Jefとはどんな店なのか
Jefは現在県内に4店舗あり、創業者の喜名 民雄(きな たみお)氏が本土復帰直後の1973年3月「沖縄本島南部にハンバーガー文化を広めたい」との想いから、沖縄本島南東部に位置する与那原町(よなばるちょう)に1号店をオープンしたのがはじまり。
こちらが1号店の与那原店(2025年11月現在、一部改装中)
ここに車を横付けして注文。ちゃんと左ハンドル車用もある
これが現役稼働中なのだからシビれる
広い駐車場を備えた与那原店と豊見城(とみぐすく)店には上の写真のようなドライブイン方式の注文システムが設置されており、駐車場に停めた車内からインターホンのような機械を通して注文・受け取りまでができる。
実はA&Wにも同じような機械があるのだが、JefはもともとA&Wのフランチャイズ店を展開していたオーナーが独立して始めたという経緯があるかららしい。
昭和レトロここにあり
ドリンクメニューに、観光客から“飲む湿布”として恐れられているルートビアや、A&Wのオレンジジュースによく似たジェフオレンジがあることから、「A&WとJefの経営者は元夫婦だった」みたいなありがちな都市伝説が語られたりもするがこれは完全にガセである。
ちなみにJefは「Japan Excellent Foods」の頭文字を取ったものだそう。OkinawaではなくJapanとしたところに創業者の気概を感じる。

店内はこんな感じ。ちょっと年季の入ったショッピングモールのフードコートのような、不思議と落ち着く雰囲気である。

ちょっと面白いのは、レジで注文を受けたあと歌手が手に持つようなマイクを使って後ろのキッチンに注文を伝えること。カウンターの上にあるメニューもなかなかレトロだ。
オキナワナイズされたメニューがすごい

Jefの名物といえば、泣く子も黙るゴーヤーの卵とじが挟まれた「ゴーヤーバーガー」である。

さらに「ゴーヤーバーガー」にポークランチョンミートを追加した「ぬーやるバーガー」もある。ちなみに「ぬーやるばーがー」とは沖縄の方言で「なんなんだ?」というような意味。つまり、なんなんだバーガーなのである。

