自由研究は先生に好きなものを伝えるチャンス
最近の小学校ではキャリア教育の授業もあり、いろんな職業の方をゲストに呼んでお話を聞いたりするそうだ。
ありさん先生は、もし今もまだ教員だったら、自由研究から生徒の興味を把握してゲスト選びの参考にすると言っていた。
それってつまり、自由研究は先生に好きなものをアピールするチャンスということ。
先生にとってはどんなテーマでも花丸ということも分かったので、今年の夏は思うぞんぶん好きなことで自由研究しよう。
ここまで、先生たちの自由研究に対する目線や、どんなものを面白いと感じるのかについて教えてもらった。
ただ、もはや夏の季語かのように毎年やっているこの自由研究。そもそもどういった経緯で始まり、ここまで定着したのだろうか。
ありさん:自由研究って76年前に全国の小学校でやると決まったんですけど、当時は算数や国語のような教科の一つで、授業の中で取り扱われていたみたいなんですよ。
高瀬:すごい先進的ですね。
ありさん:ただそれは4年で終わってしまって。その後は夏休みの宿題として続いたんですけど、今ややって当然のものになってるのがすごいですよね。
石川:「うちの地元は自由研究なかった」って聞いたことないですもんね。
高瀬:じゃあ今は学習指導要領(国が定めた教育の内容)で決められてる訳ではないんですね。
ありさん:はい。あと評価したり成績に反映したりもしないです。だから、決してやらなきゃいけない訳ではないのに日本中で慣例として続いてる、すごいユニークな宿題だなと思います。
高瀬:海外でも自由研究ってあるんですか?
ありさん:8つの国の人に聞いたんですけど、みんなないって言ってました。国によっては似たようなものがあるけど、やるかどうかは学校や先生次第で、全国一律っていうのはやっぱりすごくユニークです。
高瀬:ほかの国の方からすると、日本の自由研究ってどういう印象になるんでしょう。
ありさん:すごいって思うと思いますよ。
自由研究って基本的な読み書きができるとか、理科の実験だったら比較して結果を出すことを知ってるとか、前提として必要になる学習があるじゃないですか。
高瀬:考えたことなかったけど確かにそうですね。
ありさん:学び以外でも親の協力が得られるとかノートがあるとか。なので開発国のように基本的な教育環境がそろっていない国では、全国一律での小学校からの導入は難しいかなと思います。
高瀬:世界で見たら、自由研究ができてるってありがたいことなんですね。
ありさん:でも教育環境が整っている国だったら、面白いから導入しようってなるかもしれないです。ただその場合も学力につながるのかは調べると思うので、日本みたいに完全に自由っていうのは難しいですね。
高瀬:逆になんで日本はこんなに自由なまま続けられてるんでしょう。
ありさん:当たり前のものすぎて、検証っていう視点にならないのかもしれないですね。
石川:あと日本って夏休みだけすごい長いから、子どもにやることを与えたいのもあるんじゃないですか。
ありさん:ただ目的はぼんやりしていても、日本が76年も前から子どもの好奇心を育てるために自由研究を始めて、それが続いてることにすごく感動しました。
高瀬:日本人ってテストはできるけど創造力は弱いって言われがちですけど、こうやって自由研究が続いてきたことはもっと評価されてほしいですね。
石川:何十年も続いてること自体がすごい強みですよね。親も自由研究を体験しているから、アドバイスできる下地ができていて。
ありさん:疑問に思わないですもんね、宿題に自由研究って書いてあっても。
石川:これが今までやったことない国で急にやるとなったら、こんなにスムーズにはいかないんだろうなと。
高瀬:親はどこまで手伝っていいんですか?って聞かれそうですね。
ありさん:自由研究にかかったお金って出してもらえるんですか?とも問い合わせがあるかもしれませんね。
石川:だから「自由にやってきて」ぐらいの指示でもできる土台があるって、実はすごいことなんだと思います。
高瀬:もはや伝統ですね。自由研究のこと、すごい誇らしく思えてきました。
最近の小学校ではキャリア教育の授業もあり、いろんな職業の方をゲストに呼んでお話を聞いたりするそうだ。
ありさん先生は、もし今もまだ教員だったら、自由研究から生徒の興味を把握してゲスト選びの参考にすると言っていた。
それってつまり、自由研究は先生に好きなものをアピールするチャンスということ。
先生にとってはどんなテーマでも花丸ということも分かったので、今年の夏は思うぞんぶん好きなことで自由研究しよう。
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