辛口カレーパン
インターネットなどで、セリフのみを差し替えた漫画のコラージュなども見かけるが(というかこの記事も大差ないのだが)やはり漫画の持つ力というのは大きい。そして、強いだけに彼らに”自分の言葉”を代弁させることには慎重になるべきなのだろうな、ということも今回改めて感じた。
日本史の教科書を読む意欲が湧かないときでも、図書館に並んだ歴史漫画だったら読めてしまったりする。言葉を補い、興味を喚起させる漫画の力ってすごい。
これだ。伝えたかった日常のあれこれを漫画に託そう。
スポーツ漫画や料理漫画などなど、漫画の1コマにぎゅっと情報が詰めこまれた解説シーンが好きだ。
キャプテン翼のこのコマが印象的だった。アルゼンチン代表のキャプテン、ディアスが直前で見せた大技を、大空翼が即座に自分のものにしてしまう、という驚きのシーンである。
なんて丁寧に解説されているんだろう、と思った。本人の言葉一切なしに、実況含むまわりの計5人でそのプレーを瞬時に説明し、盛り立てているのだ。全員のセリフ分担もすごい。
もちろん翼のプレーが素晴らしい前提というもあるけれど、この解説5人衆さえいればどんな小さな出来事でも素晴らしいスーパープレーのようになるのではないだろうか。
そうだ、伝えたい日常の小さなプレーは、キャプテン翼に託そう。
というわけで、まずはエレベーターについて筆者の伝えたいプレーがこちら。
エレベーターではつい1階、2階といった「行き先階」のボタンを押したくなる。だが、それより先に「閉」ボタンを押すことで待ち時間を短縮することができる、というライフハックだ。
まず「閉」を押すとドアが閉まりはじめる。行き先階のボタンはそのドアが閉まるあいだに押せばいい。
筆者はこの技を知って以来エレベーターの閉を先に押すたびに”なんか嬉しい”気持ちになる。なるのだが、あまりに細やかな知恵なのでここまで誰にも共有できずにいた。
このような小さな日常の知恵は大きな声で伝えづらいが、彼らがこぞって説明してくれれば、さも堂々たるファインプレーに見えてこないだろうか。
どうだ!?(力押し)
このまま5人の声を借りて前に進むぞ!(力押し)
電車の乗り換えは都心で戦うサラリーマンにとって大切なスキルである。
「新宿から川越へ向かう際は、埼京線のみを使うより、池袋で東武東上線に乗り換えた方が早くてしかも安いぞ!」という小粋なプレーもぜひ解説してもらおう。
この乗り換えが印象的でいつか使えたらと思っていたが、なかなか川越へ行く機会もなくコエドビールもすっかり温くなってしまった。ここでしっかり成仏させようと思う。
大葉の切り方について。正直、香りの差異は筆者にはあまりわからないのだけれど、何より洗い物が減ってラクなのでこの生活の知恵を信じて大葉をハサミで切ることにしている。
いまみんなに伝えずにいつ伝える、の思いで5人衆に託した次第だ。
さて。ここまで3連続で日常のあれこれをこのフォーマットに当て込んでみたが、なんとなく意図は伝わっただろうか。
ひとつ問題点を挙げるとすれば左下のディアスの言葉の少なさである。元々ここのセリフが「翼ァ!」だったため、スペースがかなり小さい。
翼たちに頼り切るのもあれなので、ここらで登場人物を変えようと思う。
次は料理漫画。言葉に含蓄のある、力のある人物の姿を借りれば、多少難しい内容であっても自然と読みたくなるのではないだろうか?
例えば選挙の話だとか…
こうだ!
さすがにここまでいくと文字が多いだろうか?それでもすべて文章で説明されるよりはいくらかすっと言葉が入るように思う。
というかもう、権威をもった人物でなくとも、セリフ然としていればある程度伝わるものになるのではないだろうか。野菜とか。
最近気づいてひとりで興奮した「羊羹、羊だらけ」の話をみんなにも伝えるべくナスと大根にしゃべってもらったが、もはやなんだか野菜でもいいような気もする。
もう、ふきだしだけでもいいんじゃ?
というわけでふきだしだけの終着駅までたどり着いた。ようこそ、ここが「伝えたいことは、漫画で。」鉄道の最果てである。
ふきだしだけと言えども、文章の羅列よりはいくらか読みやすくなったのではないか…?もうここまでこねくり回してしまった筆者には正常な判断がつかないが。
インターネットなどで、セリフのみを差し替えた漫画のコラージュなども見かけるが(というかこの記事も大差ないのだが)やはり漫画の持つ力というのは大きい。そして、強いだけに彼らに”自分の言葉”を代弁させることには慎重になるべきなのだろうな、ということも今回改めて感じた。
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