特集 2023年12月12日

手の甲にメモできるのは原稿用紙1.2枚分

子どもを保育園へ迎えに行った時、先生が手の甲にメモをしているのを見た。

小中学生の時に同級生がやっているのを見て以来だ。メモ帳を出し入れする暇すらない職業だと、大人でも手の甲にメモをする。

そう、人によっては手の甲はメモ帳なのだ。

ならばメモ帳としてのスペックを知っておきたい。何文字まで書けるのだろう。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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ペンを選ぶ

手の甲にメモする内容って「◯◯時までに◯◯する」ぐらいの簡単なものがほとんどだろう。十数文字が最大だと思う。

だがそれは手の甲の本領ではない。もっともっとやれるのに楽な役回りに甘んじている。「機会があったら本気を出そう」とか考えていたら一生一言メモのままだ。いつかじゃない。やると決めて、やるのだ。今を生きろよ、メモ帳なんだろ。

鼻息をふがふがさせながら取り掛かる。まずはペンを選ぼう

右手に試し書きをしながらペンを選んだ。筆ペンや水性ペンは手にインクが乗りにくい。油性ペンにしよう。 

たくさん文字を書きたいので細いペンがいい。0.1mmの油性ペンを用意した。 

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縦書きがいい

準備ができたところで公園に来た。天気が良かったので。

陽が射していて気持がいい

ここで手の甲にメモ帳デビューしてもらおう。 

書き始める。「ある日のことでございます」

有名な小説をどこまで書き写せるかやってみよう。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』にした。 

『御釈迦様は極楽の蓮池はすいけのふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました』

読める範囲でできるだけ小さく書いていく。0.1mmのペンはチクチクして痛かった。乾燥する冬にやるもんじゃないなと思ったが、夏は汗で書きにくいのかもしれない。コンディションを整えるのが難しいメモ帳である。 

そして、途中から縦書きに変える
横書きは手首を捻らなきゃいけなくて大変
手の甲にたくさん書く時は、このどちらかが良い
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カンダタが出てきたぞ

真ん中あたりまで来た。極楽の描写が終わったあたり

お釈迦様の行動に全部「御」が付いていて体力が削られる。「御歩き」とか「御佇み」とか。

でも手の節の部分を過ぎたらだいぶ書きやすくなった。 

インクが薄くなってペンを変えたところでカンダタが出てきた

ペンを変えたら太くなってしまった。でも待ち望んでいたので太字でいいだろう。 

そしてカンダタの悪事を説明するところで、手の甲が埋まった
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464文字だった

書けた文字数は464文字。400字詰めの原稿用紙1枚とちょっと。

料理のレシピなら書き切れるだろう。あと居酒屋のトイレにある『親父の小言』は425文字だった。ちょうど収まる。

両利きの人は右手の甲にも同じように書けるので928文字になる。これだけあれば短いコラムも、歌の歌詞もだいたい収まる。安室奈美恵の『CAN YOU CELEBRATE?』が608文字だった。

そしてこの段落も含めた本文(見出しとキャプションは除く)もちょうど928文字。手の甲にメモした記録が全部手の甲に入るのだ。

右手の甲には書けなかったので、左手の手のひらにこの記事を書いた。トップ画像に、この記事の全てがあった
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