マンガを置いてそうな定食屋
行ってみたらマンガは置いてなかったお店もあった。サイトに投稿した当時はあったけど、訳あって片付けたのだと思う。
カウンターだけの店内。年配のご主人一人で回されていた。
天井にテレビが付いていて、外国の映画が流れていた。そんな中、満席のカウンターでみんな黙々と定食を食べている。そして淀みなく淡々と調理をするご主人。盛り付けの時に優しくご飯の量を聞いてくれた。
マンガはなかったが雰囲気が最高で、すごく良いマンガを読んだ気分にさえなった。
翌日、武蔵小山の中華料理紘月というお店に来た。
スーツを着たサラリーマンや常連さんで賑わっていた。麻婆豆腐のランチを頼んでマンガの棚を見に行く。
この向かいにもう一つ本棚があって、そこには『ドカベン』『はじめの一歩』『ロトの紋章』などが並んでいた。相変わらず少年マンガが多い。
「ドカベンの1巻は柔道マンガだった」という話を聞いたことがあって選んだが、これプロ野球編だ。シリーズ三作目で、表紙の通り野球も野球。野球に明け暮れている。
こういう出会いもあると思って読んでみる。もちろんおもしろい。ティースタンドに置いた球を空振りばかりする山田(表紙右の人)を周りが注意したら「空振りの風圧でボールを落とす練習をしているんです」と答えていた。なんて変な練習。
エキセントリックな山田に呆気に取られていたら麻婆豆腐が来た。
すごく大きい。みんなで取り分ける麻婆豆腐を独り占めしているような気分。慌ててドカベンを返して食べ始める。
豆腐が鋭角に切ってあって口当たりがすごく良い。味はコクがあるけど爽やかでスイスイ食べられた。食べてみると全然多くない。おいしいからだ。
ご飯と交互に食べてちょうど同時になくなった。食べ終わってから突然満腹感が来た。幸せだ。
最後は神田の海人(かいと)という定食屋さん。
カウンターに座って店名の入った海人焼き定食を頼んだ。ではマンガの棚を見よう。
写真の下にあと2段ほどあったが、全部『ONE PIECE』。3軒回ったが、結局全部のお店に『ONE PIECE』があった。累計5億部突破*するってこういうことなんだな。
*2022年7月時点 ONE PIECE.com ニュースより
上の段に『高橋留美子 人魚シリーズ』や『高橋留美子劇場』があるのは今までと違う傾向だと感じた。ご主人がファンなのかもしれない。それか寄贈した常連の方か。
名前は知っていたけど読んだことない名作。こういうのを手に取りがちである。
腕に謎の力を宿してしまった高校生が世界規模の陰謀に巻き込まれていく物語。話のスケールが大きくて待ち時間にペラペラ読むだけでは掴みきれなかったが、絶対にいつかちゃんと読もうという決意を新たにした。
戦うシーンの躍動感がすごいというのと、建物の壊れ方とかの描き込みが細かくてワクワクする、というところまでは分かった。
豚バラをピリ辛にんにく味で炒めたものにマヨネーズが付いていて間違いなくおいしい。期待というキャッチャーミットを突き破るど真ん中の豪速球である。
肉の下にキャベツが敷いてあって、肉の味が染みたキャベツもすごく良かった。
『ARMS』では壁や天井を壊しながらドカドカ戦っていたが、そんな勢いでワシワシ食べた。
中学校の時の友達が熱心に『ARMS』を読んでいたことを思い出した。だから無意識に近いような感覚で選んだのかもしれない。
『ドカベン』の1巻が柔道マンガだったのも随分昔に聞いた話だ。『ばらかもん』も絶対どこかで聞いたことがあった。だから手に取ったのだと思う。
ネット通販のレコメンドでは辿り着けない、眠っていた記憶が引っぱり出される感覚が定食屋の本棚にはあった。
今『ばらかもん』を読んでいるけど他の2作もちゃんと読みたいし『宇宙家族カールビンソン』まで読み返したくなっている。
個人的な願望を言いっ放して終わります。
行ってみたらマンガは置いてなかったお店もあった。サイトに投稿した当時はあったけど、訳あって片付けたのだと思う。
カウンターだけの店内。年配のご主人一人で回されていた。
天井にテレビが付いていて、外国の映画が流れていた。そんな中、満席のカウンターでみんな黙々と定食を食べている。そして淀みなく淡々と調理をするご主人。盛り付けの時に優しくご飯の量を聞いてくれた。
マンガはなかったが雰囲気が最高で、すごく良いマンガを読んだ気分にさえなった。
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