特集 2024年10月1日

「改造メンコバトル BANG!」で遊ぶ

大人になると忘れてしまうものがある。

登下校の楽しさ、夏休みのワクワク、甘酸っぱい青春。

そして「BANG!」。

そう、「改造メンコバトル BANG!」だ。

1993年群馬生まれ、神奈川在住。会社員です。辛いものが好きですが、おなかが弱いので食べた後大抵ぐったりします。好きな調味料は花椒。

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君は知っているか 「BANG!」の煌めきを

「改造メンコバトル BANG!」とは、2001年にタカラ社より発売された新世代ホビーである。

当時タカラ社はビー玉やベーゴマといった伝承玩具のリメイクを推し進めており、その第一弾にあたる「ビーダマン」は大ヒット、そしてベーゴマをリメイクした「ベイブレード」と現在に続く超ロングヒットをぶちあげた。

ビー玉、ベーゴマとくれば次はメンコ。そう、あの昔ながらのメンコをリメイクしたのが「改造メンコバトル BANG!」なのだ。

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入門用の対戦セットをメルカリで買ってきた。これがBANG !だ

しかし「ビーダマン」や「ベイブレード」と比較すると、「BANG!」は流行らなかった。いや、流行らなかったどころか、知っている人をこれまで見たことがない。

私は小学生の頃になぜだかスターターデッキを持っていたのだが、当然のように遊ぶ人がおらず、一人さみしく家の床にBANGを叩きつけていた記憶がある。

それが「改造メンコバトル BANG!」である。”元”次世代ホビーかつ個人的な悲しき思い出の塊、「BANG!」。

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そんな話をしたところ、「遊ぼう」と言ってくれた方がいました。江ノ島さんです
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これは「本当に誰も遊んでくれなくて......」と語る私
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懐かしすぎて泣きそう

さっそく対戦セットを開けてみよう。

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一つ一つ内容物を取り出していく
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あーっ...これだ......

これはBANGのフレームである。いわゆるメンコの本体部分だ。

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続いて出てきたこの金色のチップはウェイト。BANGにつけるおもり。
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そしてキャラクター。右下の数字がキモだった気がする

フレーム、ウェイト、キャラクター。BANGは基本的にこの3つを組み合わせることで作られる。

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いや......これちょっと
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懐かしすぎるな......!!

20年以上前に私だけが知っていた玩具が目の前にある。圧倒的ノスタルジー。

そしてこの感情は決して誰にも、少なくとも目の前の江ノ島さんには伝わらないのである。こんなにも心が揺さぶられているのに。

なんだこれ。泣いちゃうぞ。

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戦略的なメンコバトル「BANG!」

ずっと懐かしがっていても仕方がない。ここらで「BANG!」のルールを確認しよう。

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説明用のマンガが同封されていた。こういうの当時すごいワクワクしたよね

どうやら6枚を1セットとし、順番にメンコのように相手のBANGに打ちつけ、最終的に表になっていたBANGから勝ち負けを判定するようだ。

ここでポイントになるのは表で残ったBANGの枚数ではなく、「ポイント」の合計で勝敗が決まるという点である。

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先ほどのキャラクターに描かれた大きい数字が「ポイント」だ

つまり、BANGによって強さに強弱があるということだ。

ならばポイントの高いBANGばかり使えばいいという話になりそうだが、そう一筋縄ではいかない。ポイントの右に書かれた小さい数字は「リミット」を表しており、金色のウェイトをつけられる数が決まっているのだ。

ポイントが高いBANGはウェイトをたくさんつけられず、ひっくり返りやすい。一方でポイントが低いBANGはウェイトをたくさんつけられるので、攻撃で活躍しやすいしひっくり返りにくい。ポイントが低いBANGがメンコとしては重くて強いのがなんか意外だ。

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ダークナイトは20ポイントだがウェイトを4枚つけられる。なるほどね......

さらに言えば対戦時、投げたBANGもひっくり返されたBANGも、順番に6枚投げ終わるまでは場に残り続ける。よって、相手にひっくり返された自分のBANGを再度ひっくり返し、表に戻すことも出来る。

そのため「あえて得点の高いBANGにウェイトをつけず、終盤に自分で表に戻すことで高得点をかせぐ」というプレイングも可能なのだ。

堅実に得点を重ねることも、一発逆転を狙うこともできる。あれ、もしかして結構戦略的なゲームなのか?

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ルールを確認している間、江ノ島さんが同封のバトルマットを作ってくれていた。ありがとうございます
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良すぎ。今度から物撮りでも使おう
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デッキ構築の時間が地味だし長い

さて、ルールも分かったのでBANGを2つに分け、それぞれ思い思いの戦略でウェイトをつけていくのだが。

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「これ入らなくないですか」

そう、組み立てがなんだか難しいのである。ここまで黙っていたが、私のBANGに対する一番大きな記憶は「組み立てに時間がかかるしめんどう」なのだ。

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まずウェイトをつける。ウェイトは鍵を回すように動かすとロックできる

次にキャラクターを差し込む。これが結構フレームぎりぎりの大きさで、なんかこう、

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ああー!!
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そして紹介していなかったが、最後にプラスチックのシートをつける。これによりBANGがひっくり返りやすくなり、ゲームとして楽しくなるのだが、これもまたフレームぎりぎりで
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「こんなの無理ですよ」大変分かります

特に曲者が最後のプラスチックのシート。ちょっとたわませながらむりくりフレームにはめていくので、爪の間にシートが入りそうになったりする。というか、20年前に入った記憶がある。痛いんだこれが。

そしてこれを6枚分。さらに言えば、対戦ごとにカスタマイズを変えたりするはずなので、毎回この大変な作業が入る。

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「流行らなかった理由が分かった気がします」私もそう思います
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いざ尋常にBANGバトル

ともかく準備が整ったので、いざ対戦。

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先行は私。

最初に一枚ずつ場にBANGを置いたうえで、デッキの中から好きなBANGを選出。

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まいります

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そおい!
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全然ひっくり返らないし、投げたBANGはめちゃくちゃ場外に出た

思ったよりひっくり返らないな!

ポイントだのウェイトだの言ってきたが、相手のBANGをひっくり返すという点においては純粋なメンコ勝負である。

つまりはパワー。メンコを真剣にやるのは人生で初めてかもしれない。

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続いて江ノ島さんのターン
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よっ!
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ぽて(場外)
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「全然ひっくり返んねえ~」長い戦いが始まりそうだ
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ルールが発展途上のゲーム「BANG!」

「上から叩きつけるといい」「角を狙うとひっくり返りやすい」など、おそらく車輪の再発明どころか車輪の再々々発明くらいの発見を繰り返しながら勝負は進んでいく。

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「応えてくれよ!おれのBANG!」とホビー漫画ばりの気合を入れる江ノ島さん
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燃え尽きた江ノ島さん
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最終結果。黒(りばすと)は手前と奥の2枚が表で90点、白は中央の1枚で70点。辛勝。
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しかしこんなに散らばるもんかね

場外に出たBANGの扱いがルールになかったのでそのままにしていたところ、すごい取っ散らかった終局となった。

これはいかがなものだろうと思って調べたところ、後年になって説明書に「場外に出たBANGは場内の好きなところに裏面で戻しましょう」と追記されていたことが分かった。

期せずして初期ルールで遊んでいたらしい。そういうとちょっと玄人っぽさがあるな。

⏩ 拡張パックもある

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