特集 2022年10月24日

散歩と同時に旅番組のナレーションを入れると仲良くなれる

完全無計画の旅番組

ぶらり途中下車の旅などの旅番組は、ナレーターと旅人との会話形式で進行していく。

ああいう散歩動画を作ってみたいが簡単に真似できるようなものではない。

だったらいっそ計算一切なしで散歩と同時にナレーションを入れたらどうなるのだろう?

「健やかなるときも、病めるときもアホなことだけを書くことを誓いますか?」 はい、誓います。 1974年生まれ。愛知県出身、紆余曲折の末、新潟県在住。

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> 個人サイト 日本海ぱんく通信

旅人は宮城マリオさん

今回は旅人として、プープーテレビでおなじみの宮城マリオさんに登場してもらった。

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「今日は何をするんですか?」

何の撮影か知らない宮城さんに

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「宮城さんの散歩風景を撮影しながら同時にナレーションも入れていきます」

と説明し、行先などぜんぜん決めずにまったくの無計画で撮影開始。

果たしてどうなったのか?

結果はこちらのVTRをごらんください!

 

ナレーターが主導権を握ることになる

今回わかったことは、散歩と同時にナレーションを入れると、おのずと主導権はナレーターが握ることになるということである。

たとえば私が「あれ?橋がありますよー」と言ったのに対し、旅人役の宮城さんは旅番組のフォーマット通り橋に近寄り

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「並木橋と書いてありますね」

と答えナレーションの誘導に従って動くことになった。

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ナレーターが旅のイニシアチブをとることになる

鉄人28号をコントロールしているようで楽しい。

とにかく文字を読む

次にわかったことは、とにかく目についた文字は読むということである。

無計画な旅番組は、ナレーターも旅人も話が膨らみそうなものを探して歩くことになる。

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「右手の細い道は古くから伝わる鎌倉道で…」

そのため看板の文字はとにかく読む。

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「63って数字が書いてありますねえ」

気になる数字もとにかく読む。

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「アメリカルッコラ…」

プランターの札の文字もとにかく読む。

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「HOTEL、shop、cafe&restaurant、office…」

英語であってもとにかく読む。

これ以外にも動画でカットした部分も含め、看板の文字をかなり読んでいた。

何か面白いことが書いてあってほしいとの思いから、目につく文字はとにかく読むのである。

人は不安になると文字を読む。

人はか弱い、か弱いものですね、と思わず愛燦燦の歌詞を思い出したのであった。

ひっかかりには貪欲に食いつく

文字にすがるくらいなので、変わったものがあれば当然食いつくことになる。

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ナレーター「宮城さん、変わったかたちのベンチがありますよー」

と言って映えるベンチがあればもちろん座る。

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突然の「林さん、撮ってもらっていいですか?」

そして自らのスマホで撮影を同行の林さんに依頼したりもする。

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カシャ!

またナンバリングされた柱があれば

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ナレーター「柱に番号がふってありますねー」

と食いつく。

旅人みずからも何かとっかかりをみつけようと

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「あそこに赤いベンチがあります!」

と川沿いの入ると怒られそうなところにあるベンチを発見し、とにかくちょっとでも変わったものを見つけて食いつく。

無計画な旅番組は、人を貪欲にさせる。

我々はいつのまにか、参加した素人のちょっとした表情も見逃さず「今、お前まゆげ動かしたな?」などと貪欲に食いついていく仮装大賞における欽ちゃんと化していたのである。

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撮れ高が気になる

無計画な旅番組は、かかわっている者全員が不安になる。

ことさら旅人は撮影されている分、その不安も大きい。

そのためふとした瞬間に、思わず

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「今、撮れ高的にはどんな感じなんですかね?」
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「…フフッ…」

とそれまでの撮れ高に対する確認を口にするということもわかった。

口にした直後、林さんは「わかんないです」と即答していたが。

予想外の話がきける

旅番組のナレーションでは旅人の人となりがわかるような質問もする。

そこで宮城さんに「神社では何をお願いするんですか?」と聞いてみたところ

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「今日、祖母の遺品の整理に行ってきまして…」

と急に重めの話をされ、願いごとを聞いたはずが

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「遺品として5円玉をもらったのでお賽銭にします」

と、お賽銭の出どころが返ってきたので驚いた。

また遺品ではなく、他の五円玉をお賽銭にしてはどうかと提案したが

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「言っても五円玉だし」と気にしない宮城さん

おばあちゃん思いなのかドライなのか。遺品と五円玉との価値観のギャップがひきがねとなり、人それぞれの考え方の違いを知ることになったりした。

また、青山大学近辺にさしかかり「宮城さん青学の思い出はありますかー?」と聞いてみると

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どんな気持ちできいていいかわからない話をする旅人

若いころ、青学に通ういとこを何回かご飯にさそったが、一度も実現しなかったという、生でナレーションを入れながら散歩でもしないと一生聞くことのなかったどうでもいい思い出話をきけたのである。

聞かなくてもよかった気もするけど。

童心にかえる

散歩と同時のナレーションは、深く考えずに話すことになるためどんどん幼稚化していくこともわかった。

たとえば神社に長い階段があったが、それを見て

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行く先にある神社の階段

「なんと宮城さんはこの階段をスキップでのぼろうとしています」

といたずら的なナレーションを入れることになった。

すると宮城さんも童心にかえったのか「自分では運動神経はいいつもりなので、結構いけると思ってるんですよねえ」と言い放ち、追い打ちをかけるように

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「むしろ、カメラがついて来れるかな?」

「むしろ、カメラがついて来れるかな?」

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ナレーターを振り切りスキップで階段を上る旅人
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出来てない

宮城さんの独特なスキップもこういう機会がないと見れなかったものであり、この企画をやってよかったと思ったのである。

ここまで動画を見ずに読み進めてきた方へむけて、動画を再度埋め込んでおくので、ぜひごらんください。

 


ぶらり途中下車のエンディング風にお読みください

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「まったくの無計画での街歩き。

そこに同時にナレーションを入れると気分を共有できたり、普段は聞けない話がきけて仲良くなれました。

そのうえ、行く先々で、ぬくもり溢れる出会いの花が咲いていた素敵な一日となりました。

え?ぬくもりなんて溢れてなかった?

というか花も咲いてなかったっけ?

まあ、とにかく、木々の葉も徐々に染まり始める神無月、風に吹かれながらあなたもどこかへおでかけしてみませんか?」

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