暗くなるまで遊ぶ
僕はキャッチボールをちゃんとやったことがない。そもそもは、野球経験者の後輩にやり方を教えてもらおうと思ったのが今回の遊びの約束の発端である。
グローブの使い方、ボールの握り方、基本的なことから教えてもらう。縫い目に指を引っ掛けるとか、指の開きで球速が変わるとか、知らないことばかりで興奮する。
子供の頃はボールが怖くて球技ができなかったから、いまのほうが楽しめるかもしれない。
さすが運動部で上下関係を叩き込まれてきた人はヨイショのテクが土台から違っている。
要するに、一挙手一投足を褒めてくれて、僕はすっかりいい気分になった。キャッチボール楽しすぎるぜ。なんで今までやってこなかったんだろうか。
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休むまもなくボールのやり取りを要求し続け、気づけば45分も経っていた。あたりは暗くなっている。ボールが見えなくなってきたので帰ることにした。
このあとご飯とかには行かない。スッと解散する。そういえば、たった30分遊ぶためだけに友達の家に行ったりしたよな。大人になってもそれやっていいんだよ。
僕の家の近所のグラウンドで遊んだので、家に着いたのは別れてから5分後。
5分しか経っていないはずなのに、辺りは真っ暗になっていた。この現象、あるよな。友達と別れてから急に真っ暗になりはじめるやつ。
家を出る前に沸かしたお湯が、鍋を触るとまだほのかに温かくて笑った。