特集 2019年6月3日

子供とのチャンネル争いを解決する方法がありました

子供がトーマスのアニメに夢中でチャンネルを独占するのですが、大人も楽しめる方法を思いついたので紹介させていただきます。

父は数学教師。母は国語教師。姉2人小学校教師という職員室みたいな環境で育つ。普段はTVCMを作ったり、金縛りにあったりしている。(動画インタビュー)

前の記事:隠し扉に憧れて


息子が「きかんしゃトーマス」に夢中だ。毎日、動画を見せてくれとせがんでくるし、一度見はじめるとテレビにへばりついて離れない。

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毎晩トーマスの夢を見たとこたえる我が子

何かに夢中になるのはいいことだけれど、親だって別の番組が見たい。トーマスはとても丁寧に作られた良質のアニメーションだが、機関車がテーマの作品だからか「仕事」をテーマにしたお話が多い(サボっているとあとで痛い目をみるなど)。仕事から疲れて帰ってきて、仕事とはこうあるべきみたいはお話をされるのはつらい。

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ちょっと説教くさいところもあり、つらい時もある

なんとか子供と親、どちらも満足できる方法はないものだろうか。ずっと悩んでいたのだが、なんとこれがあったのです。方法はこちら。

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ややこしそうだけど簡単

・テレビからは録画したトーマスの「映像」を流す(消音にする)

・PCやスマホで、別の動画の「音声」だけ流す

 

以上である。めちゃくちゃアナログな方法でトーマスの映像に、別の映像の音声で「吹き替え」を行うというわけだ。映像は息子が好きなトーマスにするとして、大人が楽しむ音声は何が最適だろうか。音声だけなので言語・音楽を中心とした動画になるわけだが、個人の好みももちろんある。しかし、いくつか試してみて、相性のよい動画の傾向がわかってきた。まどろっこしいのでベスト1から発表します。

 

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サンドウィッチマンはYoutube上に公式チャンネルがあり、無料でたくさんのコントを見ることができる。

 

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不安になるほどの充実っぷり

今更解説するまでもないが、サンドウィッチマンのネタは、ハンバーガー屋さんや旅館などなど、場面設定が身近なものが多く、言葉を軸にしたコントなので、音声だけ聞いたとしても状況が理解できるし、めちゃくちゃおもしろい。

 

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きかんしゃトーミザワとダーテの誕生

筆者は、テレビで録画したトーマスの映像に、サンドウィッチマンの音声を重ねている。録画していなくても、トーマスの動画はAmazonプライムやHuluでも見ることができる(2019年5月現在)のでけっこう手軽に試せる。ぜひ一度やってみてほしい。

しかし、今回の記事上でこれを体験してもらうのは難しい!録画したトーマスの映像をネット上にアップすることはできないからだ。

でも!でも!なんとか擬似体験してもらいたい!

そこで、トーマスの海外の公式チャンネルの動画リンクとサンドウィッチマンの動画リンクを埋め込んでおく。PCをお持ちの方はウィンドウを2つひらいて、

・トーマス(消音)

・サンドウィッチマン(音あり)

この方法で再生していただきたい。


The Big Freeze | Thomas & Friends(映像のみ)

 

【公式】サンドウィッチマン コント/ガソリンスタンド(音のみ)

 

 

 

どうだろうか。最初は、ちょっと何言ってるかわからない状況からスタートするが、映像を流し始めてしばらくたつと、たくさんのきかんしゃたちが一生懸命コントを演じているように感じないだろうか。

 

話すサンドウィッチマン.gif
脳内の風景

 

本編映像ではないので、会話シーンが少なく、本来の楽しさと比べるとかなり弱いのだが、それでも楽しい。

楽しいと言ってくれ。お願いだから。

サンドウィッチマンのコントはたまにむきだしの下ネタが入ってきたりする。トーマスが下品なことを言ってると思うとなおさら楽しい。せっかくなのでもう1本お楽しみください。


Terrance Breaks the Ice | Thomas & Friends(映像のみ)

 

【公式】サンドウィッチマン コント/旅館(音声のみ)

 

 

たまに、コントの中身とトーマスの映像がシンクロすることもある。そんな時はやんややんやの大喝采である。あと、Youtube動画なので、途中でいきなり動画広告がはじまる時もある。しかし、広告がはじまったとしても、トーマスは走るのをやめない。

ネスカフェのCMがはじまり、突然、トーマスが「ネスカフェアンバサダー」に就任することもある。

 

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棍棒で殴るみたいな強烈な広告メッセージ

大人が見るとめちゃくちゃ楽しい今回のマッシュアップであるが、肝心の子供の反応はどうか。息子に試してみた。

 

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ちょっと不安そう

主題歌の時は、「歌が聞こえない」と言っていたが、本編のアニメーションがはじまると、いつもどおりバチーンと集中のスイッチが入り、無言で見始めた。「おもしろい?」と聞くと無表情でうなずき、こちらを振り向いてこう言った。

 

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「おもしろいよ」

結果、1時間近く、集中してトーマスを見ていた。すごい!グラフにするとこんな感じである。

 

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大人としては最高

サンドウィッチマン以外にもいくつかお笑いの動画をあわせてみたのだが、サンドウィッチマンのコントが一番相性が良かった。彼らのコントは「お店屋さん」など、ある種の定型会話フォーマットが存在するものを崩していく形なので、映像がチグハグでも何が行われるかが理解しやすくて楽しいのだと思う。試しに映像ありきだとめちゃくちゃ面白い千鳥の漫才で試してみたところ、展開やセリフが不条理すぎて理解が追いつかなかった。定型フォーマットを崩す……という目線でいうと、ナイツの漫才も良いのでは……?と思ったが、会話の緩急がサンドウィッチマンほどないので、トーマスの映像との組合せた時はちょっと地味になってしまった。よってサンドウィッチマンが最高です。続いてよかったのはこちら!

