マンホールが見当たらない
さて、順調に行くかと思われたマンホール踏みであるが、さらに少し進んだところで思わぬ事態に遭遇した。進行方向にマンホールが見当たらないのだ。少なくとも、今の地点から見える範囲には、無い。
この道をこのまま進むべきか。それとも、少し戻って他の道へ入るべきか。むむむ……どうしよう。
少し悩んだ挙句、私が選んだのは強行突破であった。現在の残り歩数は84歩、それなりの貯金はある。まぁ、何とかなるだろう。そう思ったのだ。
……しかし、次のマンホールは思った以上に遠く、ガリガリ歩数が削られていく。
真っ直ぐ進み、カーブを曲がったところにマンホールはあった。しかも二つ。これはありがたい。
しかし、ここに到達するまでの来るまでかなりの歩数を使ってしまった。その歩数、67歩。今の二つのマンホールで得た歩数を足しても、残りは37歩。大赤字だ。
一難去ってまた一難。無マンホール地獄の次は急坂地獄が私を待ち受けていた。
残り歩数も余裕無く、必然的に大股で歩くことを余儀なくされる。急な坂道で大股、これで疲弊しないワケが無い。足はもうパッツンパッツンだ。
何はともあれ、これでようやく半分ぐらいだろうか。後は目白駅まで一直線。目白通りに沿って歩いて行けばいいだけだ。
残り歩数はちょっとだけリカバリして41歩。それでも若干貯蓄に不安が残るが……まぁ、やるしかない。
本来渡るはずであった橋にはマンホールは無く(橋なんだから当然か)、代わりに私が降りた下の道路にはいくつかのマンホールがあった。
しめしめ、思った通りだ。このまま道路を横断し、そして駅への道と並走する細い路地へと入る。このルートならば、何とかクリアすることもできるはずだ。……たぶん。
しかし、うまく行っていたのはここまでだった。私の入った裏道は、なぜか極端にマンホールが少なく、進んでも進んでも一向にマンホールが現れない。
もう少し先に行けば、きっとマンホールはあるだろう。そう信じながら進んでみても、マンホールは見当たらない。しかし結構進んでしまった以上、引き返して別の道を探すというワケにもいかない。まさに進むも地獄、戻るも地獄。悲惨な状況に陥ってしまった。
当然、残り歩数はみるみるうちに減っていき、あっという間に残りは20歩あまり。
残り20歩……なんとかしようと必死に色々試みるも、都合よくマンホール畑が現れたりはせず、時々単発でマンホールを踏むことができるくらいだ。しかしそれももはや焼け石に水。ただただ歩数を消費するのみとなっていた。
そしてついに、残り歩数は5歩を切った。
……いやはや、まぁ、こういうこともある。
小学校の頃の私のルールでは、ゴールできずゲームオーバーになってしまった場合、その日は最悪なことがおきるという。そうか、今日は最悪なことが起きるのか。
ならばしょうがない。とっとと家に帰り、酒でもかっくらって寝るとしよう。
大事なのは自分ルール
さて、大人になった今だからこそ試してみたマンホール踏みゲームであったが、結果はまぁ、このような残念な感じとなってしまった。
今回の敗因は、おそらく歩数の貯蓄が足りなかったことにあるのだろう。無マンホール地帯に迷い込んでしまった場合、50、60の歩数などあっという間に消費されてしまう。貯蓄は常に100以上あるのが望ましい。
一見すると最後の裏道がまずかったようにも見えるが、実はミスを犯したのは最初のあたりだったのだと思う。まだリカバリできる最初の段階で、貯蓄を多めに作っておくべきだったのだ。失敗した。あぁ、失敗した。
とまぁ、このように大人になっても夢中になれるマンホール踏みゲーム。皆さんもぜひ試してみるといいですよ。その際大事なのは、状況に応じてルールを変え、丁度良いゲームバランスにすること。あと、車だけには気をつけて。