特集 2021年11月22日

高級ウインナー弁当を作りたい

ただのウインナー弁当じゃない、高級ウインナー弁当だ。

ローソンストア100にて販売されているウインナー弁当をご存知だろうか。白米におかずはケチャップがかかったウインナーのみというシンプルな弁当が約200円で販売されている。

食べているときにふと「このおいしい弁当をもっと高級なウインナー、お米にしたら世界は変わってしまうのでは?」と思ったので、今から世界を変えます。

1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:今治の焼豚玉子飯が進化していた


ウインナー弁当日記

最初にウインナー弁当と会ったのは、2021年の10月頃である。残業で疲れたときにふとコンビニに行ったら見つけた。このときはまだ知らなかったんだ。こいつにときめいてしまうことを。

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残業中、新発売のシールをうまく外して、自分の机に貼りました。

ローソンストア100ではない一部のローソンにも販売されているようで、ローソンで出会った。Twitterで話題になっていたのもあり、好奇心から買って食べてみた。ちょうどいいうまさだ。

パンチのある味やボリュームを求められる世の中であるが、それに逆行する見た目通りの安心する味と夜に食べても罪悪感を感じない量。

特別なウインナーではないのだが、子どもの頃を思い出させる懐かしい気持ちとウインナーってどんなのでもうまいなと思い、はまって食べていた。

それからこの弁当を気に入り、お昼ご飯に食べることが多くなった。ウインナー弁当にサラダをつけてOL気分になることもあった。量が少なくて、夜ご飯、めちゃくちゃ食べた。

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これは力が欲しいときに食べたウインナー弁当にパリチキ(ローソンのうまいフライドチキン。うまい)をのせた弁当。
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別の日、無茶苦茶にしたい気分だったのでレジ横にあったフランクフルトをのせたスーパーウインナー弁当。店員さん(マジか?)みたいな顔をしていた。

このままでもうまいし、なによりも安い。しかし、無限の可能性をウインナー弁当に感じている。これが高級なウインナーにしたらと思うと興奮してこないだろうか。

高級なウインナー弁当を作ろう。ドイツへ行こう!ベルリンの赤い雨!!(キン肉マンに出てくるブロッケンJr.の必殺技)

ドイツへは行けないので、落ち着いてまずは自作するためにスーパーへ行こう。まずは一般的な材料で手作りをしてみた。

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シャウエッセンとごはん。そして、パスタ。ケチャップ。

なんでパスタなんて買ったのか。「さてはお前、ナポリタンを作るつもりだろう!」と思う人がいるかもしれない。その意見を聞いてナポリタンを作ってもいいなと思いました。これでもかと粉チーズをかけたい。

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実は、ウインナーの下にパスタが入っている。

よくお弁当屋で買う時にも入っているこのパスタ、とんでもなくおいしいわけではないが、おかずの油とあわさってうまい。ふだんはあるのを気にしないけど、ないと寂しい。いなくなって気づくあの人の大切さ、パスタから学びたいですね。

実は入っているのには理由があるらしく、おかずがずれるのを防止したり、揚げ物の熱で容器が溶けないようにするためのクッションとしてあるらしい。でも、この弁当の場合、大事なおかずである。

シャウエッセンと一緒にパスタも3分ゆでる。時短テクニックである。あと、パスタにシャウエッセンのうまみがうつっておいしそうだなと思った。本当は借りている施設の時間が迫っているからです。

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シャウエッセンのパッケージに「黄金の3分」と書いてあって、サッカー日本代表の昔の逸話みたいだなと思った。そんな話はない。(たぶん、残り時間3分で逆転する話)
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パスタも入れちゃう。
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勢いで入れたから防腐剤も入ったな。

