上手に破裂させるテクニック
竹の中の空気が熱で膨張して破裂するというのがカラクリだが、熱しすぎると石に叩きつける前に爆発するし、かと言って温めが足りないと不発に終わる。その塩梅が非常に難しい。
周りと競い合っているわけではないが、叩くときには注目をあびるので失敗すると恥ずかしいのだ。上手くいかなかった人はそそくさと場から離れていく。
竹を温めるときは回しながら全体を炙るといいようだ。
先っぽからモクモクと白煙が上がるまで辛抱づよく炙り続けるのもポイントである。イメージとしては走行中の蒸気機関車から出ているくらいの煙が必要だ。
この温めの工程が成功可否を決めると言っていい。
また、竹を石に叩きつけるときには力を抜いて振り下ろすのが肝心である。上手い人ほど自然に重力を使って振り下ろしている。
それらを踏まえた上で、僕が竹をはしらかす様子をもう一度見ていただこう。
ライブのスモークのようだ。スター気取りで手を掲げる。
ライブのスモークのようだ。スター気取りで手を掲げる。
どうだ、講釈を垂れるだけあって上手に叩けてているだろう。「おぉ~!」という周りからの歓声に気持ちよくなりニヤけてしまったほどである。
同じ立場になって考えるとアイドルというものは黄色い歓声を浴びてニヤニヤしないのだから人間ができている。
破裂させたあとの竹は持ち帰って魔除けのために玄関に飾るのが習わしである。
それにしても、鬼の名がつく行事の割に鬼の影すら出てこないのはおもしろい。鬼について話している人は周りに一人もいなかった。
鬼のことなんてすっかり忘れて楽しい時間を過ごすことが、一番いい鬼退治の方法なのかもしれない。