起した火を大切に使う

まずは部屋の照明を消してランタンの灯りだけで仕事をしてみる。
「……」
モニターが充分明るいので無意味。
ランタンを持って闇を求めて外に出る。

暗闇坂の全長は約100メートルくらい。かつては道路が暗くなるほど樹木が生い茂っていた事から暗闇坂と呼ばれる様になった、と坂の標識に書いてあるが、今でも樹木が生い茂っていて充分暗い。
だったら、この暗闇を僕の火で照らしてあげよう。

暗闇坂の勾配はきつい。
オーストリア大使館や高級マンションを左手に見ながら、ゆっくりと坂を登っていく。
右手にはランタンを持っている。
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暗闇坂を登る。

少し風が出てきたので、タクシーで移動する事に。
風に吹かれて炎が消えてしまったらたまらない。
「この辺で暗い所ってありますか?」
運転手さんはランタンを持った僕を快く受け入れてくれた。
「やっぱり、公園かなあ……」
僕を乗せたタクシーは更なる闇を目指す。