レースたわしの謎がちょっとだけ明らかに
この記事を書くために初めてレースたわしを購入したのは先述の通りなのだけど、汚れがよく落ちるし、すぐ乾くし、ちょっと台所が華やかになるし思った以上の逸品だった。そのうちニトリとかでしれっと販売されているのではないかと密かな期待をしている。その際は「沖縄発祥なんだぜ!」と声高に伝えたい。
沖縄のファーマーズマーケットなどではよく、リボンを丸く縫い付けたような「レースたわし」なるものが売られている。本当にあちこちで見るので人気はありそうなのだが、実はこのレースたわしは沖縄発祥のものらしい。いったいどういう経緯で沖縄が関係しているのか、調べてみた。
皆さんは「レースたわし」なるものをご存じだろうか。上の花のような形状のたわしのことである。
レースたわしは主に県内のファーマーズマーケットで売られているのを見ることができるが、ネットで調べてみると専門で売っているサイトもあるし、ふるさと納税の返礼品としてあったりもする。
この前は娘の髪の毛を切りに行った美容室のカウンターでも販売されていた。県内だと結構そこら中で販売されている印象がある。
実物はこんな感じでレースのリボンみたいなものが丸く縫い付けられていて、感覚としては泡立てネットみたいな手触りである。
この記事を書くに当たって初めて買ってみたのだが、洗剤の泡立ちもよいし、スポンジに比べて水もさっと切れるので確かに使いやすい。それまではおかんアートみたいなものだと思っていたのだが、なかなか機能的で侮れない。色のバリエーションも沢山あって、ちょっとした贈り物なんかにもよいのかもしれない。
このレースたわしだが、ネットなどでは「沖縄発祥」と書かれていることが多い。というか、そもそも沖縄県内でしかほとんど知られていないようなのである。これはいったいどういうことなのだろうか。
手始めにレースたわしを見かけたファーマーズマーケットにメールを送って話を聞いてみた。返ってきた返信を要約すると
とのことだった。Xでも聞いてみたのだが
など、やはり沖縄だけで流通しているようだ(そして熱狂的な愛用者がいる)。その後も何件か話を聞いたり、取材依頼を出してみたのだがなかなか有力な情報は得られなかった。
締め切りギリギリで思いついて、材料を売っているであろう手芸ショップに行ってみた。訪れたのは宜野湾市にある「生地のスーパーしゃりま」。1966年創業の老舗で、生地だけでなく「ピレトリン」という米軍仕様の殺虫剤の販売もなぜかやっている。
店内ではなんとレースたわしの材料コーナーがあった。店員さんに聞くと、レースたわしについて詳しく教えてくれた。結構多くの人が作っているらしい。
レースたわしを作るにはレースを縫い付ける土台も必要で、チュールとよばれる網みたいな素材の布か、土台用のレース生地に縫い付ける2つの方法があるとのこと。
店員さんに改めてレースたわしについて聞いてみると
という事実が。もともとは誰かの発明品だったようなのだ。
あとあと調べてみると、それっぽいものを発見した。実用新案として1995年に下地さんというひとから出願されている「洗浄具」というものだ。「ポリエステル・メタリック・レースをフリルにし、同素材の台布にらせん状に縫製したたわし」との説明がされている。なお、登録状況を見てみると登録の3年後の1998年に権利がなくなっているようなので、手芸店の話とも一致する。
というわけで、レースたわしが「沖縄発祥」なのは確かで、かつて実用新案として登録されていたものを今はみんなが作っているという状況のようだ。多分みんなが作り始めるまでに何かしら経緯があったのだろうけど、残念ながらそれは分からなかった。なぜ沖縄だけで売られているかといえば、そこまで知名度があるものではないからかもしれない。知る人ぞ知るアイテムとして、定着しているが全国的に知られるほどの知名度は無い。地下アイドルみたいな存在なのかもしれない。
この記事を書くために初めてレースたわしを購入したのは先述の通りなのだけど、汚れがよく落ちるし、すぐ乾くし、ちょっと台所が華やかになるし思った以上の逸品だった。そのうちニトリとかでしれっと販売されているのではないかと密かな期待をしている。その際は「沖縄発祥なんだぜ!」と声高に伝えたい。
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