タコも干すとスルメになる
やっぱりタコも干すとスルメになった。でもタコは高いし、肉厚なので干すのにとにかく時間がかかる。そんな理由もあって今ではスルメといえばイカが定着したのかもしれないですね。でもタコのスルメはでかくてうまくて、煮るとタコに戻って、もういうことなしでした。機会があればお試しあれ。
市場で買ってきたタコ。買った物は家に持ってかえるとでかく見える、の法則にのっとり、このタコも家のまな板に乗せると市場で見た時の3倍くらいにでかく見えた。刺身にしたら軽く10人前くらいできそうだ。
あまりにうまそうだったので少しだけ切ってみた。
家に持ってかえったタコは触るとなんと!まだ吸盤が動くではないか。すごい鮮度というか生命力だ。念仏を唱えつつ少しだけ切り分けて醤油をたらして食べてみた。
・・・
絶句だ、死ぬほどうまい。みずみずしい中に活きた歯ごたえがあるのだが、それでいてとろけるように柔らかい。ナタデココみたいだなと思った。
タコはおなかがすくと自分の足を食べちゃうっていうが、こんなうまいのなら満腹でも食べたい。
しかし心を鬼にして今日は食べずに干す。
スルメの作り方はイカのそれと同じだ。塩水でさっと洗って風通しのよいところに干す、それだけ。それにしてもタコの皮ってびっくりするほど伸びるのだな。
今回のために当サイト御用達の干し網を僕もようやく購入した。もうライター陣の二人に一人くらい持っているんじゃないかと思う。
塩水で洗ったタコを形を整えつつ網の中に横たえる。
スルメ作りは干しの作業がとても大切なのだという。冷たい海風がよく入る場所が適しているらしいのだが、僕の家ではベランダくらいしか干しておく場所がなかった。冷たい海風は無理にしても、このところ乾燥した日が続いているので干すには適しているだろう。
この日から一週間、朝起きるとタコをひっくり返しては毎日写真を撮った。
上は干す前の状態、下は一週間干したもの。イカに縮んだかわかってもらえるだろうか。もう端をつまんで持ち上げても形が変わらないくらいに固化している。
はたしてこれはスルメなのだろうか。皮の部分と足の先の部分を少しあぶってマヨネーズで食べてみた。
……スルメだ。
完全にいつも食べてるスルメの味と食感だ。かなり遠回りして最初に戻ってきた感がある。かつてはタコもスルメでした、と今なら力を込めてに言える。
しかしイカのスルメに比べ、干し方等にも依存するかもしれないが、タコのスルメは味がずいぶんと深い。噛めば噛むほどタコ刺しのあの甘みがしみ出てくる感じがする。うまい。
足の太い部分は堅くてどうしてもかみ切れなかった。そこで煮物にすることに。イカのスルメだと煮ても出汁だけ出きってかすかすになってしまうのだが、タコの場合、こちらも干したことにより「ぎゅっ」と味が凝縮されたのか、噛めば噛むほどふわふわとタコに戻って味を出してくる。
やっぱりタコも干すとスルメになった。でもタコは高いし、肉厚なので干すのにとにかく時間がかかる。そんな理由もあって今ではスルメといえばイカが定着したのかもしれないですね。でもタコのスルメはでかくてうまくて、煮るとタコに戻って、もういうことなしでした。機会があればお試しあれ。
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