴムのフタを付けたら外面は完成。
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内側は、和菓子が入るように裏地を付ける。

冬用の作業着だったら生地が二重になっていたかもしれないが、ファン付き作業服かと思わせるには夏の作業着であることが必須である。だからここはこだわるべきだと自分を奮い立たせて裏地を付ける。

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裁縫の経験がないので不安だったのだが、このボンドを使ったら一瞬だった。

このボンド、ものすごく便利です。早くきれいにしっかり付く。

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ボンドが乾いたらあとはちっちゃい和菓子をバンバン詰めればいい。
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形を整えるために上の方は綿を入れている。
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感覚をリセットしよう

さて、この伝説の生き物であるが、和菓子を出す様子に慣れるに従ってファン付き作業服に見えなくなってきた。変わった大きなポケットに見える。感覚をリセットするために、しばらくファン付き作業服の人として過ごしてみることにした。

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公園を見回ろう。ファン付き作業服を着てるわけだし。
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ゴミを見つけたら拾う。
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日差しを受けたテーブルが熱そうなので触ってみる。

「肉が焼けそうだ」

ファン付き作業服を着た僕は思った。夏の間だけでも違う素材のテーブルを用意したほうがいいかもしれない。なんの権限もないがそう思った。

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植物の具合をチェックしたりした。こんなに暑いのによく咲いている。
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異常無しだな。

どうだろうか。『ファン付き作業服の人』に目が慣れてきただろうか。

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ズルッ…
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梅もなかときなこ棒が出てきた。
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自分で食べてもいい。ファン付き作業服の人かと思ったら自分に親切な人。

全部出し、全部入れる

不意に、今どれくらいの和菓子が入っているのか気になって全部出して並べてみることにした。

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作業服の人がファンのところからちっちゃい和菓子を出して芝生に並べている。

夢かな。

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後ろの楽しげな旗も夢っぽさを高めている。
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全部で32個。ガサッと大きなお椀に入れておけばだいたいの集まりはしのげると思う。

しかし「もっとできるだろ」と、ファン付き作業服っぽいただの親切な人としての心に火が付き、今度は持ってきた全ての和菓子を服の中に詰めることにした。

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大きな和菓子アソート二袋、栗きんとんときなこ棒全てが軽々入った。ずっしりしている。首のあたりにかなり負荷がかかっている感じがするが、これがこの生き物の全力を出した姿である。

いや、まだ余裕があるので和菓子アソートもう二袋くらいはいけるかもしれない。末恐ろしいことである。

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あとはもう芝生に寝た。
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空と大地とファン付き作業服っぽいただただ親切な俺。
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起きる時に和菓子(親切)が一つ、ファンからこぼれ落ちた。
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いないとは言えない

『ファン付き作業服かと思ったらちっちゃい和菓子を出してくれるただただ親切な人』だった。

それが誰で、なんのためにそんなことをしているのかは分からない。しかし、やろうと思えばできるということだけは今回はっきり分かった。分からないことだらけだが、そんな生き物はいない、と断言することもまた不可能なのだ。

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作った服から和菓子を出しながら原稿を書きました。
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初めてのやつが出た。
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