特集 2023年10月2日

マンガの最終巻がぶあついとうれしい 〜ぶあつ1グランプリ開催〜

マンガの最終巻というのは得てしてかなしいものである。物語が終わってしまうことへのさびしさはもちろん、新刊が刊行されるという日々の楽しみがなくなってしまう悲しみもある。

だがそんな最終巻にもいいところが1つだけある。

最終巻はぶあついことがあるのだ。

1993年群馬生まれ、神奈川在住。会社員です。辛いものが好きですが、おなかが弱いので食べた後大抵ぐったりします。好きな調味料は花椒。

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最終巻はぶあついことがある

おそらくは何か印刷や発行の都合なのだろう。もう一冊出すにはページ数が足りないし、当然お話をカットするわけにもいかない。そんな時、マンガの最終巻はぶあつくなるのだ。

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家の本棚を見返してみたところ、ちょうど血界戦線がぶあつくなっていた。これこれ、こういうこと

これは最終巻という名の砂漠におけるオアシス、神の恵みである。「いつもより沢山読める」、その響きだけで強くなれる気がするのだ。ささやかな喜びを、つぶれるほど抱きしめたいのだ。スピッツなのだ。

その分お値段が高くなっていることもある。が、そんなことは瑣末な問題である

当然最終巻はぶあつければぶあついほど良いのだが、果たしてこの世にはどれくらいぶあつい最終巻が存在するのだろうか。また、どのマンガの最終巻が最もぶあつくなっているのだろうか。

ぶあつ1グランプリ、ここに開幕です。

気づけばおれは漫画喫茶に向かっていた
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ぶあつい最終巻、出てこいや

ぶあつい1グランプリは次のルールで開催することとした。

①:ぶあつさの計測対象はそのマンガの最終巻とすること
②:ぶあつさは最終巻と、通常時の厚さの比率をとること 

①について、実は最終巻以外の、お話の途中の単行本もぶあつくなっているマンガが存在する。もちろんぶあついのは最終巻に限らずうれしいのだが、今回は最終巻だけを調べることにした。

またそもそもマンガの単行本といっても様々な大きさや厚さのものがあり、元からそれなりにぶあついものも存在する。

あくまでも「いつもよりぶあついとうれしい」が大事なので、今回は通常時との厚さの比率を計測することにした(②)。

たとえば血界戦線と新装版あずまんが大王は厚さがそもそも異なっている。しかし、そういうことを比較したいわけではないのだ

ではこのルールを基にどうやってぶあつい最終巻を探していくかなのだが、これは非常にアナログな方法をとった。

目視である

某漫画喫茶の某陳列棚に陳列された某単行本たちを隅から隅までわーーーっと見ていき、最終巻だけぶあつそうなやつをリストアップした。

最終巻がぶあつそうなやつ、ざっと見ただけで50作近くあった

そして次にAmazonで該当作品を検索し、それぞれの通常巻と最終巻のページ数を記録した。

今まで全く気にかけていなかったのだが、マンガの単行本においても天下のAmazonさんはページ数など書籍としての基本情報を掲載しているのである。すごい。

商品ページのここ。完全にぶあつさを知りたい人のための情報である

そしてそれぞれのページ数の比率を計算した。

ちなみに通常巻のページ数については適当な巻数のものをランダムに調査した。本当は最終巻以外の各巻の平均ページ数を出せれば良かったのだが......すごく手間がかかりそうだったので断念した。今後に期待、という名の二度とやらないやつである。

ちなみに上記の方法に辿り着くまではぶあつそうなやつを1冊1冊手に取り、ページ数と厚さを確認、計測していた。全部やると10年くらいかかりそうだったのでやめた
なんなら定規で測ったりしていた。ページ数でいいのに。途中で思い直して本当によかった
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ぶあつ1グランプリ、ランキングの発表です

ということで結果発表の時間である。これを読まれている皆様方につきましては、「おれが知ってるあのぶあついマンガは何位なんだ」「私の好きなあの作品は入っているかしら」などと予想しながらご覧いただきたい。

第3位 聖闘士星矢 セインティア翔

3位はあの大人気マンガ「聖闘士星矢」の外伝作品、「聖闘士星矢 セインティア翔」である。通常時158ページ、最終巻258ページのぶあつ倍率163%だ。

買ってきて並べてみた。最終巻である16巻の方が明らかにみちっとしている

実は最終巻の258ページというのは他のマンガと比べてそれほどページ数が多いわけではない。しかし他のコミックスと異なり通常巻のページ数が比較的少ないことからこの順位となった。セインティア翔を読まれていた方は最終巻が突然ぶあつくなったことにさぞ驚かれたことだろう。