グツグツと沸騰するお湯に浮かぶ防腐剤。食べるのは自分だけだし、このままでもいいかと思ったが、何かしらが漏れ出てお腹を壊したくないので取る。

気合いを入れたらお湯も熱くないとテレビで老舗の飲食店の人が言っていたので、鍋に指を入れたら普通に熱かった。お湯って熱いということを改めて感じた冬だった。

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取るぜ!
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人間、熱すぎるとこんな顔になるんだな。このあと、菜ばしを使えばいいことに気づいた。言ってよ。
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弁当のパスタには油をまぶして、塩とコショウで味付けをする。

弁当屋のパスタレシピというのネットで見たのでやってみる。少し食べてみるとこの味があるのかないのかわからない感じ、弁当屋の揚げ物やハンバーグの下あるパスタだ。

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できた。手作りウインナー弁当。

手作りのウインナー弁当はウインナーが大きい為、ごはんをおかずにウインナーを食べるようなウインナーメインの弁当になった。でも、大きいことはいいことなのでこれで正解です。

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一番うまい。

ローソンのウインナー弁当にはない、皮のパリっとした歯ではじける感じとあふれ出る肉汁のうまさがすごい。さすがシャウエッセン、ずっとついていきます。

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わかりやすくするため図を書いた。わからなくても感じてください。
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高級ウインナー弁当の材料集め

まずはお米を求めて高級デパートの伊勢丹に行ってみることにした。写真撮影禁止なため、文章だけでお伝えする。

普通のスーパーだとお米の袋がどっさりと置かれているだろう。伊勢丹は違う。大事そうに置いてあった。あと、お米の量り売りもしており、店員さんがていねいに説明してくれる。一番高いのがうまいわけでなく、好みや料理によっても適したお米があるそうだ。1キロで1万するお米もあった。さすがに手が出ない。

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そんな中、2合で700円するこしひかりを買った。

悩んだがやはりこしひかりがうまいということなので買ってみた。いいところのクリームパンみたいなパッケージである。

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そして、ウインナー。ただのウインナーじゃないのだ。

ネットで「高級ウインナー」と検索したら出てきたこちらのウインナー。なんと2本で380円する。6本買ったら1000円を超えてくる。庶民が買うにはドキドキするウインナーだ。

しかも、こちらのウインナー、あのグルメ漫画の金字塔「美味しんぼ」で「夢にまで見たソーセージ」と言われたウインナーらしい。もう買うしかない。ウインナーはこれで決めた。

あと、大事なのはケチャップだ。カゴメやデルモンテのケチャップもおいしいがこだわりたい。調べてみたら「日本一のケチャップ」というのを見つけた。

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ビン入りのケチャップってあるんだ…。

岐阜県郡上市にある明宝特産物加工株式会社で作られた「明宝 トマトケチャップ」という商品である。

岐阜県産の完熟トマトを使い、無添加、無着色で作られたケチャップだ。様々なテレビでも取り上げられており、レビューでも評価が高い。

スーパーで売っているケチャップは200円しないぐらい値段だが、こちらのケチャップ、公式サイトで648円。3倍以上の値段だ。もう値段差からうまさが想像できる。すごい、食べてないのによだれが止まらない。

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あとは伊勢丹でそろえました。

これで全部かと思っただろう。違うのだ、お米を炊いたり、ウインナーをゆでるのに必要なものがあるじゃないか。

日本一の名水をくみに行く

神奈川県秦野市という山々に囲まれた自然豊かな町がある。そこには市内のいたるところで地下水が湧き出ているらしい。また、そこの地下水が2018年に環境省が行った「名水百選」選抜総選挙にて「おいしさがすばらしい名水部門」にて一位になったそうだ。この水を使おう。

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新宿駅から1時間20分あれば着く小田急線の秦野駅。

駅を降りると目の前は丹沢の山々が見えてくる。降りる人たちも登山者が多く、自然あふれる場所というのが伝わってくる。

そして、その駅前には秦野の名水を味わえる場所がある。地下水飲み放題なのだ。

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秦野駅前にある名水を飲める場所。

駅を降りてすぐ、1分ぐらいの場所にある。ここで水をくんで調理しに行こうと思っていた。しかし、様子がおかしい。水がない。

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池の水、全部飲んだやつがいる。
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看板も立っている。これ、くめないパターンだな。

