特集 2019年11月4日

お菓子のレシピは年々変わってきているのではないか??

材料の分量違いのクッキー

20年ぶりに母の作ったクッキーを食べたら、食感と味が違っていました。昔よりだいぶ美味しくなっていました。

お菓子を趣味で作っている人であれば「作り方を変えたのかな?」で済む話ですが、母はお菓子教室で先生をしています。世の中の主流を反映したレシピを使用しているはずです。世間のお菓子のレシピは年々変わっているのではないか。

たしかに市販の焼き菓子もどんどん美味しくなっているし、なんかしらは変わっているのでしょう。そう私は考えたのです。

1987年埼玉生まれの栃木育ち・群馬県在住。
週末は群馬の温泉を巡っています。
漫画やイラストを描いたり、それに付随した講師もたまにしております。(動画インタビュー)

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レシピ本を買い集める

母のクッキーがどのように変わったかというと、食感はボソボソからサクサクへ、全体的に香ばしくなっていました。

ここまで仕上がりが変わっていると、レシピも変わっているのが当然でしょう。

まずは巷のレシピ本を10年ごとに買いあさって比較してみます。流行や時代でレシピが変わっているはずです。

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昭和49年から10年ごとに買いあつめました。

クッキーを比較

今回は、クッキーを比較対象として選びました。なぜなら、私が今クッキーにハマっているからです。

各本のクッキーのページを見ていきます。すると…わずかながら材料が違います。

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「本当だ!材料がちがう!」こういうことか!

これがレシピが変わっているということか!と母親にメールを送ります。

レシピを再現するはずが

このレシピを再現してもらおうと実家に行って母にレシピ本を見てもらいました。

しかし、私は大きな勘違いをしていたのです。

「これクッキーじゃないのも混じってるし、作り方が違うよ!これでは比較にならない」

母に見せたレシピは左から、絞り型クッキー、型抜きクッキー、サブレだったのです。え、違うの?クッキーの項目にあったよ、同じじゃないの?

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すみません、全部同じだと思っていました。

右から
1991年10月発行 お菓子のつくり方:小山律子著  フラワー クッキー

2001年11月発行 みんな大好き。手作りお菓子: 作りたい。贈りたい。91のおいしいレシピ:柳瀬久美子著 プレーンクッキー

2018年5月発行 大人気インスタグラマーのかわいくて愛情たっぷり家おやつ:ライフスタイル編集部著 サブレ

クッキーとは何か

私がクッキーに対してあまりにも無知だっだので、はじめにクッキーとは何か学びます。

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ちゃんとテキストをもらって勉強しました。

 

まず混同しやすい3つのお菓子、クッキー、ビスケット、サブレを比較しました。

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それぞれ違うだろうな。とは思っていたけど、明確にどう違うかは説明できないでいました。

一応定義はあるものの、名称に明確な区別はないそうです。お菓子に興味がなかったら、全部同じ。と思うかもしれません。

そして、クッキーの作り方が3種類あり、絞り袋で形をつくる絞りクッキー、型で抜いて形をつくる型抜きクッキー、棒状に伸ばしてナイフで切るアイスボックスクッキーとわかれるのです。

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お菓子の説明イラスト手書きで描くのたのしい。

絞りクッキーは、生地を絞って形をつくるので生地をやわらかくする必要があります。型抜きとアイスボックスクッキーは、生地がやわらかいと変形するために生地をかたくする必要があります。

と、いうことは…材料がちょっと違う!と私が騒いでいたのは、作るクッキーの種類が違うから材料が違う。というだけの話でした。

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よく見て考えればわかることかもしれませんが、今まで私の生活に「お菓子作り」がなかったもので…

あ、あれ〜〜〜〜〜〜!!!恥ずかしい!!!

お菓子は基本的に、卵・バター・砂糖・小麦粉でできているのでレシピは変わらない。というか変わりようがないということでした。なんということだ。

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工程が違うクッキーがあるのはなぜ?

レシピは変わりようがない。ということはわかりましたが、レシピを見比べて気づいたことがあります。工程が違うのです。

始めから材料を全て混ぜてしまうもの、材料を別々に分けて調理しているもの、バターを入れるのが最初だったり最後だったり。微々たる工程の違いですが、これはレシピ違いとは言えないのでしょうか?!

ここまでくると、なんとかして「レシピが違ってきている」という答えを引き出そうと悪い顔になってきました。さあ、その答えとは…?!

「ゴールに至るまでの手法が違うから」だそうです。

例えばバターケーキだけでも4種類の道のり(やり方)があるんですって。
それに加え、甘さやお菓子の膨らみ加減など、その人の好みで入れる材料が違うんだって。

例えば生クリームを作るとしても、砂糖をたくさんいれて甘いのがいいか、脂肪分を多くしてコクがあるのがいいかで材料が変わってきます。これは時代というより、各自の好みの話でした…。

学んだことを踏まえて分量違いでクッキーを焼く

ここでちょっと寄り道します。知識が増えたことで、実際に分量違いで同じ絞りのクッキーを作りたくなったので実際クッキーを焼いてみました。

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小麦粉・バター・卵・砂糖のクッキー(左)をベースに、右は卵を1つにし、その分バターを多め・ベーキングパウダー有り。

少し材料を変えるだけで見た目・味が全然違います。それに加え、温度・湿度でも出来上がりが微妙に異なるそうです。

各家庭でオーブン、オーブンレンジなど家電の種類も違うし、自分の好みを見つける道のりは長そう。

レシピが変わっているって、何?

以上を踏まえて、はたして世間のお菓子のレシピは年々変わっているのでしょうか?なぜ母のクッキーの味は変わったのか。

聞いてみると、それは、母が所属するお菓子教室のレシピが変わっている。ということでした。味や食感をグレードアップさせたうえで経費も抑えていくという、営業努力の末のレシピ改変だったのです!

なるほど、素晴らしいプロの仕事。と思うとともに、一生懸命レシピの変化を調べていた私の努力は何だったのか。


感想

クッキー、ビスケット、サブレの違いがわからないことに今まで何も不自由はなかったのですが、当たり前にあるものをちゃんと学べば学ぶほど自分の無知さと向き合わなければなりませんでした。

年を取ってからの勉強は楽しいですが、この自分と向きあう時間がなんともむずかゆいです。

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憧れのドレンチェリー。緑色もあったけどやっぱり赤だよね!

 

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