冒頭に書いたことを図にするとこのようになる。
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「まずみ」とは、飲んだ後に感じる苦みのような、くさみのような、割り切れない風味のことだ。
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酒をやめてアルコールの刺激臭は苦手になったが、あの「まずみ」のことはたまに思い出す。
酒からアルコールを抜いてあの「まずみ」だけを取り出せば、ノンアルコールのアルコール風味の素になる。はずだ。
常々そう思っていたところ、そういう商品が発売されていた。
ノンアルコールの素だ。ドーナツの穴だけ取り出したような商品である。
そのまま飲んでみると、レモン風味で、終わりごろに酒の風味が現れる。
「まずみ」のなかでも「えぐみ」「くさみ」が強いようだ。私が好きな「苦み」は弱い。
これをいくつかの飲料で割ってみたところ、割材が濃いとアルコール風味が目立たなかった。意外にデリケートなようだ。
乳酸菌飲料:乳酸菌飲料の味の前にノンアル風味が消えた
お茶:ゼロッパの酸味でお茶が酸っぱくなった
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でも薄味の割材だと調和した。
ジャスミン茶:飲み終わった確かお茶の向こうに硬いものがいる気がする。
それでも市販のノンアルサワー・ノンアルハイボールのような強烈なまずみがあるわけではない。
じっくり飲むと分からないが、テレビなどに気を取られてなにげなく飲んでみると、「おや?(なんかいる)」と思う。
いや、だったらもう焼酎からアルコールを飛ばしてまずみだけを取り出せば良いのではないか。
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煮立てよう。
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焼酎を煮立てたのは人生2回目である。最初は僕が高校生のころ、父親が煮立てたのを見た。
飲んでいた焼酎が薄かったのが気に食わなかった父は、焼酎を煮立てて、蒸発したアルコールを集めて飲もうとした。理科の実験でいう上方置換だ。
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しかし機密性が高い器具があったわけではなく、ヤカンの口にコップを当てるという雑な方法だった。
蒸発したアルコールは家中に行き渡り、家を笑笑(居酒屋)の匂いにしただけだった。いまでも笑笑(特にお台場)に行くと実家を思い出す。実家じゃないのに。
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それ以来だ。40年ぶり2回目である。だが今回はアルコールをなくすことが目的なので難易度は低い。
そして家を笑笑のにおいにして(40年ぶり2回目)まずみが現れた。
ちょうどあのころの父と同じ年齢かもしれない。
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レモン風味の炭酸で割って飲んでみよう。
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これは、ただの水だ。成功でもないし、笑えるほど大失敗でもない。現実だ。
今回試したなかでいちばんまずみを感じることができたのは、ゼロッパ+炭酸(砂糖なし・レモン風味)だ。
まずみ探しの旅は始まったばかりだ!(おわり)


