四国遍路で古道歩きを楽しもう
今回は2011年の歩き遍路で歩かなかった(歩けなかった)遍路道を改めて歩き、その様相を紹介させていただいた。歩き遍路では遍路地図とにらめっこしながらできるだけ多くの古道を歩いたつもりであったが、魅力的な遍路道はまだまだあるものだ。
四国の各県は以前より四国遍路の霊場や遍路道の史跡指定を進めており、今回紹介した遍路道もすべて国の史跡に指定されていたりする。今後の調査によってさらなる遍路道の価値が見出され、保護の範囲が広がることに期待したい。
お次も愛媛県である。第45番札所の岩屋寺は久万高原のやや奥まったところに位置しているのだが、そこから次の札所がある松山平野へと向かう千本峠に昔ながらの古道が残っている。
歴史ある遍路道なのだが私が歩き遍路をした頃は荒廃していて歩ける状態ではなかったらしく、遍路地図にもルートの記載がなかった。しかし近年になって整備され、通れるようになったらしい。
赤色が千本峠の古道、青色がかつて歩いたトンネルルート
最近の遍路地図には千本峠のルートも記載されているようなので、一般的な遍路道と同じくらいの人が歩いているのではと思ったが、実際に行ってみると現在も歩く人はそれほど多くはないようだ。
この遍路道は林道から分岐し、千本峠まで谷筋を歩く。倒木や下草を見る感じ歩く人はあまり多くなさそうな印象だが、道の雰囲気は非常に良く、歩く価値は大いにあると思う。
最後に紹介するのは、トリにふさわしく第88番札所の大窪寺へと続く遍路道である。最後の札所へと向かうこの区間には、江戸時代に遍路が歩いていた旧遍路道が断片的に残っている。
私が歩き遍路をした頃にはまだ復興・整備がされておらず、存在すら知らなかった古道である。
青色が歩き遍路の時に歩いた車道、赤色がその後に整備された古道だ
このように、旧遍路道は現在の県道3号線および国道377号線に沿って断片的に存在する。いや、正確には旧遍路道に沿って車道が通されたことで、旧遍路道が断片化されたと言えるだろう。
いやはや、しっかり整備されていて歩きやすい古道である。古道の入口を示す道標も分かりやすく、ぜひとも旧遍路道を歩いてほしいという地元の人々の意気込みが感じられる。
石造物も多く古道の魅力がギュッと詰まった遍路道であるが、ただ惜しむらくはやはり現存する区間が断片的という点だろうか。
古道が途切れ途切れになっていることで、まずその古道の入口まで歩かねばならず、逆に遠回りになってしまう箇所もある。
ならば平坦な車道を歩いた方が時間的にも体力的にも楽ということもあって、私のように「是が非でも古道を歩きたい!」という人でもない限り、好き好んで歩く遍路は多くないように思う。
大窪寺に近いこの最後の区間もまた現存する古道は断片的であるものの、古道の末端から次の古道の末端までの経路が推測しやすく、一本の道として繋がりそうなポテンシャルを感じられた。
さらに調査や整備が進んで古道の復興区間が広がり、遍路道としてより歩きやすくなると良いですな。
今回は2011年の歩き遍路で歩かなかった(歩けなかった)遍路道を改めて歩き、その様相を紹介させていただいた。歩き遍路では遍路地図とにらめっこしながらできるだけ多くの古道を歩いたつもりであったが、魅力的な遍路道はまだまだあるものだ。
四国の各県は以前より四国遍路の霊場や遍路道の史跡指定を進めており、今回紹介した遍路道もすべて国の史跡に指定されていたりする。今後の調査によってさらなる遍路道の価値が見出され、保護の範囲が広がることに期待したい。
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