そもそも、「ポピー」ってなんでしょうか?
広告に風景写真が差し込まれる現象「ポピー」とは?
関西圏を中心に、この広告に風景写真が差し込まれる現象すなわち「ポピー」を集めている人たちがいる。オンラインで取材を申し込むと快く応じてくれた。
アシアタ
EchoSpaceや携帯ゲーム機による写真表現を通じて、都市や日常風景に潜む空間性を記録・探究する。展示企画や執筆活動を通じて風景概念の可能性を広げているほか、「ポピー」現象の研究・アーカイブにも取り組む。
Tsudio Studio(ツジオ スタジオ)
神戸を拠点とする音楽家。ソロアーティストとして国内外で作品を発表するほか、アンビエントプロジェクト微風ゾーン(Bifuu_ZONE)」では、「風の始まりの穏やかな空白座標」をテーマに、独自の空間概念を提唱している。
埋まっていない広告欄を風景写真で埋めている状態のことを「ポピー」と呼んでいます。駅やコンコースにある広告が入らないままの広告欄に、お花畑や山並みなどの風景写真が掲示されていることがあって。それを見たときに、広告欄に自然の写真が差し込まれるという状況に違和感や美しさを感じたんです。
たしかに、たまに見かけますよね。
最初にポピーを見つけたのはいつごろですか?
2024年の4月に、梅田の地下にある北新地駅というところの大きな広告欄にポピーの花畑が貼られてるのを僕が見つけたのが最初です
しかもこれ、よく見ると右下に「ポピー」っていうキャプションが入ってるんですよ
これが「ポピー」という名前の由来です。ポピーには場所名や写っているものの名前のキャプションが書いてあることが多いんですよ
わざわざポピーって書いてくれているのアツいですね。
見ていると、なぜか懐かしい気持ちになります
ポピーって、ぼんやりと潜在意識の中にはあるけれど、作家性のない無害な写真なだけに意外とみんな素通りしているんですよ。それに意識を向けた瞬間「そういえばあったな」「みたことあるかも」と気が付く、おもしろい概念なんです
でも、東京ではあまり見かけないような......?
関西圏、特に京都と大阪が多い印象ですね。東京だとそもそも駅の広告がすべて埋まってしまっているので、ポピーが発生しづらいのかもしれないです
物理的なことでいうと、壁に埋め込まれた額縁があることがポピーが発生しやすい条件のひとつだと思います
それってなにか関係あるんですか?
埋め込み式の額縁は簡単には撤去できないので、「この空間を何で埋めるか」という問題が常につきまといます。広告が入らない期間があっても、額縁だけを空白のままにしておくわけにはいかない。そこで、花畑のような無目的な風景写真が掲示される余地が生まれるのではないかと
これは大阪駅の改札付近だったんですけど、こんな感じでめちゃくちゃいっぱいポピーがあってびっくりしました。ここ、めっちゃ人通り多いんですけどね
なんかかっこいいですね!
まるで美術館みたい......
大阪駅で広告を入れずにこの状態になっているのが不思議ですよね
ん??
なんか、発光してる......?
ポスターの紙が貼ってあるのが通常なのですが、これはフィルムに印刷されていて、後ろのライトで照らして明るく映していますね
わざわざここに電気代をかけているのがすごすぎる
めっちゃ目立ってますね(笑)。
街中で見つけたら二度見しちゃうかも
いったん広告です
あと、東京でたまたま見つけたのがこれですね。
ちょっと変化球なポピーなのですが......
え、これなんですか?
よくよく見てみると、壁のタイルを写真で撮って、印刷して貼ってるんですよ!
マジか。
めっちゃ怖い!!!
これを作った人は、タイルのサイズがきれいに合うように計算しながら印刷したり、地味に労力がかかる作業をしている......その熱意の出どころが気になります
ずっと見てたら不安になってきた
あと、駅ではなくビルの上にあるパターンも
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これ、すごくいい作品なんですよ......
配置に意図を感じるんですよね......
このポピーの前で、アシアタさん含めた友達と30分ぐらい喋りましたよね。めちゃくちゃ考察とかして。まず、そもそも絵なのか写真なのかっていうところから考え始めたら、すごく味わい深くて......
