特集 2026年3月12日

日常の風景を画嬢にする

画嬢とは、ポエムや写真をギラギラにデコった画像のことだ。
ガラケーの待ち受けなどに用いられた、いわゆる2000年代女児&ギャルの流行のひとつであり、わたしが乗り損ねた文化である。

社会人。体育が嫌い。大人になった今でも大抵の物事を「体育よりマシか、否か」で判断している。(ライターWiki

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間に合え、画嬢

画嬢が流行っていた2000年代、わたしは画嬢を始めとしたキラキラ↑イケイケ↑な文化を冷笑する陰気な小学生だった。

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※画嬢参考例

しかし、当時放課後によく遊んでいた子(Aちゃん)は全く反対のタイプだった。
彼女はわたしのような陰気な奴を遊びに誘うほど社交的でハツラツとしていた。おまけに、ガラケーはショッキングピンクで、シルバーのラインストーンでギラギラにデコ。それに加えてクローバーモチーフのストラップを付け、待ち受けは板野友美の画嬢、着メロは木村カエラのButterfly、好きなタレントはベッキーという、『今』を『自分』として生きることにためらいの無い女子だった。

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一方のわたしはというと、その勇ましい姿を、『ふーん。ま、わたしの趣味ではないッスね…』という態度で見ていた。
もし今タイムスリップできるとしたら、『斜に構えてんじゃねぇーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!早急にこのムーブメントに乗らんかッッッッッ!!!!!!!!!!!!!喝ッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』と、平成女児御用達のデニムペンケースで己の脳天を引っ叩くだろう。

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当時、画嬢などの平成女児文化にそこまでピンときてなかったというのは本心だが、一方で『こういうキラキラしたものに素直にノれる人間』に対して憧れを抱いていたのもまた事実である。
話題の物事自体に興味関心があるかは一旦置いておいて、いわゆる『付き合い』や『ブームだから』的な理由で祭りに参加する経験が、どれだけ大切か…。

叶うならAちゃんに、「ノートの裏表紙に『♡一生仲仔♡』って書き合おう」と打診したい。でも、もう遅い。Aちゃんとは小学校卒業以来一度も会っていない。

あの頃乗り損ねた画嬢ブーム。いまからでも間に合うだろうか。間に合うはずだ。間に合ってくれ。よし、やってみよう。

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つくろう、画嬢板

ところで、画嬢にはそれぞれメインとなるモチーフ(写真やイラスト)があることが多い。キティちゃんとか、ミッキーとか、YUKIとか、スージー・ズーとか。
しかし、今回は汎用性を持たせるために、透明のプラ板を使うことにした。
画嬢風にデコったプラバン越しに風景を見ることで、日常を画嬢化することができるだろう。

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これを画嬢板と名付ける

ペンだけではややギラつきが足りないので、デコシールで盛っていこう。

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デコるのも技術が必要だ。雰囲気だけでやっても、思うようにはいかない。
あの頃に見た画嬢たちもひとつひとつ、試行錯誤しながら制作されたのだと思うと、リスペクトの念が増す。

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ポエムの文言はスルスルと出てくる。なぜなら、中学時代にこういったキラキラ青春系ポエムへの憧れをこじらせて、パロディを量産して同級生に発表していた経験があるからである。

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何パターンか作った
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デコれ、街!

さて、街に繰り出そう。

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例えばこの公衆電話に画嬢板をかざすと、

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こうなる
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全景はこう

日常のなんてことない風景が、一瞬で画嬢になった。

使えそうな風景を探しつつ、郵便ハガキを投函しようとポストを探していたところ、すぐ近くに見つけたので、

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画嬢にしてみた。
『出会えたコトがキセキやねんっ』とポストとの邂逅を喜びつつ、『めたんこラビュッだよん』と、郵便システムに対する日頃の感謝も伝えることができた。

この調子でどんどん行こう。

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なんでもない日に偶然遭遇したい店と言えば、モスである
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日高屋でもうれしい
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イメージはこう
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背景が空のやつもあるある
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電柱を入れてもいい
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自転車をパクられたことがあるので、自転車泥棒の検挙活動には応援と感謝をしている
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一昨年立て続けに糞をかけられてから、鳩を見ると身構えるようになった
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ピピーッッ!そこの爆走乙女!とまれーぃッ!!!
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青春も安全第一だゾ!
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塾の看板だってDECOってかわいく
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突発的に大谷選手のリアコになることもできる
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背景でこの恋が脈無しだと示唆することも可能
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ススメ!画嬢道

日常は画嬢素材で溢れていることがお判りいただけただろうか?

アナログではあるが、実際つくってみて痛感したのは、画嬢のフォーマットとしての強靭さである。
明確にトンマナがあってそれに沿って構成されているため、ちょっとばかし背景を標準からズラしてもそれっぽく見えるのだ。さすが、一時代気付いた文化なだけある。

力技ではあったが、これであの頃乗り損ねた祭りに少しは参加できたと言えるだろう。
 

一息ついて、ふとカメラロールを見返していると、高校の頃同級生に教科書を貸した際にもらった手紙の写真がでてきた。

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愕然とした。『こっちの方が全然画嬢じゃん...』と思った。ルーズリーフなのに。ペンも一色なのに。

そういえばこの子も、自分の好きなことに真っすぐで、斜に構えたところのない女子だった。陰気なわたしにも分け隔てなく仲良くしてくれて、はつらつとしていて...。

精神性なのかよ、画嬢って...。

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まがい物と本物の差に、わたしはただただ、打ちひしがれた。

画嬢道は一日にしてならず。喝。

編集部からのみどころを読む

編集部からのみどころ
佐伯さんの過去を振り返るエッセイがめちゃめちゃに好きなのですが、今回もいい話が満載でうれしかったです。斜に構えた自分に説教したくなる気持ち、まるで我が事のようです。タイムマシンがあったら過去に戻って殴ってしまいそうなので本当に未発明でよかった。
そんな僕の話はどうでもいいんですけど、佐伯さんの画嬢がまたうまいんですよね。タッチが妙にリアルでおかしかったです。(石川)

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