プランクグリルは、湿らした木の板の上に食材を置いてそのまま焼いちゃう調理方法。
杉板の香りが食材にうつって燻製のようになる。必要なものは、木の板とアルミホイル。とってもカンタン。バーベキュー大国アメリカではおなじみの調理方法らしい。
板の大きさをケチると食材がはみ出す。ちょっと大きめを選ぼう。プランクグリル専用の板も売っているが、要はただの木板。接着剤が入っている合板などでなければいい。ホームセンターで無垢の板を探そう。おすすめは香りが豊かで、お求めやすい杉板。プランクグリルはDIYと相性がいい。杉板の廃材を再利用すれば無料!うちにも杉板がいっぱい転がっている。
プランクグリルはカンタンで楽しいのだが、3回くらいやってみてわかったことがあるのでご報告させていただきます。
まず調理過程をざっくりまとめるとこんな感じ。
- 板を水につけておく
- 食材の下ごしらえ
- 食材を並べてアルミホイルをまく
- 炭に火をつけて焼く
ひとつひとつ見ていこう。
1.板を水につけておく
バケツでやる場合は時折ひっくり返しつつ、木の板全体を湿らせる。2時間以上は漬け込もう。清潔なバケツがなければジップロックなどの袋に水を入れて板を突っ込むとカンタンだ。
ちなみに水の代わりにりんごジュースやワインを使っても香りがついてよいらしい。後ろめたい気持ちになりつつ、木板をリンゴジュースにひたす。しばらくして取り出した木板からは甘いりんごの匂いがした!しかし、残念ながら焼いてしまうと食材の香りに差はあんまり出なかった。
2.食材の下ごしらえ
プランクグリルは、蒸しと燻製を同時に行う調理方法。牛肉で試してみた時も燻された風味が加わり美味しかったのだが、お肉は網でしっかり焼いたほうが、手間などを考えるといいような気がする。
サーモンがふわふわとやさしい香りに仕上がるので、お肉や焼肉のタレなど「濃い味」が入り乱れるバーベキューのなかで、オアシス的な存在になりうる。
これだけでも充分美味しいのだが、海外のYoutuberがおすすめしていた「味噌とマヨネーズ」を塗ると美味しかった。
3.食材を並べてアルミホイルをまく
先ほど水に浸けていた板を取り出す。食材を置く前に、板の表面を殺菌するためにちょっとあぶろう。
レモンは熱が通るとちょっと酸味が薄れてのっぺりするので、出来上がってからも追加で絞るのがおすすめ。トマトやパプリカなどお好みの野菜も一緒に焼くと美味しいし見た目も鮮やかになる。
4.炭に火をつけて焼く
最初にプランクグリルに挑戦した時は「とりあえず燃やしたらいいんでしょ?」と家に転がっている木材を燃料として適当に放り込んでしまった。結果、激しく燃え盛ってしまい、水分が抜けてパサパサに。
木炭に火がついたら板と食材をのせよう。食材が網に直接触れないので、網がサビサビでもそのまま使える。後片付けがラクなのもプランクグリルのいいところ。
中火で30分くらい焼く。じっくり待とう。
板の底面がちょっと焦げているが、どうやら食材には満遍なく熱がはいっているようだ。
思わず感謝の弁を述べてしまった。たちのぼる湯気と一緒に抜けていく杉板の香り。レモンの爽やかさと味噌マヨネーズの風味、そしてほんのり感じるはちみつの甘さ!多方面からの嗅覚と味覚に波状攻撃を食らう。
湿らした杉板からたちのぼる蒸気で蒸し焼き的に熱が入っているので、サーモンは身がほぐれてほわほわだ。
木の板があったらできてしまうプランクグリル。茶色い食材多めのBBQで色鮮やかな見た目も素敵だし、ふんわり優しい味も最高。何より楽しい。とってもおすすめである。
なぜ私はプランクグリルに挑戦したのか
私はあまり料理が得意ではない。にもかかわらず今回のプランクグリルに挑戦したわけは、関西のDPZライターさん達が我が家に集まる「お楽しみ会」の計画が立ち上がったからだ。
お楽しみ会の内容は、過去に私が記事にした、我が家の「水漏れガレージ」みんなで修理しようというもの。言い出しっぺは編集部の石川さん。セメント作業はとてつもなく過酷なので、お楽しみ要素はない。初対面の人同士でやることでは絶対にない。
「やめておいたほうが……」とそれとなく伝えたつもりだったのだが計画はグングン進み、本当にやることになってしまった。
せめてものおかえしてとして作業後にバーベキューでもと企画し、そこでふるまうためにプランクグリルの練習をしていたというわけである。
結局そのお楽しみ会は雨で中止になった。私に残されたのは、長期保存ができないので使いきらないといけない大量のセメント、施工のためにガレージから引きずりだしたすべての物たち、そして絶望だった。
結果、私は基本ひとりでがんばった。そして休日になるたびにボロボロになる生活を一ヶ月くらい続けなんとかやり終えた。「基本」と書いたのは「本当にもう無理!」となった時に、地元の友人たちに1日手伝ってもらったからである。友人は元庭師でかなりタフネスな人であるが、ガレージのなかは、100%近い湿度と30℃を超す気温である。あまりの過酷さにしばらくして上着を脱いでしまった。
裸になりながらもめちゃくちゃ真摯に手伝ってくれた。作業終わりに焼肉をご馳走する話になっていたのだが、みんなボロボロになっていたので銭湯で湯を浴び、定食屋でモソモソと飯を口に運び解散となった。後に彼は息子らに「パパの裸のおともだち」として覚えられていることが判明する。友人らの協力のおかげでなんとか心が折れずに水漏れ補修作業は完了した。
悲しい。でも薄々そうなるだろうと思っていた。水漏れガレージを記事にした時に、親切にもアドバイスをくださった読者の方々がいた。皆さん口を揃えて「水漏れは止まりません」とおっしゃっていたので悲しい気持ちになったのだが、同時に「水漏れはあるものとして排水のために溝を作ってみては?」とも教えてくれた。ありがたい。
角材を壁際の床に固定して、床面にモルタルをぬる。モルタルが乾いてから角材を外すと壁際に「溝」ができる。壁から滴り落ちる水はこの溝を通って流れていくというわけだ。
これでもう漏らし放題である。
問題は、妻が出産を間近に控えているにもかかわらず、土日をほとんど水漏れ補修に費やしてしまったことだ。ここにも別の溝ができてしまったかもしれない。