一度は見ておくべきだ
こんなにも貝殻を見ることはもうないだろうと思う。
今までだって、こんなにふんだんな貝殻を見たことが無い。もう圧倒的だ。もし貝殻に眠気を誘う効果があったなら、かなり深い眠りにつくはずだ。王子様のキスくらいでは起きれそうに無い。
とりあえず、人生で一度は行っておくべき場所な気がした。
キラキラと秋の名残の光を浴びて光る貝殻はとても綺麗で、まるで夢のような一場面だった。最初こそ、ふんだんな貝殻に悪夢な気もしたが、だんだん良い夢のような気がしてきた。
入り口からは急な坂道を登る。
亀ならひっくり返り、ポパイならほうれん草を食べて超人的なパワーを必要とする坂だ。そんなアイテムがない僕はテクテクと歩くしかない。
途中に児童公園があり、そこには草が親の敵くらいにふんだんに生えていた。もしこれが人間なら「剛毛」と呼ぶにふさわしいだろう。もう児童はもちろん大人も遊べなくなっていた。ほうれん草を食べたポパイなら遊べるかもしれない。
児童公園を無視して山頂にある貝殻パラダイスを目指す。
ここを教えてくれた知人の話によれば、夢に出て来るくらいにふんだんに貝殻が使われているらしい。貝殻が出てくる、その夢はいい夢なのだろうか、それとも悪夢なのだろうか、悩ましいところだ。
いい夢か、悪夢かを考えながら山頂に着くと、貝殻がビッシリとあしらわれた灯篭がまず目に入った。想像していた以上にビッシリだ。悪夢な気がしてきた。さらに進むと悪夢と決定づける鳥居があった。
嫌な音を聞いた時に立つ、鳥肌のように鳥居が貝殻でデコレーションされていた。貝殻が鳥居の鳥肌のように見えるのだ。
この後に分かるのだけれど、ここにあるおおよそ全てが、そんな貝殻の鳥肌を立てていた。すごい迫力だ。
神社の脇の細い道を進めば更なる貝殻ワールドが待っている。単体では綺麗な貝殻も、鳥肌のようにすごい数デコレーションされていては、こちらの鳥肌が立ちそうだ。
でも、面白い。怖いもの見たさだ。不味いと聞かされていても食べたくなるその心理に似ている。
運転手さんは中学生の時にデートで来たと言っていたが、見晴らしは文句なしなので、デート向きなのかもしれない。貝殻もどちらかと言えばロマンチックな部類に入るはずだし。
ふんだん過ぎるのが玉に瑕だ。
一生分の貝殻に囲まれて時間を過ごしているが、どこか心が躍り始めた。竜宮城ってこんな感じなんだろうなぁ~としみじみ思うのだ。何でも20年以上をかけて、この公園を完成させたそうだ。そのかいあって、芸が細かい(ダジャレです)。石に書かれた人の名前も貝殻で出来ている。
いい感じのお言葉が書かれている石で出来た看板みたいなものもあるのだが、それも貝殻がふんだんに使われている。メインの表より、裏の方が貝殻成分が多かったりと芸が細かい。5分遅刻しても怒られるなら、2時間くらいゆっくり遅刻して怒られよう、みたいな振り切れっぷりだ。
貝殻鳥居に貝殻大砲、貝殻休憩所など貝殻をふんだんに堪能してきたので、最後の貝殻に向かおうと思う。
最後の貝殻は展望台だ。
その展望台は船に乗っているのだ。船も貝殻で出来ているし、もちろん展望台も貝殻で出来ている。貝殻尽くしだ。
ふんだんに貝殻成分が配合されている。もしこれがレバーならば当分貧血になることは無いだろう。ただし、ここが完成してからの月日を感じずにはいられない。燃えた船みたいだ。それはそれで味がある。
階段を登り、展望台の上へと歩みを進めた。
展望台も貝殻尽くしで、自分のどこかの感覚が麻痺してきそうだ。ただ、そのおかげで笑えてくる。本当に来て良かったと思う。度が過ぎていて面白いのだ。お酒と同じで適度に酔ってもいいが、記憶を失くすくらい飲んでも、それはそれで楽しいのと同じだ。観光客等も全くいなくてゆっくりと満喫できた。
| 貝がら公園 住所:愛知県南知多町豊浜半月 アクセス:内海駅から海っ子バス「西海岸線」に乗り半月で下車 そこから歩いて15分程度 見学自由、無休、無料! |
こんなにも貝殻を見ることはもうないだろうと思う。
今までだって、こんなにふんだんな貝殻を見たことが無い。もう圧倒的だ。もし貝殻に眠気を誘う効果があったなら、かなり深い眠りにつくはずだ。王子様のキスくらいでは起きれそうに無い。
とりあえず、人生で一度は行っておくべき場所な気がした。
キラキラと秋の名残の光を浴びて光る貝殻はとても綺麗で、まるで夢のような一場面だった。最初こそ、ふんだんな貝殻に悪夢な気もしたが、だんだん良い夢のような気がしてきた。
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