特集 2018年11月28日

日本初!?「忍者部」ってどんな部活なの?

どこからどう見ても、明らかに忍者部!

『NARUTO』や『忍たま乱太郎』など、忍者を題材にしたアニメや漫画は今でも大人気です。

そんな忍者を研究する「忍者部」なる部活が青森大学にあるんだそうです。それ、文化部なの? 運動部なの?

……というわけで「忍者部」がどんな活動をしているのか取材してきました。

1975年群馬生まれ。ライター&イラストレーター。
犯罪者からアイドルちゃんまで興味の幅は広範囲。仕事のジャンルも幅が広過ぎて、他人に何の仕事をしている人なのか説明するのが非常に苦痛です。変なスポット、変なおっちゃんなど、どーしてこんなことに……というようなものに関する記事をよく書きます。

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この「忍者部」って、どういうきっかけでできた部活なんですか?
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私の専門は薬学なんですが、忍者も様々な野草を薬にしたりしていて薬学と関わりが深いんですよ。

そんなこともあって色々調べていたところ、かつて弘前藩で忍者が活動していたという情報が出てきたんです。

青森県は東日本大震災で大きな被害は受けなかったものの、観光客は減ってしまっていたので、外国人向けに忍者でインバウンドを狙うというのもいいなと思って。

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外国の方は忍者、好きですからねー!
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ただ、忍者って架空の存在みたいに思われているので、これまで学問の対象になってなかったんですね。

具体的にどういう活動をしていたのか? なぜ本州の北のはずれに忍者が必要とされたのか? それを解明しようと。

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ああ、じゃあ最初は授業の一環のような方向で考えていたんですか?
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……と思っていたんですが、それだけじゃ興味を持ってもらえないですよね。青森大学には全国17連覇している名門の新体操部があるので、そこに協力してもらって忍者ショーをやったらウケるんじゃないかと考えたんです。

でも、体育会系の部活って基本的にかけもち禁止でなかなか協力してもらえなくて。だったら新たに忍者の研究と、忍者ショーをするような部活を立ち上げたらいいんじゃないかと。

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普通、部活って学生が「やりたい!」といって自主的にはじめるもんじゃないですか?
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そうです。

まずはサークルで実績をつんで、それから部活動に昇格という流れなんですけど、どうしても日本で最初に「忍者部」という部活を作ったというのをアピールしたかったんで、各所に拝み倒して(笑)。2年半前に学校公認の部活として「忍者部」がスタートしました。

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先生主導で部活をはじめて、部員は順調に集まったんですか?
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集まらなかったので、最初は私が受け持っていた薬学部の学生を勧誘したりしていたんですけど、ラッキーなことに1年目の10月に、新体操部を辞めてこちらに入ってきてくれた学生がいたんですよ。

それから、彼を中心として忍者ショーをやれるようになりました。

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ところで「忍者部」って文化部なんですか? 運動部なんですか?
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うーん、文武両道ですかね(笑)。他にこういう部活、ないですからねぇ(現在は三重大学にも忍者部ができているそうです)。

 

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しかし、青森に忍者がいたなんて、まったく知りませんでした。
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江戸時代に関していえば、伊賀や甲賀と比べても活発に活動していたみたいですよ。

甲賀がルーツで、そこからスカウトされてきた忍者が弘前藩で部隊を作って、約20人前後の忍者が常に活用していたようです。

実は、石田三成の次男・重成が弘前まで落ちのびてきていて、その子孫が忍者部隊を結成したようなんですよ。

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石田三成の子どもが青森まで!

でも、平和な江戸時代だったらスパイ活動をする必要もなさそうですけど、何をやっていたんですか?

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蝦夷地(北海道)に対する監視ですね。

幕府からの命令で、アイヌと松前藩の戦いの諜報活動などをしていたみたいです。

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ああー、シャクシャインの戦い!(1669年。当時の北海道を支配しようとしていた松前藩に対し、先住民のアイヌたちが蜂起した戦い)

そこに石田三成の子孫や忍者が絡んでたなんて……漫画になりそうないい題材ですね。

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うん、漫画やアニメになったら面白いと思いますよ!
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よく「○○流忍者の末裔」を名乗っているおじさんっていますけど、弘前忍者の末裔はいないんですか?
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いますよ。青森には「棟方」って姓が多いんですけど、その棟方氏は忍者の一族だったみたいですね。
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えっ、じゃあ棟方志功も忍者の末裔だったり……。
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そうだったら面白いですね! 

