だいたい代替可能だと思う
本に書いてある通り、味噌と醤油はだいたい大雑把に代替可能だった。しかも物によっては、いつもの使っているもの以上のパフォーマンスを発揮する時もあり、あなどれない。(あと、書き忘れていたけれど、醤油モロキューはまずかったです)
みなさんも今夜は一つ入れ替えでいかがでしょうか。楽しいよ。
味噌と醤油はどちらも大豆からできている。
だったら、ふつう醤油しか使わないようなものに味噌を使っても、もちろんその逆もおいしいんじゃないか。
2005年8月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。
じつは、この思いつきは僕オリジナルのものではない。青木敦子さんというフードコーディネーターの『調味料を使うのがおもしろくなる本』に書いてあったことだ。
この本、なかなかおもしろい。調味料の特性やレシピだけじゃなくて、「ココアにコショウをかけるとうまい」「安いアイスにエキストラバージンオイルをかけるとうまい」「料理が失敗してもケチャップをたくさんかければ結構なんとかなる」なんてコネタみたいなこともたくさん書いてある。試してみたら、その通りだった。
そんなステキな本の184ページをそのまま引用しよう。
「味噌と醤油の入れ替え」に関する文章はこれだけだ。しかも語尾が「思います。」で終わっているので、著者の青木さんも実際には試していないのだと思う。それならば、僕が試そう。
さっそくやってみたい。普通は醤油で食べる卵かけご飯を、味噌味にしてみる。
それから味噌汁の変わりに、本だしと醤油で汁物を作ってみた。これは僕が普段味噌汁を作るときの手順で、味噌と醤油を入れ替えただけだ(他にも料理酒とか入れたらもっとちゃんとするんだろうかれど、あえてこうします)。
味噌卵かけご飯を食べてみる。これはうまい!醤油のきりっとした風味また違って、味噌のふわっとした旨味が広がる。完全に「代替可能」だ。いや、むしろ僕は味噌の方が醤油よりも好みかもしれない。
ちょっといつもと違うことを試しただけなのに嬉しい。気まぐれで通学路を変えたら、道端で大人向けの雑誌を見つけた時のような興奮だ。こういう例えは、解ってもらいたい。
ところが、醤油汁は今イチであった。いや、料理として特に問題はないのだが、味噌汁独特の「ほっとする余韻」の感覚が完全に抜けてしまっているのだ。
この余韻が抜けて、ただひたすら、味、味、味…と続いて行くのっぺりとした印象。なんだろう、中学校の頃の英語のおじいちゃん先生の発音のような、退屈な感じがする。思えば味噌というものには、抑揚があるのだな、と気いた。
いきなり人に「味噌って抑揚だよね!」っていってもちょっと共感は得られないかもしれませんが。
入れ替えるのは面白いので、お昼ご飯もやってみよう。せっかくなので、いろんな種類のあるもので試したいと思い、近所の持ち帰り寿司を買ってきた。
ちなみにこれ、持ち帰りの割にはなかなか高級で、一人前1,260円する(その分うまい)。金額的にも一つ本腰を入れてみよう、という訳である。
そんな折にテレビを付けたら、事業仕分けのニュースをやっていた。「こんなに予算をつける必要があるんですか?」と、まるで僕の寿司の追求をされている気がする。いいじゃないですか1,260円くらい。
さて。寿司はやっぱり思った通り、ネタによって味噌との相性にばらつきがありました。数が多いので表でざっと説明してゆきます。
ウニに味噌付けて食べたらうまい、というのは大きな発見だった。ウニ自体が、なんだか味噌みたいなもんなのに。そして、一番まずかったのは玉子。いや、そもそも普段僕は玉子に醤油をかけて食べたりしないのだ。慣れないことはするもんじゃない。
自分としては結構な冒険をしたつもりだが、それに見合う成果はあったと思う。気を良くして、この日の晩酌も入れ替えで行くことに決めた。
一人で行う晩酌は、独り暮らしの華だ。好きな時に始めて、終わったらすぐに風呂入って寝れる。なんだって自分の好きなつまみを勝手に用意すれば良い。天国とはこういうことを言うのだ。みんな早く気づけ。今回は、そんな天国の華に一層の彩りを添える。彩りとは、味噌と醤油の入れ替えのことだ。
…実はさっきスーパーに買い物に行っている時点で、すっかりテンションが上がってしまった。我ながらおトクな性分だと思う。しかし冷静になるのももったいないので、もう少しこのテンションで行きます。
ダラララララ…今宵の入れ替え晩酌。セットリストは以下の通り。
まずはこの味噌冷や奴。豆腐と味噌の相性は、醤油同様に全く問題なし。さらに時間が経っても固形の味噌はその味を保ったままだ(醤油だと、豆腐から出た水で味が薄まりますよね)。
味噌に味の耐久性、という新たな付加価値を見いだすことのできた、パイオニア的逸品である。
味噌奴に負けずと大奮闘しているのがこちら、味噌シラスおろし。口の中で大根と味噌の味が混ざり合って、なんか冷たい味噌汁を食べているような気分に一瞬なる。その一瞬なることさえ見過ごせば、相性は抜群。こちらも醤油をかけるよりうまいと思った。とにかく一瞬を見過ごすことが大切だ。そんなに難しくない。
そしてメインデッシュの刺盛り。なんの変哲もないスーパーの刺身だが、ほら、もうここまでくると載せられた味噌がなにやら神々しいではないか。こちらも寿司の時と同様に表で一気にどうぞ。お寿司ほど当たり外れは少なかったです。
本に書いてある通り、味噌と醤油はだいたい大雑把に代替可能だった。しかも物によっては、いつもの使っているもの以上のパフォーマンスを発揮する時もあり、あなどれない。(あと、書き忘れていたけれど、醤油モロキューはまずかったです)
みなさんも今夜は一つ入れ替えでいかがでしょうか。楽しいよ。
ライターからのお知らせ
昔の記事っていま読むと恥ずかしいですね……。思わずイラストだけ描き直してしまいました……。
ところで本が2冊出て、雑誌に取材されて、ふしぎ指圧が引っ越しました! 全部チェックしてください~。
1.『子育てでカラダが限界なんですがどうすればいいですか(育児の疲れスッキリブック)』
子育ての疲労を予防・改善する本。イラストはクリハラタカシさん。
2.『こころとからだが最高にゆるむ いやしのツボ生活』
「会議の前に緊張しちゃう」「先輩にイヤミ言われちゃって落ち込んだ」「通勤手当で足が限界」
みたいな日常のつらさをツボで対処していく本。
3.『たまごくらぶ12月号』
「ぽっこりおなかでも疲れない身体の使い方」という特集で監修をしています。
4.田端ふしぎ指圧
下北沢から田端になりました
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