間に合え、画嬢
画嬢が流行っていた2000年代、わたしは画嬢を始めとしたキラキラ↑イケイケ↑な文化を冷笑する陰気な小学生だった。
しかし、当時放課後によく遊んでいた子(Aちゃん)は全く反対のタイプだった。
彼女はわたしのような陰気な奴を遊びに誘うほど社交的でハツラツとしていた。おまけに、ガラケーはショッキングピンクで、シルバーのラインストーンでギラギラにデコ。それに加えてクローバーモチーフのストラップを付け、待ち受けは板野友美の画嬢、着メロは木村カエラのButterfly、好きなタレントはベッキーという、『今』を『自分』として生きることにためらいの無い女子だった。
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一方のわたしはというと、その勇ましい姿を、『ふーん。ま、わたしの趣味ではないッスね…』という態度で見ていた。
もし今タイムスリップできるとしたら、『斜に構えてんじゃねぇーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!早急にこのムーブメントに乗らんかッッッッッ!!!!!!!!!!!!!喝ッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』と、平成女児御用達のデニムペンケースで己の脳天を引っ叩くだろう。
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当時、画嬢などの平成女児文化にそこまでピンときてなかったというのは本心だが、一方で『こういうキラキラしたものに素直にノれる人間』に対して憧れを抱いていたのもまた事実である。
話題の物事自体に興味関心があるかは一旦置いておいて、いわゆる『付き合い』や『ブームだから』的な理由で祭りに参加する経験が、どれだけ大切か…。
叶うならAちゃんに、「ノートの裏表紙に『♡一生仲仔♡』って書き合おう」と打診したい。でも、もう遅い。Aちゃんとは小学校卒業以来一度も会っていない。
あの頃乗り損ねた画嬢ブーム。いまからでも間に合うだろうか。間に合うはずだ。間に合ってくれ。よし、やってみよう。
つくろう、画嬢板
ところで、画嬢にはそれぞれメインとなるモチーフ(写真やイラスト)があることが多い。キティちゃんとか、ミッキーとか、YUKIとか、スージー・ズーとか。
しかし、今回は汎用性を持たせるために、透明のプラ板を使うことにした。
画嬢風にデコったプラバン越しに風景を見ることで、日常を画嬢化することができるだろう。
ペンだけではややギラつきが足りないので、デコシールで盛っていこう。
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デコるのも技術が必要だ。雰囲気だけでやっても、思うようにはいかない。
あの頃に見た画嬢たちもひとつひとつ、試行錯誤しながら制作されたのだと思うと、リスペクトの念が増す。
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ポエムの文言はスルスルと出てくる。なぜなら、中学時代にこういったキラキラ青春系ポエムへの憧れをこじらせて、パロディを量産して同級生に発表していた経験があるからである。
デコれ、街!
さて、街に繰り出そう。
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例えばこの公衆電話に画嬢板をかざすと、
日常のなんてことない風景が、一瞬で画嬢になった。
使えそうな風景を探しつつ、郵便ハガキを投函しようとポストを探していたところ、すぐ近くに見つけたので、
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画嬢にしてみた。
『出会えたコトがキセキやねんっ』とポストとの邂逅を喜びつつ、『めたんこラビュッだよん』と、郵便システムに対する日頃の感謝も伝えることができた。
この調子でどんどん行こう。
ススメ!画嬢道
日常は画嬢素材で溢れていることがお判りいただけただろうか?
アナログではあるが、実際つくってみて痛感したのは、画嬢のフォーマットとしての強靭さである。
明確にトンマナがあってそれに沿って構成されているため、ちょっとばかし背景を標準からズラしてもそれっぽく見えるのだ。さすが、一時代気付いた文化なだけある。
力技ではあったが、これであの頃乗り損ねた祭りに少しは参加できたと言えるだろう。
一息ついて、ふとカメラロールを見返していると、高校の頃同級生に教科書を貸した際にもらった手紙の写真がでてきた。
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愕然とした。『こっちの方が全然画嬢じゃん...』と思った。ルーズリーフなのに。ペンも一色なのに。
そういえばこの子も、自分の好きなことに真っすぐで、斜に構えたところのない女子だった。陰気なわたしにも分け隔てなく仲良くしてくれて、はつらつとしていて...。
精神性なのかよ、画嬢って...。
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まがい物と本物の差に、わたしはただただ、打ちひしがれた。
画嬢道は一日にしてならず。喝。

