田町と錦糸町、それぞれの場所に分かれてゲームの準備
例えば上の写真。スペアを取った男性がガッツポーズで席に戻り、仲間から祝福を受けている。
「本当はそんなに嬉しくないだろ」
ここ10年程、僕がボウリングをやっていない理由はそこにある。
ボールを投げる度に喜んだり、落ち込んだり。大袈裟なリアクションに疲れてしまうのだ。1人でプレイすれば、リアクションなしで楽しめるのだろうが、そこまでボウリングに対してストイックになれないし、あまりにも孤独だ。
リアクションを取らずに済み、なおかつ孤独を感じない方法は?
仲間同志、それぞれ別の場所でプレイするのはどうだろうか?
メールでやりとりしながら投げれば、プレイを共有している感覚を味わいつつ、過剰なリアクションもいらない。
ウェブマスターの林さんの協力をあおぎ、それぞれに都合のいい立地条件のボウリング場に出向き、遠距離ボウリングを試してみた。
僕は田町の田町ハイレーン、林さんは錦糸町のロッテ会館。
田町ハイレーンに到着し、まず林さんに一報を入れた。
住 >> 林
田町ハイレーンです。 入り口に「お一人様でもお気軽に」、って書いてあって少し安心しました。 |
林 >> 住
ロッテ会館です。毎年、千葉ロッテマリーンズが納会をするというロッテファンにとっては聖地みたいなところです。巨人でいう多摩川グランドとお考えください。 |
林さんも錦糸町に到着した様子。それぞれに準備を整える。
林 >> 住
13パウンドのボール選びました。カウンターの前なので三脚とか出したら睨まれました。三脚は機会をみて再度チャレンジします。 |
住 >> 林
あっ!僕も13号です!パネルに僕の名前が出ていて嬉しいです。準備出来たので第1投、行きます。 |
林 >> 住
僕も投げます。投げないで携帯いじってばかりで不審なので……。 |
しばらく来ないうちに、ボウリング場がハイテク化されていて驚く。
受付時に記入した僕のフルネームが前方のモニターに写し出されている。
林さんは受付に睨まれたので三脚を出せなかった様だが、僕は受付から遠い場所だったので三脚を立てて自分撮りの体制を整えた。
受付には睨まれなかったが、隣りの男性グループが僕の動向を気にしている。
1人でやって来て、三脚を立てて自分撮り。フォームの研究か?
いずれにしても、プロ級な腕前なのだろう。
彼らはきっとそう思ったはずだ。
そんな周囲の注目を他所に、僕と林さんの遠距離ボウリングが始まる。
ファーストゲーム
「1フレ」
住 >> 林
1投目、いきなりガーターでした。見かけ倒しもいい所です。 |
林 >> 住
1投目は6本でした。100は行くでしょう。 |
いきなりガーターを出してしまうが、振り向いても誰もいない。
オーバーに落ち込んだりしなくていい。
無言で席に戻り、何事もなかったかの様にメールでガーターを報告。
林さんはいきなりスペアを出している。むむむ。
林 >> 住
僕、割と得意なんです、ボウリング。 |
「2フレ、3フレ」
林 >> 住
3フレームで32点です。隣の隣の男のグループが投げる度に「パージェーロ、パージェーロ」と歌ってます。フレンドパーク気取りです。 |
住 >> 林
2フレも連続でガーターです。足をどうやって運んだらいいか分らなくなりました。 |
久しぶりのボウリングだったので、手の動きと足の運びの関係が分らなくなってしまう。投げるタイミングを逃して、ボールを持ったままピンまで行ってしまいそうだ。
「4フレ、5フレ、6フレ」
住 >> 林
隣の人の足の運びを研究したら8ピンが2回続きました。いい感じかと思いきや、5フレ、6フレとガーターが続きます。足首を捻った様で、痛いです。 |
林 >> 住
隣の掛け声はアニータ!に変わりました。惑わされないでいきます。 |
田町、錦糸町、いずれの会場も盛況で、知らない間にボウリングブームが到来していたのか?
