特集 2019年11月19日

長靴にお湯を入れて履きたくなった

靴の中に水がある気持ち悪さ VS お湯に足をつける気持ち良さ

靴の中に水が入るのは不快だ。でもその水がちょうどいいお湯で、靴が長靴だったらどうだろうか。足をお湯が包んで、もうそれは足湯なんじゃないか。

1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。動画インタビュー

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長靴にお湯を入れて履きたくなった

突然こんなことを言われても困るかもしれないが、当時の気持ちをなるべく正直に打ち明けるとこういうことになる。長靴にお湯を入れて履きたくなったのだ。

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長靴。

仕事で大失敗をしてヤケになって、とかそういうことではない。毎日毎日決まったことを穏やかに繰り返す生活の中で、ふとそう思ったのだ。

靴の中に水がある不快感と、でもそれがいい温度のお湯である気持ち良さが混ざってわけの分からないことになるのではないか。そう、わけの分からないことになりたのだ。特に理由もなくこんな気持ちになるということは、普段の暮らしが穏やかすぎるのかもしれない。だからわけの分からない刺激を求めるのかもしれない。

とにかく思いついてすぐ、担当編集の藤原さんにメッセージを送った。「長靴にお湯入れて履いたら面白いですかね。足湯になりますかね。」深夜1時半だった。

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翌朝、返信が来た。

返事をくれる藤原さんがいかに優しいかを確かめるために、全然関係ない友人に同じメッセージを夜中に送ってみようかと思ったが、嫌われそうなのでやめた。

等々力渓谷に来た

  • 長靴にお湯を入れて履いたらどんな気持ちなのだろうか
  • 足湯みたいになるのだろうか

これを確かめるために藤原さんと等々力(とどろき)渓谷に来た。

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世田谷区にある、東京23区唯一の渓谷である。駅を出て、少し路地に入ったところで階段を降りると、

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こんなことになっている。

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どこ行っても木漏れ日が気持ちいい。

いいところに来た。もし長靴にお湯を入れて足湯みたいになるのならば、いい景色を見てくつろぎたい。

長靴にお湯を入れる

やることはシンプルである。長靴にお湯を入れて履くのだ。そのためにまず、長靴にお湯を入れる。

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お湯を入れる。自分で言いだしておいて「いいのか?」という気持ちになる。
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勇気!
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やってしまった。全然気持ち良さそうではない。
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たくさんの水筒に分けてお湯を持ってきた。

長靴ってこんなに水が入るのか。結局持って来た水筒5、6本を全部あけた。片足1.5リットルぐらい入っていたと思う。お湯の温度は50度ぐらい。足を入れて冷めることも考えて、お風呂の温度よりは高めで持ってきた。

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せっかくなので入浴剤も入れよう。
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半分に割ってそれぞれに入れる。パーティー(発泡)が始まった。
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「パーティー(発泡)が始まったな…」
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お湯を入れた長靴を履く

発泡に圧倒されたが、気を取り直して履く。

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「ぅおっ!」
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「くぅっ」
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「っかぁ〜!」

靴と靴下を脱ぎ、長靴にそっと無防備な足を入れ、お湯と触れる。一瞬「うわっ」と思う。やっぱり靴に水があると不快だ。でもそのまま足を沈めていくと「っくぅ〜」という熱いお風呂に入る時の痛気持ちいい感覚がきて、そこですっかり落ち着いてしまった。お湯の温度がちょうどいいし、芯からじんわり温まる感じがする。いい香りもする。

気持ち悪さもあるかと思っていたが、ほとんどない。いい温度のお湯に足をつけている感覚そのままだ。そのままだし、しかもこれ、歩けるのだ。

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やりたいと思っていたことをやろう。
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等々力渓谷で長靴にお湯を入れて履き、イスに座ってパピコを食べた。
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木々の合間から差し込む日の光を受けて、湯に浸かってパピコを食べている間、藤原さんがたくさん移動して色々な写真を撮ってくれた。「悪いなあ」と思った。

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少し散策してみる。

この渓谷について書かれているパネルがいくつかあったので見て回ったが、何が書いてあったかよく覚えていない。銭湯の壁にお湯の効能とかが詳しく書かれていてお湯に浸かりながら読めたりするけど、あそこに書いてあること、覚えられなくないですか。気を緩め切っているからだと思う。今そういう気持ちなのだ。

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ただ、それが気持ちいいのでぼんやり見る。
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すごく迂闊な子どものイラストがあった。
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気をつけよう。

パピコを2本とも食べた。パピコなんだから片方藤原さんにあげればよかったのに、気がついたら全部食べてしまっていた。

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「しっかりしろ!」と言いたくなるけど、この人は足湯に浸かっているのだと思うと、じゃあしょうがないかという気もする。

足湯に浸かっている人にあれこれ言ってもしょうがない。

滝を見にいく

この長靴のいいところは足湯気分のまま歩けるところである。近くに不動の滝というスポットがあるので長靴のまま向かってみる。

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長靴から「チャポ、チャポ…」という音がする。
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ちょっとした階段ですごく手こずる。

お湯が入っていてすごくゆっくりしか歩けない。そして段差にかなり弱い。

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ここまでしか行けないな、という場所から水が落ちている様子が見えたのであれを不動の滝と思うことにする。
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湯に浸かりパピコを食べながら滝を見た。

この長靴、歩けることは歩けるのだが、長い距離や段差が多い場所は無理だ。

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終わってからもしばらく足湯気分だった

なるほどなるほどと思いながら戻って、お湯も冷めてきたので足を拭いて靴を履いた。

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足を拭いて、
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靴を履いた。

見た目には靴が変わっただけなのだけど、温泉からあがってきた感覚なのがおもしろかった。体がポカポカしていて充実感がすごい。ビール飲みたいなと思った。

長靴にお湯を入れて履くとかなり足湯気分になれる。他、気がついたことはこんな感じである。

  • 片足1.5リットルぐらいお湯が必要
  • お湯の温度は50度ぐらいで持ってくるといい
  • 入浴剤はあってよかった。体が温まる
  • 靴の中に水がある不快感は最初だけでほとんどない
  • かなりゆっくりなら歩ける。でも段差や階段は難しい
  • お湯は20分ほどで冷める

ただ、本当に元も子もないことだけど、足を温めるグッズというものが世の中にはたくさんある。足用の湯たんぽなどもあるのだ。本当に足を温めたかったら、そういうものを使った方がいい。

だから長靴にお湯を入れて履いたのは、やはりその行為自体がなんかおもしろそうだったから、という理由でしか説明できない。実際長靴に足を入れて「っかぁ〜!」となるのはなんかおもしろかった。


やたら荷物が重かった

やることはすごくシンプルで道具も少なくていいはずなのに荷物が重くて大変だった。

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そう。お湯が重かった。
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不動の滝ですが、あとで普通の靴を履いて見た。

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