沖縄の離島の幸が一堂に会する「離島フェア」

沖縄の秋の風物詩「離島フェア」

沖縄県は本島を除いて30余りの有人離島からなる離島県だが、沖縄本島で生活していると意外と離島へ行く機会はそう多くない（もちろん人による）。そんな離島の特産品が一堂に会するのが、毎年11月に行われ、今年で37回目を迎えた「離島フェア」である。

会場にはこのように各離島のブースがずらり。

まずは伊平屋（いへや）島の黒糖。黒糖はどこでも手に入るが、島ごとに風味が違うので、食べ比べて“推し黒糖”を探すのも楽しい。

泡盛も各島からさまざまな酒造所のものが勢揃い。最近はパッションフルーツやシークヮサーを使った飲みやすいリキュールも人気だ。

魚のすり身を揚げた「かまぼこ」は石垣島の特産品。おでんのつみれのようなものを想像していただければ分かりやすいかと思う。チーズが入っていたりニンジンとゴボウが入っていたりと、お酒のおつまみによく食べられている印象。

島に渡らなければ出会えない逸品が勢揃い

ここからは、離島ならではの商品を紹介していこう。

こちらは粟国（あぐに）島のブース。沖縄本島でもヒージャー汁（山羊汁）はあるが、離島でも山羊汁を特産にしている島はけっこう多い気がする。

粟国特産の「そてつ実そ」。粟国島はソテツの自生が多いことで知られ、“ソテツの島”とも呼ばれている。ソテツの実はそのままでは毒があり食べられないのだが、何度も水にさらして毒を抜き、ようやく完成する手間ひまのかかった味噌だ。独特の風味があるので、汁物のほか炒め物に使うのもおすすめだそう。

宮古島と石垣島の中間に位置する多良間（たらま）島からは「たらまふつシール」。「ふつ＝方言」という意味なので、つまり多良間方言のシール。
「あらんよー（ちがうよ）」くらいはわかるが、「んばいらいん！（がまんできない）」など“ん”で始まる言葉もあったりするから油断ならない。

こちらも多良間島から。「ぴり゜」は多良間島方言でニンニクのことを指すそう。多良間方言には「イ゜」「リ゜」など独特の発音があり、何度教えてもらっても「ちょっとちがうなー」と言われるほど難易度が高い。

こちらは渡名喜（となき）島からやってきた福木ジャム。沖縄では集落の防風林や防砂林としてよく見かける木だが、一見すると柿のような黄色い実が熟して道路に落ちるとすさまじい異臭を放つ。それがまさかおいしいジャムに加工されているとは。

石垣島からはなんと8,000円もする（！）パイナップルジュース。2,000円のを試飲させてもらったが、めちゃくちゃ濃厚でビックリしてしまった。8,000円のはもっと濃厚らしい。富豪になったらまとめ買いして家に並べておきたい。

こちらは伊江（いえ）島から色とりどりのハイビスカス。伊江島にあるハイビスカス園が出しているらしい。

実は沖縄県内の離島だけでなく、鹿児島県の奄美諸島の特産品も出展されている。皆さんはこの牛乳パックに入った「花田のミキ」をご存じだろうか。「ミキ」は沖縄にもあるお米をすりつぶして甘く味付けした飲み物でお祭りごとでお供えされたり、みんなで飲んだりするもの。
「花田のミキ」はミキの中でもめちゃくちゃ濃くてうまい。2-3日で発酵が進んで味が変わってしまうので、基本的に奄美諸島へ行かなければまず味わえない激レア商品である。

買って、観て、食べて、離島を味わい尽くす

会場内のステージでは、この年の出品商品で優秀賞などに輝いた生産者さんの表彰式などが行われていた。その他に、島外では滅多に見られない島唄や舞踊、武術などの伝統芸能も披露される。

また、屋外では離島のおいしいものが味わえる「離島食堂」が開催される。

北大東島のじゃがいもそば、南大東島の大東寿司、黒島の黒毛和牛、久米島の車海老など、どれも沖縄本島ではなかなかお目にかかれ無い離島ならではの味わいだ。