あまりに衝撃的だったので枕ばかり試してしまったが、一応他のアイテムもトライはした。
特にカーテンやタンブラーの場合、枕やベッドより耳元からの距離が遠いので「遠くから人の話し声がしているなぁ」ぐらいに思ってしまい、何を言われてもまるで起きられなかった。
やっぱりアラームは枕なのだ。これからは、絶対に起きたい日は枕に罵倒されて生きていきたい。
最近、一度寝ると起きられない。
正確に言うと最近じゃなくても別に起きられないのだが、今年に入ってからこんなに寝ていて大丈夫なのかというぐらい寝てしまう。
「夜寝るのが遅い」「リモートワークで通勤時間がない(という甘え)」などいろんな理由があるが、いろいろ考えた結果、一番の理由は「ふとんの居心地がよすぎるから」という結論に落ち着いた。
ふとんが最悪の場所になれば、もっとサクッと起きられるはずなのだ。ふとんの居心地を悪くするため、ふとんに罵倒してもらうことにした。
寝すぎてしまうという最近の最大の悩みを解決するため、ふとんに罵倒してもらうことにした。
罵倒の音声は、知人にお願いして録ってもらった。
実際に聞くまで内容はわからないので、起きるまでのお楽しみである。
せっかくなら、ふとんだけではなく、寝室のいろんなものに罵倒されたい。
寝るときに使っているものリストをもとに、「タンブラー」「カーテン」などにも罵倒してもらうことにした。
これで罵倒される準備は万端だ。早くぐっすり眠って、ふとんに罵倒されてみたい。
罵倒の音声は手に入ったのだが、ここで難題にぶつかった。
「機材の準備がめちゃくちゃ大変」問題である。
寝室中から罵倒してもらうためには、アイテムの数と同じだけスピーカーを準備して、それぞれから違う音声を流さないといけない。
スマホやPCは「同じ音声をたくさんのスピーカーから一気に流す」ことは一応できるが、「別々の音声を別々のスピーカーからタイマー付きで流す」ことは難しい。
しかたないので、自分にできる範囲で罵倒されてみる簡単に準備できる方法で試してみることにした。
一度に罵倒されるのではなく、毎日昼寝のときにいろんなアイテムに罵倒してもらうことにした。
これならスマホに罵倒の音声アラームを設定して、アイテムの中にスマホを仕込むだけですむ。
昼寝なら、少々寝過ごしても30分ぐらいで起きるだろう。セッティングをミスしてもダメージは少ないはずだ。それではいざ罵倒されよう!
いよいよ本番(=昼寝)。
まず試すのは、ベッドからの罵倒である。
寝起きの様子を自分で撮るのは難しいので、枕元に三脚とカメラを置いて昼寝にいどむことにした。
別に罵倒されたからといってサクッと起きるわけではなかった。眠気と罵倒なら、眠気が勝つのである。
あと、音量も小さかった。「罵倒の音声を大音量で鳴らすのは心臓に悪そう」と妙にボリュームをしぼったせいで、ただただ小さなアラームが鳴っただけになってしまった。
目が覚めてから改めて罵倒の音声を聞いてみたら、「ミーティングの5分前とかまで寝るのやめなよ」という音声が録音されていた。
それは罵倒というより説教ではないのか。正面から受け止めるにはあまりに重い。寝起きでちゃんと聞いてなくて本当によかった。
消化不良だった1日目の昼寝から一夜明けた。2日目の罵倒者は「枕」である。
前日の反省を活かして、音量は最大。バイブレーションもセットした、絶対に失敗したくない日のアラーム設定だ。
「飛び起きる」とはこういうことを言うのかというぐらい、飛んで起きた。
寝ているときに頭の後ろから人の声がしたことなんてないので、生理的に驚くのだ。
語彙力がなくて申し訳ないが、この罵倒はマジのマジでびっくりした。
この日はかなりぐっすり寝ていたこともあり、起きてからしばらくの間、自分が設定した罵倒のアラームだということを思い出せなかった。
そのせいで「びっくりした」「驚いた」以上に怖くなってしまい、目が覚めて自分が設定したことを思い出すまでずっと一人でおびえていた。
枕の罵倒があまりにも効果的だったので、スケジュールを変更して自分の声で罵倒されてみることにした。
ちょうど取りたいライブのチケットがあったので、「チケット取らないといけないからさっさと起きろ!」という音声を自分の声で吹き込んだ。
罵倒ではないが、意外とこういう「起きた瞬間にやることを言う」アラームの使い方はアリかもしれない。
同じ枕からの罵倒だったが、自分の声だとなんというか危機感がなかった。
どれだけ怒っていても聞き慣れた声なので「まぁいいや」と思ってしまうのだ。実家で母に必死で起こされても二度寝してしまうのと同じ理屈である。
ふとんから出るために必要なのは、罵倒というより「驚き」と「恐怖」なのだ。それがわかっただけでも、ふとんに罵倒された甲斐があったと思う。
あまりに衝撃的だったので枕ばかり試してしまったが、一応他のアイテムもトライはした。
特にカーテンやタンブラーの場合、枕やベッドより耳元からの距離が遠いので「遠くから人の話し声がしているなぁ」ぐらいに思ってしまい、何を言われてもまるで起きられなかった。
やっぱりアラームは枕なのだ。これからは、絶対に起きたい日は枕に罵倒されて生きていきたい。
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