最終巻はぶあついことがある
おそらくは何か印刷や発行の都合なのだろう。もう一冊出すにはページ数が足りないし、当然お話をカットするわけにもいかない。そんな時、マンガの最終巻はぶあつくなるのだ。
これは最終巻という名の砂漠におけるオアシス、神の恵みである。「いつもより沢山読める」、その響きだけで強くなれる気がするのだ。ささやかな喜びを、つぶれるほど抱きしめたいのだ。スピッツなのだ。
当然最終巻はぶあつければぶあついほど良いのだが、果たしてこの世にはどれくらいぶあつい最終巻が存在するのだろうか。また、どのマンガの最終巻が最もぶあつくなっているのだろうか。
ぶあつ1グランプリ、ここに開幕です。
ぶあつい最終巻、出てこいや
ぶあつい1グランプリは次のルールで開催することとした。
①:ぶあつさの計測対象はそのマンガの最終巻とすること
②:ぶあつさは最終巻と、通常時の厚さの比率をとること
①について、実は最終巻以外の、お話の途中の単行本もぶあつくなっているマンガが存在する。もちろんぶあついのは最終巻に限らずうれしいのだが、今回は最終巻だけを調べることにした。
またそもそもマンガの単行本といっても様々な大きさや厚さのものがあり、元からそれなりにぶあついものも存在する。
あくまでも「いつもよりぶあついとうれしい」が大事なので、今回は通常時との厚さの比率を計測することにした(②)。
ではこのルールを基にどうやってぶあつい最終巻を探していくかなのだが、これは非常にアナログな方法をとった。
某漫画喫茶の某陳列棚に陳列された某単行本たちを隅から隅までわーーーっと見ていき、最終巻だけぶあつそうなやつをリストアップした。
そして次にAmazonで該当作品を検索し、それぞれの通常巻と最終巻のページ数を記録した。
今まで全く気にかけていなかったのだが、マンガの単行本においても天下のAmazonさんはページ数など書籍としての基本情報を掲載しているのである。すごい。
そしてそれぞれのページ数の比率を計算した。
ちなみに通常巻のページ数については適当な巻数のものをランダムに調査した。本当は最終巻以外の各巻の平均ページ数を出せれば良かったのだが......すごく手間がかかりそうだったので断念した。今後に期待、という名の二度とやらないやつである。
ぶあつ1グランプリ、ランキングの発表です
ということで結果発表の時間である。これを読まれている皆様方につきましては、「おれが知ってるあのぶあついマンガは何位なんだ」「私の好きなあの作品は入っているかしら」などと予想しながらご覧いただきたい。
第3位 聖闘士星矢 セインティア翔
3位はあの大人気マンガ「聖闘士星矢」の外伝作品、「聖闘士星矢 セインティア翔」である。通常時158ページ、最終巻258ページのぶあつ倍率163%だ。
実は最終巻の258ページというのは他のマンガと比べてそれほどページ数が多いわけではない。しかし他のコミックスと異なり通常巻のページ数が比較的少ないことからこの順位となった。セインティア翔を読まれていた方は最終巻が突然ぶあつくなったことにさぞ驚かれたことだろう。
ちなみに私は聖闘士星矢については全く履修できておらず、かっこいい人がかっこいい格好で戦うかっこいいマンガくらいのイメージである。これを気に読んでみようと思う。セインティア翔の方を。
第2位 銀魂
2位は「銀魂」である。長期連載の果てに週間少年ジャンプの枠組みを越え、最終的に公式アプリ上でなんとか最終話を描ききった作品、というと確かに最終巻もぶあつくなろうものだ。
通常時192ページ、最終巻360ページのぶあつ倍率187%。
銀魂の最終巻のページ数が多いのは前述の最終話のためと思われるが、ここでは通常巻の192ページに着目したい。
この192ページという数についてはジャンプコミックスのほか、様々な単行本で確認することができた。最後におまけページがあったり、はたまた本編がみっちり詰まっていても大抵の単行本がこのページで発行されていたのだ。
1話19ページの9話掲載、間のページを合わせて192ページというのが業界標準か何かなのだろうか。色んなマンガを読んできたが、今まで全く気にしたことがなかった。発見である。
第1位 こちら葛飾区亀有公園前派出所
そして堂々の第1位はあの国民的マンガ、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」通称「こち亀」である。通常時192ページ、最終巻400ページのぶあつ倍率脅威の208%だ。
倍率200%越えというと要するにコミックス2巻分よりも厚いことになるので、だったら2冊出せばいいんじゃないの?と思うかもしれない。しかし、おそらくここには思惑がある。
ご存知の方もいるかもしれないが、そもそもこち亀は191巻から通常よりもぶあつく発行されており、どうやら200巻という記念すべき巻数を最終巻とすべく動いていた節があるのだ。そのためコミックス2巻分よりもぶあつかろうかなんだろうが200巻として発行されたのだと思われる。
そう思うとランキング的にはちょっとずるい。ずるいけどぶあつくて嬉しいのでオーケーです。
全最終巻、ぶあつくあれ
というわけで1位から3位までを紹介したが、その他ランキングはこちらの通りである。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1-s4sPoS9MIp8a11moOC3e9QXBGsmQoplAGJVQ_Jz3EA/edit?usp=sharing
今回の調査はあくまで私が見つけたぶあつそうな最終巻に限られている。上記ランキング以外にも、これも最終巻がぶあついよというものがあればぜひ教えてほしい。待ってます。
頼むから薄くしないでくれ
本文中では最終巻がぶあついパターンにのみ触れたが、実際には通常巻と厚さが変わらないどころか、逆に通常巻よりも薄いパターンもあった。
もちろん仕方のないところはあるのだろう。やむにやまれぬ事情で突然連載が終わってしまったのかもしれない。その辺りの事情を飲み込めぬほど子供ではない。だがやはり、ちょっと悲しい。
本編じゃなくてもいい。連載中にどこかに載せた番外編でもいい。なんなら作者の過去の読切でもいい。頼むから少しでも、少しでもいいからぶあつく発行してほしい。それにより救われる命があります。
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