趣味の変遷にみる福浦の年俸
林:福浦って選手が94年にロッテに入ったんですよ、年俸400万で、その時の趣味が「貝収集」なんですよ。すごいいいじゃないですか。
西村:いいですね。
林:で、年俸がどんどん上がってくるんですよ。で98年に背番号が9番になって、年俸も一気に上がったんです。
べつやく:このころに1軍に定着したんだよね。
林:年俸が一気にあがった98年に、趣味に買い物が追加されるんですよ。で、そこから1700万、3400万と年俸がどんどん上がって行って、5400万になった01年に、趣味の「貝殻集め」が消えたんですよ。
べつやく:もう、貝殻集めなくなったんだね。
古賀:いやいやいや、貝殻集め続けてほしかったな〜……。
林:でもその後、福浦はものすごく活躍して出世して名選手になったんで、ロッテファンはみんな大好きですよ。
べつやく:いまヘッドコーチしてるからね。今年に至っては、吉井がWBCで居なかったときは、オープン戦はずっと福浦が監督やってたから。
いまやロッテを支える名選手となった福浦。家のどこかに若い頃集めていた貝殻が大切にしまってあることを願いたい……。
野球のことがわからない人が買うといい本
さて、ぼくのような、野球のことがさっぱりわからない人たちが、選手名鑑を買う場合、どれを購入するとよいのか。
それはズバリ、日本スポーツ企画出版社の『2023プロ野球選手写真&データ選手名鑑』がおすすめかもしれない。
データ部分のビジュアルが、イラストでわかりやすいだけでなく、過去の成績や年俸が5年分遡れるため、データ量も多い。そしてなにより、プロフィール部分にかなりの確率で、野球の成績とはあんまり関係ないような、気になる小ネタが入っている。例えば……。
「球場を突如襲った鳥の大群をバットで追い払って、試合再開に繋げた」
(千葉ロッテ・角中勝也)
「小学生時代、父にビニール製のグラブを電子レンジで溶かされて大泣きしたことがある」
(オリックスバファローズ・宮城大弥)
「決済アプリ「PayPay」をずっと「パイパイ」と呼んでいた」
(中日・三好大倫)
など、様子のおかしい小ネタが少なくない。
野球がよくわからないぼくのような読者の場合、防御率や打率といった、データ部分よりも、こういった小ネタ部分がどれぐらい充実しているかが、やはり気になってしまう。
他の選手名鑑は、プロフィール部分の選手紹介に関しては、やはり真面目に成績などの寸評が書いてあるものの方が多く、小ネタが充実しているのはこの『写真&データ年鑑』のみだった。
べつやくさんは、『写真&データ年鑑』に、このような小ネタが載っていることに気づき、古い『写真&データ年鑑』を、Amazonで買い直したらしい。
「試合前に恋愛系YouTuberの動画をみる」
(ヤクルト・山田哲人)
「国税庁詐欺に引っかかる悲劇も」
(オリックスバファローズ・椋木蓮)
小ネタの充実度でいえば『写真&データ』がやはりいちばんいい。
しかし、小ネタというほどでもないけれど、すこしおもしろかったのは『2023プレイヤーズファイル』(ベースボールタイムズ)の、その選手のキャッチコピーだろう、これに小ネタに近いものもいくつかあった。
「令和の怪物」(千葉ロッテ・佐々木朗希)や「唯一無二の絶対的エース」(オリックスバファローズ・山本由伸)など、真面目でわかりやすいものも多いが。
シン生姜パワー
(千葉ロッテ・岩下大輝)
東芝加湿器愛用右腕
(ヤクルト・吉村貢司郎)
など、野球初心者にとっていは意味不明なキャッチは、説明もなく唐突なので「なぜ」となってしまっておもしろい。
なお、ロッテ・岩下は、岩下の新生姜が応援している。ヤクルト・吉村は前年まで社会人野球の東芝の選手で、入寮の際に東芝製加湿器を持参したのが元ネタである。
かつての選手名鑑には、年俸の他に、趣味、特技、仲人、また載っている車、住んでいる家の情報まで書かれていたわけだが、こういった情報は、もしかしたら車や家のセールスマンなどが営業の情報源にしていた可能性もあるかもしれない。
いずれにせよ、現在の選手名鑑はそういった情報はなくなり、選手の成績情報が非常に充実している。
このような変化は、個人情報に対する意識の変化だけでなく、野球ファンの野球の見方も、下世話な興味から、オタクっぽい見方をする人が増えたということだろう。
選手名鑑を毎年買っている野球ファンは、実際どんな時に『選手名鑑』をみるのか。
林さんは、野球ゲームにデータを入力するさいに参考にしていたというのは先述のとおりだが、べつやくさんは、試合の時に(自分の応援するチームの対戦)相手チームの選手情報をみるという。
敵チームの選手が、どれぐらい打つ、または投げる選手なのか。やはり、贔屓ではないチームの選手まではなかなか知らないということらしい。