ちなみに私は聖闘士星矢については全く履修できておらず、かっこいい人がかっこいい格好で戦うかっこいいマンガくらいのイメージである。これを気に読んでみようと思う。セインティア翔の方を。

ちなみにこんな絵柄。最終巻の帯と表紙の絵が繋がってるのおしゃれだな〜

第2位 銀魂 

2位は「銀魂」である。長期連載の果てに週間少年ジャンプの枠組みを越え、最終的に公式アプリ上でなんとか最終話を描ききった作品、というと確かに最終巻もぶあつくなろうものだ。

通常時192ページ、最終巻360ページのぶあつ倍率187%。

これまた立派なぶあつさである。公式キャラブックとかでこういう厚さのやつ、あるよね
横から見るとこう。右のやつ、ちょっとしたお弁当箱か?

銀魂の最終巻のページ数が多いのは前述の最終話のためと思われるが、ここでは通常巻の192ページに着目したい。

この192ページという数についてはジャンプコミックスのほか、様々な単行本で確認することができた。最後におまけページがあったり、はたまた本編がみっちり詰まっていても大抵の単行本がこのページで発行されていたのだ。

1話19ページの9話掲載、間のページを合わせて192ページというのが業界標準か何かなのだろうか。色んなマンガを読んできたが、今まで全く気にしたことがなかった。発見である。

あのマンガもあのマンガもあのマンガも、みんな192ページ

第1位 こちら葛飾区亀有公園前派出所

そして堂々の第1位はあの国民的マンガ、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」通称「こち亀」である。通常時192ページ、最終巻400ページのぶあつ倍率脅威の208%だ。

果たして読み終わることがあるのか?と思えるくらいぶあつい。泣くほどありがたい
ここまで来るとひょっとして左が薄いのでは?という錯覚に見舞われる

倍率200%越えというと要するにコミックス2巻分よりも厚いことになるので、だったら2冊出せばいいんじゃないの?と思うかもしれない。しかし、おそらくここには思惑がある。

ご存知の方もいるかもしれないが、そもそもこち亀は191巻から通常よりもぶあつく発行されており、どうやら200巻という記念すべき巻数を最終巻とすべく動いていた節があるのだ。そのためコミックス2巻分よりもぶあつかろうかなんだろうが200巻として発行されたのだと思われる。

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190巻台の時点でなみの最終巻よりもすでにぶあつい

そう思うとランキング的にはちょっとずるい。ずるいけどぶあつくて嬉しいのでオーケーです。

さらに言えば連載終了後の読切などを集めた「201巻」も発売されている。う〜〜〜ん。でも連載時の最終巻が200巻なのでオーケーです
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全最終巻、ぶあつくあれ

というわけで1位から3位までを紹介したが、その他ランキングはこちらの通りである。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1-s4sPoS9MIp8a11moOC3e9QXBGsmQoplAGJVQ_Jz3EA/edit?usp=sharing

今回の調査はあくまで私が見つけたぶあつそうな最終巻に限られている。上記ランキング以外にも、これも最終巻がぶあついよというものがあればぜひ教えてほしい。待ってます。

1位から3位のマンガの通常巻を並べたのがこちら
一方で最終巻を並べるとこう。親戚のおじさんがマンガを買ってくれる時はこの3冊を選ぼう

頼むから薄くしないでくれ

本文中では最終巻がぶあついパターンにのみ触れたが、実際には通常巻と厚さが変わらないどころか、逆に通常巻よりも薄いパターンもあった。

もちろん仕方のないところはあるのだろう。やむにやまれぬ事情で突然連載が終わってしまったのかもしれない。その辺りの事情を飲み込めぬほど子供ではない。だがやはり、ちょっと悲しい。

本編じゃなくてもいい。連載中にどこかに載せた番外編でもいい。なんなら作者の過去の読切でもいい。頼むから少しでも、少しでもいいからぶあつく発行してほしい。それにより救われる命があります。

薄い最終巻を載せるのは忍びないので、最終巻も通常時とぴったり同じ192ページだった「SLAM DUNK」の厚さを載せておきます。ある程度昔のマンガは最終巻もこの192ページが厳格に守られている気がする

堂々の一位、商品ページでそのページ数だけでもご覧ください

こちら葛飾区亀有公園前派出所 200 (ジャンプコミックス)

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