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もともとアクションをやりたいと思って新体操部に入っていたんですが、当たり前ですけど新体操部って新体操しかできないじゃないですか。
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そりゃそうでしょう(笑)。
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本当は、演劇とアクションを融合したようなことをやりたいと思っていたんです。

そんな時に「忍者部」ってヘンテコな部活ができるって聞いて。「こりゃ有名になるな」という予感がありましたね。

それに、忍者部のショーだったら、演劇+アクションの要素も入れられますから。

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僕は演劇をやっていたんですけど、福田くんから「忍者やってみないか?」って誘われたのをきっかけに入部しました。僕もアクションが大好きだったんで。
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「忍者やってみないか?」っていい誘い文句ですね~。

菅原くんは入学前から「忍者部」があったわけですけど、存在は知っていたんですか?

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知らなかったですね。

ただ、高校時代に弓道をやっていて、剣術などにも興味があったので「忍者部」って何だろうって興味を持ちました。

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今、部員は何人くらいいるんですか?
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在籍は35人くらいいますけど、ちゃんと活動しているのは十数名ですね。
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今日来ている人はアクションをやりたい人だと思いますけど、忍者の研究を主にやっている人もいるんですか?
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うーん……まあ、やっぱりアクションに興味を持って入ってくる人がほとんどですね。
 
古文書を読んで研究したりするのは主に私で、そこで分かった情報を部員たちに提供するみたいな感じなので。

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みんな、昔から忍者は好きだったんですか?
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あまり興味はなかったですね。忍者ってダサイっていうイメージがあるじゃないですか。
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え、そうですか?
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アニメや漫画でのイメージは格好いいんですけどね。
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よくある忍者ショーって伝統的な衣装を着て、パフォーマンスも演舞に近かったりして、若い子からすると、とっつきにくいと思うんですよ。

だから僕たちは衣装にもなるべく気を遣って、パフォーマンスも派手に分かりやすくするよう心がけています。

「本当の忍者はバク転や宙返りなんてしてなかった」なんて言われることもありますけど、世間から求められているのはアクロバティックな忍者ですからね。

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確かに……忍者ショーと言いつつ、割と地味な古武術の演舞みたいなことをやってるところもありますからね。

でも、忍者研究に取り組んでいる先生的には「ホントは違うのになぁ~」なんて思ったり……?

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いや、そこは別物なんで(笑)。古文書を読んで正しい知識を頭に入れつつ、ショーでは格好いい姿を見せて多くの人に興味を持ってもらえればいいと思います。 

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それじゃあ、今後の予定や目標などを教えてください。
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僕たち4年はもうすぐ卒業してしまうので、それまでの間に後輩たちに色々と伝えて、忍者部が続いていってくれるといいなと思っています。

 

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去年も今年も、「忍者部があるから青森大学を選んだ」という人がいたので、そういう人が増えてくれるといいんですけどね。
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このまま技術を高めていけば、 来年か再来年には県外でもショーをやれるくらいのクオリティにはなると思うんで!

僕、個人の目標としては、忍者部での経験を活かしてアクションの仕事に就けたらいいなと思っています。

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研究の方では何か展望はありますか?
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実は一昨年、弘前市内で 忍者屋敷を発見したんですよ。石田三成の子孫が居住していて、忍者軍団が集まる場所にもなっていたようです。

持ち主はすでに青森市に移り住んでいて空き家になっているんですが、ご高齢なので処分したいらしく、ちゃんとしたところが引き取って、一般公開できないかなと思っているんです。

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おおーっ、忍者屋敷!

 

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最近まで実際に住んでいた家なので、色々と改築もしてしまっていて文化財になるような建物ではないんですが、観光資源としては十分活用できると思っています。
 
弘前城からも近いですし、山の崖に囲まれた袋小路のような場所にあってロケーションもいいんですよ。

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みんなの大学でも「忍者部」作ってください

「忍者部って何やってるんだぁ~?」という感じで行った取材でしたが、忍者研究も忍者ショーも、思った以上に本気クオリティでした。

演劇がやりたい人、新体操がやりたい人向けの部活はありますけど、言われてみればアクション俳優などを目指している人が入るべき部活ってないんですよね。

そんな人にとって「忍者部」っていい受け皿ですよね。みなさんの大学でも「忍者部」作ってみたらどうでしょうか!?

ちなみに、青森大学忍者部には青森大学以外の人も入部可能だそうなので、興味がある人はfacebookページなどから連絡してみてください! 

青森大学忍者部 facebook

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