動機
2歳の子どもと家で過ごしていたら宅配便が届いた。中身は子どものオムツなのだが、開けてみたいと言うのでしぶしぶ開けるとまず目に飛び込んできたのがエアー緩衝材だった。
子どもがむずとつかんで走り出したので僕も追いかけて走った。一緒につかんで走ったり、僕が緩衝材をなびかせて子どもがそれを追いかけたりした。その時の子どもがもう普段とはギアが数段違うはしゃぎ方をしていて、それを引き出したエアー緩衝材のポテンシャルに感心してしまった。
だって最後はもう妻にテレビ電話をつなげて、エアー緩衝材を持ってゲラゲラ笑いながら走る自分を見せていた(子どもは興奮するとその場にいない人間にテレビ電話をつなげたがる)。
これが楽しかったので、広い場所であらためてやりたい。大人だけで。
河原に来た
編集部の安藤さん(上の写真左)と、古賀さん(上の写真を撮ってくれた)を呼んだ。「エアー緩衝材を持って走りたいので来てください」と言って呼んだ。きっと困ったと思う。
そして楽しいだけじゃないのだ。エアー緩衝材に限らなくても、小さい子どもがいると家で異様に盛り上がる瞬間というものがある。それを、場所を変えて、更に盛り上がりの中心にいる子どももいない場所でやるとどうなるのかを見てみたいという気持ちがある。
そしてもう一つはシンプルに、近年突然現れた感のある「エアー緩衝材」というおもしろ物体のポテンシャルを見てみたいという目的もある。
そういう意図をうまく伝えられなかった気もするが、お二人とも「やろう!」と言ってくれたのでやろう。やろう!
- エアー緩衝材を持って走る
- 楽しいから
- 家で起こった異様な盛り上がりを、場所と人を変えて再現したいから
- エアー緩衝材ってなんかおもしろそうだから
エアー緩衝材を持って走る
すごく軽いのに、しっかり風を受けるので腕に良い手応えがある。手に持ったものがはためいているのってすごく気持ちがいいのだ。
「意外と抵抗あるねー」と言っていた。そう、それが楽しいのかもしれない。あとそもそも走るのって楽しいのでその喜びがある。走る楽しさに、緩衝材が加わってより風を感じられるようになったのだ。そう、これは「風」とか「大地」とかそういう話なのだ。
追いかけるのは楽しいのかな、と思ってついていってみた。なんなんだこれは、という感想で頭がいっぱいになった。
台風が過ぎたばかりでものすごく重たい雲がうごめいているし、川は増水してごうごう流れていた。世界が終わる時、手元にエアー緩衝材しかなかったら最後の楽しみを求めて手に持って走るのかもしれない。そういう風景だった。
楽しみ方、それぞれ
エアー緩衝材持って走り、その感触を覚えたら次は各々で楽しさを見出していく。
少しの風でもフワーッと浮いて、うねうね深海魚みたいに動く。それで風の感触を楽しんだり、変わり続ける緩衝材の形を眺めていればいい。ロウソクの炎を見るような良さがあると思った。
一方僕がやっていたのはエアー緩衝材を振って遊ぶ方法である。子どもが喜んだのでそれはもうぶんぶん振り回していた。
振り回して遊んでいたら隣で安藤さんが首に巻きつけて遊んでいた。暖かいらしい。それぞれ楽しんでいる。
家で振り回した時は周りで子どもがギャーギャーはしゃいでくれたのだけど、大人だけでやるのも楽しい。
エアー緩衝材、今までは空気を抜いてすぐ捨てていたけど、これは他にはない感触が楽しめるおもちゃになる。風の感触を楽しむおもちゃだ。
110連エアー緩衝材
家で楽しかったエアー緩衝材、子どもがいなくてもちゃんと楽しかった。ここからは外でないとできない遊び方をしてみよう。
エアー緩衝材、買えるのだ。110個で2,700円。はちゃめちゃに長いエアー緩衝材にワクワクしながら買った。
さっき振り回して楽しかったやつの長いやつだ! 後でサイズを確認して計算したら全部で20メートルほどある。
そしてもう持った時点で分かるのだが、ものすごい風の力を受ける。大きな生き物が引っ張っているみたいな力だった。凧揚げをしていて、凧から受ける力が強くて怖くなる時があるが、それを思い出した。風の力。空の広さ。
これで何をしようかというと、やはり走ろう。今日やることは風を受けて走り、それを楽しむことなのだ。
みなさんがわさわさと補助をしてくれたがどこかでちぎれたり地面に引っかかったりして走れない。
必死に走った。さっきより技術と体力がいる。そしてスピードを緩めると緩衝材が地面について引っかかるので、走っているというより走らされている感じになった。ハードな遊びでもいい、という人は10メートルまでなら楽しめるだろう。もし20メートルを操って楽しめたら、その人は神様的な力を持っている。
まとめです
というわけでエアー緩衝材、馴染みのない物体を存分に堪能した。家でのあの盛り上がりは、決して閉じられた世界での独特のもの、というわけではなかったのだ。あと安藤さんと古賀さんが優しかったから、という要素も大いにある。
とにかくよく分からない長いものがあったら、手に持って走っておいた方がいい。手に持って走って、風を感じておいた方がいい。その理由はというと、それはどうにか感じ取ってほしい。風と一緒だ。
- エアー緩衝材を持って走る
- 楽しいから
- 家で起こった異様な盛り上がりを、場所と人を変えて再現したいから
- エアー緩衝材ってなんかおもしろそうだから
- 気持ちのいい手応えがあった
- なびく様子がおもしろかった
- 振った時の感触が良かった
- 巻きつけると暖かかった
- 長いのを持って走るのは大変
- 長くて10メートルまで