どこのグループも拍手、ハイタッチ、落胆を繰り返し、ボウリング場内は大騒ぎだ。
僕は心の中で「ア・ニー・タ!」とタイミングを図る。
「7フレ~10フレ」
林 >> 住
7フレ、ストライク 。田町の住さんにハイタッチ! |
林さんからハイタッチメールが。
僕も7フレームにして初めてのスペアを記録。ハイタッチを返す。
住 >> 林
ナイスストライク!!そして僕も初スペアです。「よしッ」って思わず声に出して独り言。スペアなので次が大事です。 |
リアクションが面倒だ、とか言いながらハイタッチメールを交換して楽しんでいる。
メールの方が面倒なのでは?薄らと疑問を感じながら、遠距離ボウリングを続ける。
林 >> 住
8フレ。うおおおお!スペアの次に9ピンゲットです。一気に点数を稼げた感じがしますが、今度は手首が痛くなりました。 |
< 1ゲームの結果 >
住
林
1ゲームを終え、僕が81点で林さんは114点。33点も差が開いてしまった。
林さんに2ゲーム目を要求し、リベンジを狙います。
セカンドゲーム
1ゲームが終わり、遠距離ボウリングの忙しさを痛感する。ボールを投げたらメールを打つという行為の繰り返しと、13パウンドの重みが僕の右手の感覚をしびれさせる。
住 >> 林
ボールを変えて次のゲームに挑もうと思います。 12パウンドでお願いします。 |
調子が出ないのはボールのせいだ。
「1フレ、2フレ、3フレ」
住 >> 林
1フレこそガーターでしたが、その後は2回続けてスペアです。調子がうなぎ上りに良くなっていくのが分ります。 |
林 >> 住
スペアが1つで、スコアは31。調子悪いっす。やる気なくすっす。 |
僕のスタートダッシュが目立つ。最初から12パウンドでいけば良かった。
「4フレ、5フレ、6フレ、7フレ」
林 >> 住
6フレームで53。負けてます。 っていうかさぁ、今日、あんまりやりたくなかったんだよねぇ。 高校の時に傷めた肩が心配です。 |
多分、林さんは高校の時に肩なんてイタめてない。林さんのモチベーションが一気に下がっていくのをメールから感じ取り、ここが勝負時と判断。
しかし、力んだせいで、点数が伸び悩む。
住 >> 林
スペアが全く取れなくなりました。2フレ、3フレの頃が嘘の様です。 |
「2人とも力を出し切った」
住 >> 林
隣におばちゃん3人組がやって来ました。おばちゃんだと思って甘く見ていましたが、3人とも僕よりもうまいです。投げる度に盛り上がっていきます。このままでは血圧が心配です。 |
林 >> 住
プロボーラー?あの背筋は尋常じゃありません。 |
2人ともゲームに飽き始め、周囲ばかり気にする様になる。
遠距離ボウリングは2ゲームが限界か?
< 2ゲームの結果 >
住
林
9フレまでリードしていたが、10フレで逆転されてしまい、結局2連敗。
足首、手首に続き腰も痛くなったので、3ゲーム目はなしの方向で。
1人でそっと後片付けです。
それぞれのアフター
2ゲームを終え、遠距離ボウリングを充分に満喫した。
逐一メールで報告する手間はあるにせよ、一緒に遊ぶ人を気遣って無理なリアクションを取らなくて済む分、気楽に遊べる。
ボウリング場が更にハイテク化されて、自動的に結果をメール交換してくれたらもっと便利だ。来るべきそんなユビキタス社会に期待しつつ、ボウリング場を後にしようとしたら林さんからメールが届いた。
林 >> 住
バッティングセンターです。今年のドラフト指名に備えて4ゲームもやってしまいました。本職は内野ですが監督に言われればどこでも守るつもりです。 |
不完全燃焼だったのか?妙なテンションでバッティングに流れてしまったようだ。
僕は体中痛くなってしまったので、バッティングセンターに行くつもりはない。
住 >> 林
腰の痛みが深刻なので、マッサージに行ってました。「イタイっ」って言ってるのに、全然力を緩めてくれず、ケンカになりそうでした。 今日はお疲れ様でした。 |