水が全然無い。大男が水を全部飲んだか。近くにいる清掃の方に声をかけると「あれ、お兄さん、水飲む? 今、掃除するから水を止めちゃっているんだよ」と言われた。(なんで今なの?)と聞きたい気持ちをグッとこらえた。社会で生活するって我慢の連続だから。

掃除に40分ほどかかるらしいので、近場で水がくめる場所を教えてもらった。おじさんに掃除を頑張ってほしいから「頑張ってください!」と言って去った。おじさん、笑っていた。頑張れ、団塊世代。

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駅から歩いて6分ぐらいの場所にある弘法の清水という場所。

秦野市のホームページにある説明を引用すると、

「ある夏の日のこと、一人の旅の僧が水を恵んでもらおうと、ある農家を訪れましたが、その家には水がありませんでした。

『ちょっと待って下さい。』と外に出た娘はなかなか帰ってきません。水を求めて遠くまで行ったのでした。

僧は大変感謝し、持っていた杖を地面につくと、そこから水が湧き出てきました。後になって、旅の僧が、弘法大師とわかり、この井戸を弘法の清水と呼ぶようになりました。」

弘法大師、すげえな。

近所の人たちは、水をくんで家で使ったり、野菜を洗ったりなど、飲用や生活用水に使用している。

ちょうど水をくんでいたおじさんは「ここの水で料理を作ったり、焼酎を割るとうまい」と言っていた。うってつけである。

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透明度が高く塩素のにおいがまったくしない。

日本一に選ばれた水というのはどんな味なのか気になるだろう。試しに飲んでみる。

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飲んでみた。
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わからないな…。

普段飲んでいる水よりもおいしい気がする。口当たりがやさしい気がするし、甘い気がするし、全て気がするで感想を終えたいと思います。

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とりあえずくんだの帰ります。
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帰る途中、川の水と飲み比べればわかるかなと思って、川の前まで来たがお腹を壊したくない思いが勝った。

高級ウインナー弁当を作る

最高の食材たちで作る最高のウインナー弁当。世界が変わる瞬間がやってきた。

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秦野の名水。
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炊きたてのこしひかり。
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美味しんぼに出てきたウインナー。
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日本一のケチャップ。
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Welcome to the  new world.

大きく容器がはみ出したウインナー。トマトの素材感を感じられるケチャップ。つややかなお米。計3000円相当ができた。ウインナー弁当の10倍以上の値段。

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ローソン100のウインナー弁当と高級ウインナー弁当。迫力があるな・・・。

気になるのはおいしさだろう。どうしよう、あまりのおいしさに人生観が変わったら。明日から意識高い系の人になるかもしれない。ライフハックの記事をたくさん書く人になったらよろしくお願いします。

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それはもう、おいしいに決まっている。

正直に書くと、おいしさではスーパーの素材で作った弁当の方が舌が慣れているのもあっておいしいかもしれない。

でも、おいしさが立体的なのだ。スーパーのウインナー弁当はおいしさ100%に対して、高級ウインナー弁当は香りや味、食感など色々な感動が組み合わさって100%になる。

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図で書くとこんな感じ。違う世界にあるウインナー弁当なので比べるものではない。
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ローソンさん、今度はからあげだけの弁当をお願いします。

ミートボール弁当も出た

ウインナー弁当のメガヒットを受けて、最近ミートボール弁当が発売された。ごはんとミートボール、少しだけのパスタが入った弁当である。これも大変おいしかった。ウインナー弁当、ミートボール弁当を企画してくれた林部長、ありがとうございます。(ローソンの部長です。)

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全部おいしい。
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