東京文化快感
ぴったりを求めてぴたぴたと彷徨ってるうちに、上野公園にやってきました。すると東京芸大の奏楽堂に若干の気持ち良さを感じさせる物件が。
木造の奏楽堂を守るための放水銃のようです
使用しない時に掛けられているカバーのようです
全然違うんですけど、少なくとも自転車カバーよりは放水銃の複雑な形状に寄り添おうとする意志、ぴったりの萌芽のようなものは感じます。
「良いフェチ吹いてきたね」。妻に話しかけたその瞬間。突然目の前に深紅の衝撃が現れたのです。
東京文化会館の傘立てカバー
こ、これは…
この斜めのラインも考慮されたカバー…
ぴったり!
これです、これ!こういうのが見たかった。気持ち良い~。さすが前川國男建築。傘立てのカバーですらまったく手を抜いていません。敬意を込めてこれからは「東京文化快感」と呼ぶことに致します。
台地に挟まれた低地にて
良いぴったりが見られて落ち着きを取り戻した私は、少々欲望に駆られ暴走していた自分が恥ずかしくなってきました。申し訳なさから妻にお昼ご飯をご馳走して、帰宅の途につくことに。
しかし神様は私に最高のデザートを用意してくれていたのです。
「土のうステーションか…待てよ」。自分の中で再び欲望が首をもたげるのを感じます
これは…
ぴったり!
油断してました。まさかこんな場所にぴったり物件があったなんて。この場所、文京区根津は本郷台地と上野台地に挟まれた低地です。今でも大雨の時なんかは浸水のリスクがある地域なので、不忍通り沿いには幾つか土のうステーションが設置されてます。
「そういえば…」
私は町なかの土のう置き場の写真を撮り溜めてるのですが、この場所から少し離れた千駄木駅、さらには日本橋で見かけた土のう置き場もぴったり物件でした。
なんでも撮っておくものですね
「土のう置き場はぴったりフェチの聖地」。思わぬ知見を得て、今回のピッタリフェチ散歩は終了しました。
つつみ込むように…
「一番気持ち良い専用ケースってなんだろう?」。ぴったりフェチにとって最重要の問いですが、ヒントは私が愛用しているオーダーメイドの手袋にある気がします。
きちんと手の採寸をして貰い作ったのですが、実際に使用してみたら意外な感覚を味わいました。それは「指の股を感じる」という感覚です。
既製品とは違い完璧に自分の手とフィットしてるからこそ感じられる、普段意識したことのない身体の部位
なるほど。オーダーメイド手袋とは「手を入れるための専用ケース」だったのか。そしてぴったりケースに包まれているギターやスイカはこんな気持ちなのか。
だとすると、この世のどこかに手だけでなく私自身がぴったり収まる穴が空いているのかもしれない。その穴にはまってみた時に、初めて自分という曖昧な存在を強烈に感じられるのではないだろうか?
遠くの国の砂漠にそびえ立つ巨大な岩なんかに、あるいは…
ぴったりフェチにとっての「一番気持ち良い専用ケース」はその穴なのかも。いつか絶対にそれを見つけてみたい。
「皆さんに分かって頂きたい感覚がある」と書き始めた記事が、まったく意味不明な欲望を吐露して終わってしまいました。申し訳ございません。
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編集部からのみどころ
これは分かります!石井さんは遠慮しながら書いてますが、もしかしたらほとんどの人が分かる快感ではないでしょうか。
今回の記事にところどころで挟まるイラストが気に入ってます。どろっとしたフェチな欲求をポップに留まらせてます。そういう手があったか。(林)
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