ビッグマックよろしく「マギーぬーやるバーガー」もある。
※マギーは沖縄方言で「大きい」という意味。

そして特に沖縄らしさは無いが、外せないのがジェフオレンジ。果汁感はなくサラッと甘いオレンジジュースなのだけど、沖縄県民にはこれを飲みたい日があるのだ。店頭ではペットボトルに入った1.5リットルの販売もあることから、人気のほどがうかがえる。
これはチキンおにぎりセット
Jefを語るならばJefチキンは外せない。うっすらと衣がついたシンプルな塩味のチキンなのだが、これがめちゃめちゃうまい。沖縄県産若鶏を使用してお店で手作りしているのもウチナーンチュにとって高ポイントだ。
上の写真は自家製の油みそを挟んだ手作りおにぎりがセットになった商品。モスのライスバーガーのような小洒落たものではなく、家で出てくるような素朴なおにぎりなのがニクい。おにぎりは単品で買うこともできるのでごはん派の人も安心。
「旧盆にチキン」のパワーワード
Jefチキンはクリスマスはもちろん、お盆や卒業祝いなど人が集まるイベントのシーズンには「チキンまとめ買い」ののぼりが立ち並び、多くの人が購入している様子がある。チキンに限らず、Jefは注文が入ってから調理を始めるシステムらしく、少し時間はかかるが常に出来立て・揚げたてが出てくるのも嬉しいポイントである。
他のメニューもなかなかの個性派が揃う。皆さんはいろんなハンバーガーを少しずつ食べたい、みたいなことを思ったことはないだろうか。そんなニーズに応えた夢のバーガーがJefにはある。
その名も「ミニバーガー」。
手のひらサイズのハンバーガー、チーズバーガー、チキンサンドがセットになった商品である。Jefにハッピーセットはないが、子どもたちに人気のバーガーだ。
小さいやつもあればデカいやつもある。こちらは直径15cmのバンズにポークカツを挟んだ「ジャンボポークサンド」。ちょっとデカすぎて、食べる時にはいつもちょっと笑ってしまう。
そして三角チョコパイはないけど揚げパンはある。しかも黒糖・シナモン・きな粉からフレーバーが選べる。揚げパンが無性に食べたくなる日は誰にだってあるはずだ。
現在は600〜800円に値上げされたがそれでも安い
さらにはランチメニューとして、から揚げとウインナーやハンバーグライスなど定食屋さんのようなメニューやタコライスもある。もはやファストフードの様相を呈したファミレスといっても過言ではないかもしれない。
名物商品のゴーヤーバーガーがちょっと斜め上をいった商品なこともありイロモノ的な位置づけに置かれがちだが、実はすごいファストフード店なのだ。
過去に販売された限定メニューも個性派揃い
レギュラーメニューからバラエティに富んでいるJefだが、さらに季節限定・期間限定メニューがあるのも見逃せない。
せっかくなので、以前販売されていた限定メニューをいくつか振り返ってみたい。
沖縄で「ぜんざい」といえば通常かき氷を指すのだが、こちらはホットぜんざい。いわゆる「おしるこ」のようなものである。
沖縄の冬は北風が強く吹き意外と寒いので、ホットぜんざいが食べられる店は実は貴重だったりする。
沖縄県産島豆腐のおからと鶏ひき肉を使った「おからバーガー」。おからを使ったパティにオクラがどーんと2本入っている健康志向なバーガー。
こういったヘルシー系バーガーは得てしてあまりおいしくないのが定石だが、ソースやバンズなども工夫されており全体としてちゃんとおいしく仕上がっているのだからすごい。
こちらは地元の高校生とコラボしたという「紅芋あげパン」。レギュラーメニューの「あげパン」に、紅芋ペーストやホイップクリーム、紅芋パウダーをデコレーションしてスイーツ感を増し増しにした商品。紅芋タルトの上位互換版という感じでリッチなスイーツに仕上がっていた。

こちらは毎年ゴーヤーが旬となる夏季限定で販売される「ゴーヤーセット」。
ゴーヤーバーガーにゴーヤージュース、オニオンリングならぬゴーヤーリングがセットになったまさにゴーヤー尽くしのセット。

ゴーヤージュースは沖縄県産ゴーヤーを使用しお店で生絞りしている。三種類あるのだが、中央の「ゴーヤージュース」はリンゴ果汁が入っているとはいえ本気で苦いので、苦み好きな方はぜひチャレンジしてみてほしい。顔のパーツがギューッと中心に寄ってしまうほどの容赦ない苦さだ。ちなみに左端のゴーヤースラッシュはほどよい苦さで飲みやすい。

焼き立てパンが販売されていた時期もあり、なぜか世界各国で食べられている様々な種類のパンを提供していた。ギッフェリってなんなんだろう。
その他、タコミートサンドや軟骨ソーキバーガーなど尖った期間限定メニューが登場しては私たちを楽しませてくれた。
沖縄県民にはJefでしか得られない栄養がある
持ち帰り用紙袋もレトロ
沖縄県民が愛を語りだしたら止まらない、沖縄ローカルファストフード店「Jef」。
最近は沖縄本島中部の沖縄市に新店舗を出店したり(座敷席まである)、気合の入った期間限定メニューを次々と販売したり、Tシャツやマグカップなどの小洒落たオリジナルグッズを販売したりと企業としての勢いを感じる。
と同時に、平日の午前中などに、近所のおじいやおばあが新聞や雑誌を読みながらまったりと過ごしているのもまたJefらしい光景だ。
時々無性に飲みたくなるジェフオレンジや、たまに食べるとそのおいしさに驚くゴーヤーバーガー。沖縄県民には「Jef」でしか得られない栄養がきっとあるのだと思う。
オリジナルキャラ「ゴーヤー博士」の希薄な存在感もまた良き
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変わったメニューがあると聞いていたのですが、予想以上でした。 おにぎりがあるし、揚げパンやタコライスもある。 沖縄旅行したときの数少ない食事の機会に入れるのもアリですね。(橋田)