特集 2019年1月9日

激安遊園地「前橋るなぱあく」が市民から愛され続ける10の理由

 

【6】小腹が空いたらキッチンカーとおむすびやへ

ここで小腹がすいてきた。以前は地元の仕出し弁当屋が入っていただけだが、オリエンタル群馬の時代からは様々なキッチンカーを入れるようになった。

19.jpg
もっちもちの生地がウリのピザ
20.jpg
群馬名物の山賊焼き

しかし、最も注目すべきは前橋市内の和食割烹「菜穀むくび」が監修した「おむすびのマム」だ。

21.jpg
2016年にオープン

前橋市内の人と人を結ぶことから、「おにぎり」ではなく「おむすび」とした。

22.jpg
メニューは10種類余り

迷った末に、米味噌むすび(150円)とハラスむすび(200円)を注文。

23.jpg
販売スタッフも地元の女子大生
24.jpg
冬季限定メニューのけんちん汁(400円)も追加した

これが素朴に美味しかった。屋外で食べる料理は得てして美味しいものだが、それが遊園地の園内となると何とも言えぬ高揚感がある。けんちん汁の中には小さな白飯むすびが入っているという小さなサプライズも嬉しい。

【7】市内の商店や学校も積極的に巻き込む姿勢

なお、おむすびに使用される米、海苔、梅、味噌などの食材はすべて群馬県内で調達している。

25.jpg
こちらが前橋最強チームの皆様(画像提供/オリエンタル群馬)

市民のための遊園地なら、食材もとことん前橋産にこだわろうという姿勢だ。おむすびを頬張りながら、ふと後ろを振り返るとハーブのミニ菜園。こちらは市内にある群馬県立勢多農林高校の生徒たちが管理している。

26.jpg
グリーンライフ科の生徒によるもの

井階さんが言う。

「おむすび絡みでたまたま縁が繋がってコラボすることになったんです。市内の休耕地での稲作体験も始まりました」

27.jpg
前橋はこうした山に囲まれた立地でもある(画像提供/オリエンタル群馬)
【8】若いカップルや大人を呼び込むイベントも企画

昨年11月には前橋市の臨江閣で将棋の竜王戦が開催された。

「渡辺明竜王と羽生善治さんという対決もさることながら、県内の竜王戦開催は18年ぶりとあってずいぶん盛り上がったんです。これに合わせて将棋イベントを行いました」

28.jpg
マイクの前の解説者は地元のホルモン焼き屋さん(画像提供/オリエンタル群馬)

さらに、ターゲットを絞って新しい企画をどんどん繰り出してきた。

29.jpg
PR用のパンフレット

子育て支援プロジェクト「るなぽけ」は、平日に行き場のないママと子供のために開催。この場を利用してママ友の輪を広げてほしいという意図もある。

30.jpg
ピクニックのような仕様で交流しやすくした(画像提供/オリエンタル群馬)

一方で、来園者のほとんどは家族連れ。どうしても子供のための施設というイメージが強いため、高校生ぐらいになると恥ずかしがって来なくなるそうだ。

「そこで考えたのが若いカップルや大人向けの『るなぱDEないと』です。真夏の金曜夜限定でお酒も飲めるというイベントで、前橋の新たな夏の風物詩になっています」

31.jpg
これは素晴らしい(画像提供/オリエンタル群馬)
【9】FacebookとLINEを用途に応じて活用

じつは、年間の遊具利用延べ人数は120万人前後と頭打ちだった。しかし、管理者がオリエンタル群馬に移ると様々な新企画やSNSなどを通じたPRが功を奏し、一気に増加。2017年は約171万人と開園史上最多を記録している。

「そもそも、前橋市民にとっては有名でも、近隣の自治体では『るなぱあく』自体の地名度が低かったんです。そこで、FacebookとLINEに情報を毎日発信するところから始めました」

32.png
井階さんが作成したSNSによるPRプラン(画像提供/オリエンタル群馬)

しかも、ただ発信するのではなく、Facebookは市外や海外の旅行客に向けて、園内でしか登録できないLINEはリピーターを増やすためと、用途を明確に使い分けている。

【10】閉園の危機のたびに立ち上がる市民

「るなぱあく」は、公共施設という性格上、これまでに何度も閉園の危機に瀕してきた。しかし、現在もなお継続して運営できているのは、ひとえに前橋市民の思い入れだ。

「閉園するという噂が流れると、皆さんが『なくしちゃダメだろう!』と一斉に立ち上がるんです。僕は外から来た人間なので、前橋市民のシビックプライド、つまり自分たちの街に対する誇りが非常に高いことに驚きました」

少なくとも私たちが管理を任されている間は、何が何でも残さないと。井階さんはそう考えている。


リニューアル休園中の「あらかわ遊園」にも注目

園内を歩きながら思い出したのは、昨年11月にリニューアルのために休園した「あらかわ遊園」(東京都荒川区)だ。レトロな雰囲気が酷似している。

「僕も『あらかわ遊園』の動静には注目しています。2021年に再オープンすると言われていますが、果たしてあの懐かしい感じが残っているかどうか」

大型テーマパークでは泣いたりぐずったりする子供がよくいる。しかし、「るなぱあく」では一人も見かけなかった。地元にこんな遊園地があるという幸せ。今年の夏は、ぜひビールを飲むために再訪したい。

001.jpg
地上9mの高さから園内を一望できる「飛行塔」
<取材協力>
前橋るなぱあく
<もどる ▽デイリーポータルZトップへ

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ

↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