 

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TEDの講演である。こちらも今さら私が魅力を解説するのもあれな気がするが、TEDは講演者の経歴・人柄がおもしろいのはもちろん、スピーチの構成にも運営が加わっているらしく、お話としてもめちゃくちゃ面白い。今回は音声だけ使わせてもらうので日本語の講演を探した。

 

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こちらも公式チャンネルがある

おすすめなのは植松努さんの「思うは招く」だ。北海道の町工場で、子供の頃からの夢であるロケット開発をされている植松さんのお話。飾らない言葉で、なぜ勉強するのか、なぜ働くのかを、自らの失敗談なども交えながらユーモアたっぷりに教えてくれる。

こちらも先ほどと同じ方法で、映像のみ/音声のみで再生してください。

 


The Big Freeze | Thomas & Friends(映像のみ)

 

Hope invites | Tsutomu Uematsu | TEDxSapporo(音声のみ)

 

 

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石炭を燃やし、汽笛をあげながら、ありがたいお話をするトーマス

とても有意義な時間を過ごすことができた。息子の反応はどうだろうか。先ほどと同じような無表情ではあるが、「おもしろい?」と聞いたら小さくコクンと頷き、こう言った。

 

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「……おもしろい」

こちらも一応最後まで見ていた。グラフにしたらこんな感じだろうか。

 

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先ほどと比べると少し低いか

 

先ほどのサンドウィッチマンと比べると、少し反応が悪いだろうか。しかし、大人としては超よかった。満点ではないのは、音声が一人語りなので、複数のキャラクターが入り乱れるトーマスの映像と相性がちょっと悪いかなというくらいである。植松さんのスピーチは最高だった。最後にベスト3を発表します。

 

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著作権の切れた過去の名作、青空文庫名作文学を朗読して、Youtubeにアップしているチャンネルである。すでにかなりのアーカイブが揃っているし、朗読されている方々の声質も素敵だ。

 

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電車通勤の時に聞くのもよさそう

今回は森鴎外の「高瀬舟」を選択した。

こちらも先ほどと同じ方法で、映像のみ/音声のみで再生してください。


Terrance Breaks the Ice | Thomas & Friends(映像のみ)

 

森鴎外「高瀬舟」石丸絹子朗読 青空文庫名作文学の朗読 朗読カフェ(音声のみ)

 

 

高瀬舟はたしか高校の国語の教科書にのっていた。高校時代はテーマの重苦しさに目が言っていたが、おじさんになってから聞くと、状況描写の豊かさに気づかされる。こちらの一文なんてとてもいい。

 

やうやう近寄つて來る夏の温さが、兩岸の土からも、川床の土からも、靄になつて立ち昇るかと思はれる夜であつた。

 

「川床の土から夏の温かさを感じる」って描写が素敵だ。夏特有のあのどろーんとしたぬるさと同時に川のひんやりとした冷たさも感じられて、とても心地よい。名作の朗読、大人としては楽しいが、子供の反応はどうか。

 

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飽きてる

今回、連続して息子にはいくつかの映像を見てもらったので、映像の順番によるところも大きいと思うのだが、ちょっと飽きてきている。朗読は一定のリズムでつづくので単調に感じるのかもしれない。あと、使われている言葉が難解で、子供には理解できないところが多いのかも。おもしろい?と聞いてみたら、少し黙ってこう言った。

 

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「公園いく」

あまり評価はよくなかったようだが、グラフにするとこんな感じだろうか。

 

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あんまり意味ないなこのグラフ

ちょっとトーマスとの相性は悪かったが、日本に伝わる民話の朗読チャンネルと比べると、青空文庫の方が、朗読する方の声も聞き取りやすいし、内容も理解しやすかった。

最後に、あんまりよくなかった動画をざっと紹介して終わりにしたい。

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おすすめの動画があったら、ぜひ教えてください

トーマスに細工をしてみて

 

今回は息子が好きだったらからたまたまトーマスを選んだわけであるが、トーマスは、顔に足(車輪)が直接ついている不思議なキャラクターだ。胴体と手がないキャラクターデザインなので描写のパターンが少ない。走る・止まる以外は顔の演技であり、映像の大部分が顔面だ。広義の意味の頭足人なのかもしれない(子供が描く、頭からいきなり足が描かれ、胴体が描かれない人物絵)ずっと口をパクパクしているアニメだから、他の映像の音声で吹き替えしてもうまくつながったのだろう。

トーマスは「子供が最初に思い描く人物像 + のりもの」の組み合わせから生まれたキャラクターだから、世界中で愛されているのではないだろうか。

 

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今心配なのは、今回の視聴方法で、子供に悪影響がないかである。将来、「弟を殺して島流しになる罪人を乗せたトーマスのエピソードがあったはずだ!」とかいいだしたら怖い。

 

 

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