ほどほどのフィクション性
この企画は1年程前から考えていたものの、当時は自分の職場を過度に思い出してしまいそうで実行に移せなかった。
今はオフィスワークではないので、程よい心の距離感でやれてホッとした。
ちなみにオフィスワーカー時代のわたしは、土産配り人の気配を感じた瞬間トイレに逃げるなどしていた。今思えばそこまでしなくても…と思うが、その時はそうするしかなかったのだろう。蛍光灯の白い光とブルーライトは、人を狂わせる。
次は受け取る側をやってみる。
三土さんが流暢に土産を配りまわっている最中、わたしの心は完全に乱れていた。

ーどうしよう。どんな表情で待ってたらいいんだろう。自分の時だけ会話のテンションが違ったらどうしよう。

ー今のわたしの姿は不自然じゃなかろうか。ああ、緊張…。三土さん、すみません。どうかわたしのことをハブっていただけないでしょうか。
…思考がものすごく卑屈になってきた!
全く仕事どころではなくなるこの感じ、オフィスワーカー時代の記憶が蘇ってくる。
蛍光灯の明かりがどんどん眩しくなり、顔面からは油分がにじみ出て、空間の全てに神経が集中するのに目の前のことには何も集中できない。
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そんなことを考えているうちに、わたしの対面に座るんちゅたぐいさんのターンが来ていた。
これ、やっぱ受け取る側の方が心に来る。
なんでこんなにくらっているのか、考えるほど意味不明なのだが、とにかく心臓に負担がかかる。順番を待っている時のドキドキ感とか…本当に。わたしは一体何なんだ。
役柄に忠実に、積極的に喋ってくれるべつやくさん。リアルだ。こういう人、いる。そしてこういう人は個別で土産配ってくれがちである。
オーディエンスからは、『佐伯がわかりやすく困っていた』『どんどん身体が後方にのけぞっていた』などの意見が上がった。
そう、明らかに困っている感じを出してしまうことに対する申し訳なさも、さらに心が苦しくなる要因なのだ…。
最高だ。とにかく全ての距離感や間合いが完璧。この配布スタイル、すごい。みんなこういう感じであってほしい。これならわたしでもできそうという希望もある。
さきほどのんちゅたぐいさんのスタイルを真似してやってみよう。
ただ、ふつうにやったら出来てしまう気がするので、皆さんには『めちゃ喋る上にやや絡みにくい会社の人』を演じてもらう。
※三土さんはそういう役を頼まれて、あえてそういう発言をしています。普段は本当に配慮の行き届いた人です。
このデスク、連携プレーがすごい。仲良すぎ。もう退散させてほしい。4人がわたしから目を離して盛り上がっている隙に、半歩ずつ後ずさりして去るタイミングを伺う。
かなり粘られながらも、無事退散。変な汗をかいたが、気さくな職場であることは伝わってきた。
自分が配る側を経験することでわかったことがある。普通でいいのだ。
と言っても、その『普通』が難しくはあるので、具体的に要点をまとめるとこうなる。
①他の人に配っている時は、知らんぷりして大丈夫
②会話は3ラリー程度
③会話内容は、他の人と喋っていたことと重複してもいい
こう言葉にすると、土産を受け取るのが苦手な人も少し心が軽くなったり、実践できそうな気もしてくるだろうか。
一番良いのは、『ご自由にお取りください』形式なのだが、それ以外のケースにも否が応でもエンカウントしてしまうのが社会である。
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もしこれを読んでいるあなたがわたしと同じような小心者で、今後お土産を受け取ること・配ることがあったらこの記事を参考にしてほしい。
大丈夫。配る人は、土産の箱を握り締め、深呼吸してから繰り出そう。
受け取る人は、とりあえず『ありがとうございます』だけはマストで言えるように脳内で暗唱しておこう。
この企画は1年程前から考えていたものの、当時は自分の職場を過度に思い出してしまいそうで実行に移せなかった。
今はオフィスワークではないので、程よい心の距離感でやれてホッとした。
ちなみにオフィスワーカー時代のわたしは、土産配り人の気配を感じた瞬間トイレに逃げるなどしていた。今思えばそこまでしなくても…と思うが、その時はそうするしかなかったのだろう。蛍光灯の白い光とブルーライトは、人を狂わせる。
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