やばい、だんだん話についていけなくなってきた
いったん広告です
ちなみに、ポピーが好きすぎて、自分のコレクションを元にデザイナーさんにポピー専用のマップを作ってもらいました
気合いがすごい!これ手に持ちながらポピー回ったら楽しそうですね!
ポピーをもっと集めたいんですけど、僕たちの力だけだと限界があって。なので、Xで #ポピー見つけました というハッシュタグを作っていて、いろんな人にポピーを投稿してもらっているんです!
この記事を読んでいて、ポピーを見つけた人がいたら是非投稿してほしいです!
すでにめっちゃ投稿されてますね!
私も見つけたら投稿しようっと
阪急梅田駅に存在した伝説のポピー
これまで集めたなかで、「これはよかったな」というお気に入りのポピーがあったら教えてください!
大阪の梅田駅にあったもので、すごく好きなポピーを紹介したいです!
これは通称「ダ・ヴィンチ・ポピー」と呼ばれるもので......
ダ・ヴィンチ・ポピー......? (聞いたことなさすぎるワードだ)
レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』かのような横長の構図に、ものすごい大迫力のサイズ感で、阪急梅田駅の一番目立つところに鎮座していて。かなりポピーとしても大規模で、ランドマーク的な作品なのでお気に入りです!
かっこいい!
実際に見たら迫力すごそう
それだけじゃなくて、阪急梅田駅には元々花壇もあって。ポピーと花壇との連続性も見どころなんです!
これはめちゃくちゃいいですね。通勤通学の人たちも癒されそう......!
このポピーの写真がある場所って、駅の中でもかなり目に入りやすい場所なんですよね。ここにあえてこのお花畑の写真が大きく存在しているということは、阪急側が「広告を置くよりも、お花畑の写真で利用者の気持ちを少しでも和らげたい」というような思想を持っているのかなと勝手に想像していました
残念ながら、今はないのですが......
え!?もう見られないんですか?ショック......!!
今、阪急梅田駅は大規模な開発をしていて、おそらくその一環として、撤去されてしまったんです。というか、こないだ見に行ったら全く別の広告が入ってました(笑)
か、悲しすぎる......花壇までなくなってる!
でも、まだ絶望してるわけではないですけどね。今後もこういった「憩いの精神」みたいなものが再開発の後に残ればいいなと思ってます。その役割をまたポピーが担ってたら嬉しいなぁ
ポピーの最終形態?お台場に突然現れたポピージャック
これは僕たちが見つけたわけではなくてフォロワーさんから提供してもらった情報なのですが、東京のお台場のレインボーブリッジに行くまでの道に、筒状の照明が並んでる場所があるんですけど。そこに演出として照明の筒の光る部分にポピーの写真が巻き付けられていたんです
すごい!めちゃくちゃ大々的に使われているじゃないですか!
お台場だと、例えばアーティストに発注した絵を巻きつけるとか、そういった現代的なアプローチになるのが普通だと思うんですけどね。この道をなにか賑やかしたいとなったときに、おそらく80年代から連綿と続くポピー素材をまた引っ張り出してきて使ってるってところに驚きましたね(笑)。ポピーファンとしては沸きました
今までは駅か商業施設にポピー素材が使われてることが多かったのですが、これでポピー素材の利用例としての新しい形を知ったというか......東京でこれがあるんだっていう驚きがまずありまして。
しかもまさかの「ポピー」のキャプション付きっていう、関西でよくあるパターンが東京で見かけるとは。はやりキャプションが様式美としてあるということを再確認できました
しかもまさかの「ポピー」のキャプション付きっていう、関西でよくあるパターンが東京で見かけるとは。はやりキャプションが様式美としてあるということを再確認できました
(二人ともめちゃくちゃ早口になってる......)
ふと気になったんですが、そもそもポピーの素材元ってあるんですかね?
それは僕たちもずっと気になっているんですよ。素材元を見つけたいという気持ちと同時に、まだまだこうやって謎として扱って遊びたいって気持ちもあって(笑)。自然に知れるときを待っています
見ていくうちに同じ素材が使い回されていることに気がついて。おそらく、共通のストックフォトみたいな素材を扱うところから仕入れて掲載してるっぽいですね
なるほど〜。いつかポピーの正体を知りたいような知りたくないような......


