特集 2026年5月7日

六本木で「六本の木」をさがす

六本木の由来

六本の木を見つけられたことだし、このあたりで「そもそも六本木の由来は何か」について調べておこう。

インターネットで六本木の由来について調べたところ、江戸東京博物館のWebページに、非常にわかりやすい説明があった。要約すると次の通りである。

説1 松の大木が六本あった
説2「上朽木・高・青・片・一」という、「木」に関係する名前を持つ6人の大名の屋敷があった
説3「江戸六方の男達」が住んでおり、「六方気」が「六本木」に変化した

諸説あるようだ。

まず、説2が面白い。いずれの大名の名前にも木に関する字が含まれているのは、地名に残したくなるような偶然だ。

細かすぎて伝わらないと思いますが、2023年の横浜DeNAベイスターズも守備陣が木属性多めだったので気持ちはわかります。(当方ベイスターズファン)

地名由来.com というサイトには、実際に江戸時代の地図で「上杉・朽木・高木・青木・片桐・一柳」の大名屋敷を見つけた様子が示されている。その場所は現在の桜田門〜虎ノ門〜赤羽橋あたりで、現在の六本木よりも広い範囲のようだ。

説3の「『江戸六方の男達』が住んでおり、『六方気』が誤って『六本木』となった」については、何のことを言っているのかサッパリわからなかったので、Chat GPT、Gemini、Claudeという3種のAIに尋ねたところ、3つとも似たような回答を得ることができた。

六方とは、ここでは「血の気の多い」「ヤンチャな」のような意味。

江戸時代、この地域には、血の気の多いヤンチャな(=六方)な男たちが集まる場所だった。そのため、この地域の気風や彼らのことを「六方気(ろっぽうぎ)」と呼ぶようになり、「六本木」に変化した。

六本木が「ヤンチャな男たちが集まる場所」は、いまもそうだと思う。つくづくそういう土地なのだ。

しかし、六本木で六本の木を探し歩いている筆者としては、やっぱり説1の「松の大木が六本あった」であってほしい。六本の松の大木は具体的にどこにあったのだろう。この説の出どころは「町方書上」という、江戸時代後期に書かれた、江戸の各町の由来や現況についての資料のようだ。

町方書上 [39] 麻布町方書上 五の目次に「龍土六本木」「飯倉六本木」とある。
龍土六本木のページを見てみる。筆者に崩し字を読むスキルは無いが、かろうじて「松六本有」だけ読める。それ以外は読めない。

これと全く同じ内容でもう少し読みやすい資料 ( 御府内備考 七十九 (麻布之五) )も見つかったのでそちらを使うことにする。「ふみのは」という古文解読アプリも使い、解読したらこうなった。

六本の古い松は「龍土六本木」という場所にあるが、その中の具体的な場所は不明。江戸時代の時点で場所不明と言っているので、今も残っているはずがない。
飯倉六本木町のページにも同じようなことが書かれていた。

話を整理すると、江戸時代後期に「龍土六本木町」「飯倉六本木町」とされていた場所に、当時よりもさらに昔、6本の大きな松の木があったということだ。

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現代の地図に当てはめるとだいたいこのあたり。龍土は国立新美術館のある六本木7丁目、飯倉は麻布台ヒルズのある麻布台1丁目だ。
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六本木探しにもどる

さて、まだまだ歩き回ろう。大昔の六本の木の幻影を追うのではなく、あくまでも今ある六本の木を探す。

これは……六本木だ!本日2つ目の六本木。

等間隔でまっすぐきれいに六本ならんでいる。 

六本の木があるのは光専寺の境内のようだ。こんなビル密集地帯にお寺があったとは。

 光専寺について調べたところ、1614年に創建である。先ほどの東洋英和女学院もそうだが、歴史のある建物ほど「六本の木」を意識している気がする。

さらに少し歩いたところで見つけたのがこちら。

若い木が六本。六本木だ。木の種類はまちまちだけど、十人十色(六本六色)と言った感じで逆に良い。大きな木に育ってほしい。

場所は全日本海員組合。日本の船乗りたちの組合だ。1945年設立なので、80年以上の歴史がある。

奇しくも、光専寺も全日本海員組合も、住所としては六本木7丁目にある。先ほど「龍土は六本木7丁目」と申し上げたが、やっぱりここには六本の木を引き寄せる何かがあるのかもしれない。

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六本の木とは関係のないもの

結局、今回見つけられた「六本木」は東洋英和女学院、光専寺、全日本海員組合の3つであった。ここからはおまけ。六本の木ではないけれど伝えたくなったものを伝える。

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記事冒頭で触れた、木に擬態した囲い。よく見たら朝顔のグリーンカーテンに擬態していた。
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ちぃばす停留所のうしろを通過する、でかばす。
左側は毛利庭園。木は六本どころじゃなく無数にあった。右側はテレ朝本社だ。
この6つのリングの意味が分かりますか?六本木ヒルズのロゴを見るとわかると思います。

 図で解説すると、こうなる。

六本木をローマ字で表記し、円の部分だけを残したデザインだ。高度に抽象化された六本木である。円の数が6個なのもよい。
東京ミッドタウンのとなりにある檜町公園。いまから17年前、某男性アイドルが泥酔し、まさにこの位置で裸になり前転した。彼が見た景色がこれだ。 仕事のプレッシャーが相当あったものと想像する。ギラギラした街の片隅、すべてを投げ出したくなる気持ちはわからんでもない。

六本木には意外と緑が多い

六本木には本当に「六本の木」があった。3つもあった。あと、全体的に思ったより緑が多かった。ビルも多いけど木も多い。ひょっとして森ビルってそういうこと……?(念のため調べたけど違いました。)

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次は目黒区の「五本木」という地域で五本の木を探したい。
編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
まずモザイクかかったトップ画像に笑いました。何が写っているかが完全に明らかなモザイク。 自分の六本の木に対する思い入れから始まる導入部もいいですよね。そんな奴おらんだろという奴がおるところから始まる記事。 1ページ目最後、レインボーに輝く六本木も無駄にテンション高くて最高でした(石川)

おまけ:六本木で見つけたもの

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